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【鳥取寺社縁起シリーズ】「因幡堂縁起絵巻」(14)

 【鳥取寺社縁起シリーズ】第二弾として、「因幡堂縁起絵巻」詞書部分の注釈・現代語訳をnoteで連載いたします(月1回予定)。

 〔冒頭の写真は、鳥取県立博物館『はじまりの物語ー縁起絵巻に描かれた古の鳥取ー』の表紙(「因幡堂縁起絵巻」の一場面)です。〕


■寺社縁起本文・注釈・現代語訳

__________________________________  本文(翻刻)は、『企画展 はじまりの物語ー縁起絵巻に描かれた古の鳥取ー』〔鳥取県立博物館/2008年10月4日〕の巻末「鳥取県関係寺社縁起史料集」のものを使用しています。

 ※「因幡堂縁起絵巻」の概要は第1回をご覧ください。

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【 第十段 】
寛弘元年の秋の比行平卿如来の御利生
にや因幡の國司に任し心のままに栄花を
きはめて因州に下向し如来出現の在所二度
拝見する事今生一旦の宿縁にあらすたひたひ
の奇瑞あらたなるうへはまことに未来永劫
まても十二大願の御誓願たのもしくめてたき
事にそ侍けれ

→寛弘元年の秋の比、行平卿、如来の御利生
にや、因幡の國司に任じ心のままに栄花を
きわめて因州に下向し如来出現の在所二度
拝見する事今生一旦の宿縁*にあらず。たびたび
の奇瑞あらたなる*うへは、まことに未来永劫
までも十二大願の御誓願*たのもしくめでたき
事にそ侍りけれ。

〈注釈(語の意味)〉
*宿縁…前世からの宿縁。宿因。しゅうえん。
*あらたなる…(神仏などの霊験(れいげん)が著しい。あらたかな。
*誓願…仏語。仏菩薩が、一切の衆生の苦しみを救おうと願って、必ずこれを成しとげようと誓うこと。四弘誓願(しぐぜいがん)はその共通した願で総願といい、彌陀(みだ)の四十八願、薬師の十二願、釈迦の五百大願などは別願という。本願。弘誓(ぐぜい)。本誓(ほんぜい)。〔日本国語大辞典〕

〈現代語訳〉
寛弘元年の秋の頃、行平卿が、如来の御利益
であろうか、因幡の国司の任を受け思うままに栄華を
極めて因州に下向し如来の出現したその場所を二度も
拝見することになったのは今世の一度だけの縁ではない。度重なる
奇瑞が著しいからには、本当に未来永劫
までも薬師如来の十二の御誓願は頼みに思われるすばらしい
ことでございます。
                  〔「因幡堂縁起絵巻」(14)おわり〕


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