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【鳥取寺社縁起シリーズ】「因幡堂縁起絵巻」(11)

 【鳥取寺社縁起シリーズ】第二弾として、「因幡堂縁起絵巻」詞書部分の注釈・現代語訳をnoteで連載いたします(月1回予定)。

 〔冒頭の写真は、鳥取県立博物館『はじまりの物語ー縁起絵巻に描かれた古の鳥取ー』の表紙(「因幡堂縁起絵巻」の一場面)です。〕


■寺社縁起本文・注釈・現代語訳

__________________________________  本文(翻刻)は、『企画展 はじまりの物語ー縁起絵巻に描かれた古の鳥取ー』〔鳥取県立博物館/2008年10月4日〕の巻末「鳥取県関係寺社縁起史料集」のものを使用しています。

 ※「因幡堂縁起絵巻」の概要は第1回をご覧ください。


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【 第七段 】
此在所もさる事なれとも二條京極に
祖父好古大納言家にしかるへき持佛堂
ありけれはしきしきの法事庭儀ヲととのへて
路次にあらこもをしきてめてたく入奉られ
けり

  絵

【 奥付 】
  三巻之内
   因幡堂
    岡本主計
     正美所持

→此の在所*もさる事なれども二條京極に
祖父・好古*大納言家にしかるべき持佛堂
ありければしきしき*の法事庭儀*をととのへて
路次*にあらこも*をしきてめでたく入れ奉られ
けり

〈注釈(語の意味)〉
*在所…人の住んでいる所。物の在る所。ありか。
*好古…橘好古(たちばなのよしふる)。
*しきしき…荘重で儀式ばっているさま。本式。正式。
*庭儀…《仏教語》法会の時、前庭を行道して本堂に入る儀式。
*路次=露地…屋敷や寺などの庭内や門内の通路。〔日本国語大辞典〕
*あらこも(粗薦・荒薦)…あらく編んだこもむしろ。祭礼神事に用いる。
 ※特に記載がない場合は『広辞苑』による。

〈現代語訳〉
この場所も(十分であるのは)言うまでもなかったが二條京極に
祖父・好古大納言家の住まい(の中)にふさわしい持佛堂が
あったので正式な法会や儀式をとりまとめ
通路に祭礼神事に用いる粗薦を敷いて立派に(薬師像を)お入れ申し上げ
た。
                  〔「因幡堂縁起絵巻」(11)おわり〕

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