野球で例えるサウナ論

2020年、日本はサウナブームの真っ只中だったーーー。

なぜ執筆時点はまだ2020年なのに「〜だ」ではなく「〜だった」なのかと言うと、世界中を震撼させている新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、各地のサウナが軒並み休業になってしまったからである。

私がサウナの愛好家、通称「サウナー」になったのは2015〜16年ごろ。まだ5年程度のキャリアではベテランどころか初心者に毛が生えた程度の者だ。
しかし、この5年間でこの国のサウナ界は大きく変化した。
私がサウナーになった頃には既にじわじわと静かなブームが広がっていたが、決定打となったのは、やはり2019年に放送されたテレビドラマだろう。
テレビの没落が叫ばれて久しいが、やはり今でも地上波で放送されることの影響力は絶大のようだ。
私(20代後半)もまだサウナ界では若手だと思いたいが、このドラマが放送されたあたりからもっと下の世代のサウナーが目立つようになってきたのだ。

サウナ人気が定着するにつれ、ロウリュ(※1)やアウフグース(※2)といったサービスを行う店が増えたり、と、
人気故の混雑やマナーなどの問題は出てきたが、全体的に施設側のサービスも向上してきた感覚はある。

(※1)サウナ室にある石を積み上げたストーブに水やアロマウォーターをかけて蒸気を発生させ、体感温度を上げて発汗効果やリラックス効果を生み出すサービス。フィンランド発祥。
(※2)ロウリュで発生させた蒸気をタオルや団扇で攪拌させ、体感温度を急上昇させるドイツ生まれのサービス。エンタメ要素も強く、アウフグースのサービス時にはサウナ室が満員になることもしばしば。

一昔前であれば疲れたオヤジが1人汗を流していたイメージに過ぎなかったサウナが、
今では仲間たちと語りながらサウナを楽しむ者や、全国津々浦々とサウナ巡りをする者、湖畔やキャンプ場でテントサウナを楽しむ者、コワーキングスペース付きのサウナ施設で仕事をする者、毎日通わないと気が済まないサウナ中毒者などなど、
各々のサウナーが多種多様な方法でサウナを楽しみ、そして「ととのう」(※3)快感を味わっている。
私もある程度国内の有名サウナを巡ったので、『次の休暇はいよいよ本場フィンランドへサウナ遠征に行こうか!』などと企んでいたものだ。

(※3)サウナ・水風呂・休憩を繰り返すことにより味わうことができる何とも言葉では表現しにくい快感。テレビドラマ「サ道」原作者のタナカカツキ氏が命名したと言われている。


そんなサウナ界が盛り上がっていた中でのコロナ騒動である。

この未知なるウイルスはサウナに限らず、日常の全てを変えてしまった。
4月から5月にかけての緊急事態宣言により、多くのサウナ施設も休業に追い込まれてしまった。
辛うじて空いている施設にも感染リスクへの不安から、とても行く気にはなれない状態だった。

バブル期に流行したホームサウナ所持者や自宅の庭でテントサウナができるような極少数の富裕層(?)を除いて、サウナに入りたくても入れない日々が始まってしまったのだ。

この2ヶ月以上に及ぶサウナ自粛の期間は、非常に辛いものだった。
感染し発症してしまった方や、医療従事者やスーパーの店員など最前線で戦う方々、急激な景気悪化によって職を失ってしまった方々の苦労に比べたら、幸いにも今の所どれにも当てはまっていない私はまだ恵まれているのだから・・・と自分に言い聞かせてきたが、そうは言ってもストレスは溜まる。
社交的では無いが外出が好きな私は、野球観戦を始めとした他の趣味も満足にできなくなり、平日は仕事に追われ、休日はただ家にいるだけと、誰にも当たれない苛立ちを増やすだけの期間となってしまった。
ストレスを解消できる方法こそ、サウナなのに・・・。

そんな我慢を強いられた緊急事態宣言期間を終え、徐々に営業を再開するサウナ施設が増えてきた。
時短営業・アウフグースの中止など制限付きではあるが、サウナに入れる日々が帰ってきたのだ。

早速、仕事終わりの夜に弟と合流し、ソーシャルディスタンスに気を遣いつつ、近場の中で早めに営業再開したスーパー銭湯へ向かった。
専門の施設では無いのでサウナ設備に特筆したものは無い、強いて言えば水風呂が深めなくらいか。

なのに普段よりサウナ室でかく汗の量が多い。
水風呂の水も冷たく感じる。
意識が朦朧としながら露天ゾーンへ…

梅雨前の心地よい空気の中、夜空の下で休憩スペースに寝転ぶと・・・


ととのった〜〜〜

あぁ、3ヶ月ぶりのサウナよ、こんな気持ち良い物だったのか。
サウナーになってから最長のブランク、身体の中に溜まっていた邪念が全て出ていくような感覚、
まだ全ての生活が元通りになるのは時間がかかるし、いつまた緊急事態宣言やそれ以上の都市閉鎖が発令されてもおかしくない、
でもせめてサウナだけでも入れるなら私の生活は幾分満たされる…。
サウナがあれば、休止せざるを得なかったサウナブームも蘇り、さらなるムーブメントが起きることだろう。

あぁ、居ようと思えば永遠とここで寝てられるなーーーー

と思った所に聞こえてきたのは蛍の光。
「そっか、まだ23時までだったか!」と慌てて飛び起き、着替えを済ませて退館したのであった。


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このnoteでは、そんなサウナとプロ野球観戦が好きな”熱波兄弟”の兄が、
サウナの魅力を野球に例えてコラムを書いていきます。

次回以降は今まで巡ったサウナの中から、おすすめの施設を「野球の打順」に例えて紹介していこうと思います。

サウナ施設は基本的に裸で入る場所であることから、プロのライターや編集者はともかく私のような「ただのサウナーなアラサー」がおいそれと写真を撮れる場所ではありません。(せいぜい外観や食事処の料理くらいです)
ですので、稚拙な文章ながらサウナを愛するサウナーの皆様はもちろん、「サウナを知らない」・「これからサウナの世界に踏み込みたい!」といった方にも、文字だけで理解できるようなコラムを書いていければと思っています。

投稿した暁には、ぜひ一読していただけると幸いです。

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