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石鹸師
2021年3月1日 06:30
眩い街灯のオレンジが漆黒の空に滲んでいる。懐かしい電球色が目の前に続く一本道を照らし、それでも溢れる光が空に散らばる。微かなガソリンの臭いが鼻についた。単調な、けれども軽快なテンポのエンジン音が繁華街から外れたカンボジアの街路に響いている。「トゥクトゥクってさあ」僕は声を張り上げる。「なになに?」隣りにいる彼女の耳になかなか届かない。 屋根付きの三輪オートバイの後部座席で僕らは肩を寄せ
2021年3月28日 14:57
ステゴザウルスがずっと捨て子ザウルスだと思っていた。というか、ステゴザウルスのことを特に考えたことがなかったので、ステゴがカタカナの外国語だったことを知って驚いた。こんな思い込みってよくあるよねと、誰かに言いたかったが誰もいない。もう何十年も一人だった。別に誰かと付き合ったり、暮らしたりしたいとは思わない。恋愛をしていない人は魅力がないとか言われるけど、していたところで自分に魅力があるとは思え