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<古典地政学③>軍隊の中で強いのは〇軍だ!~「アルフレッド・マハン」~(書籍要約)

・海は生産、海運、市場を支える重要な道であるため、その道を支配できる強力なシーパワー(海軍力)が最も必要であると主張した地政学者。

・シーパワーと判断する項目
①地理的位置
②産物・機構などの地勢
③領土の広がり方
④人口数
⑤国民の性質
⑥制度・政策の性質

・理論
①敵の艦隊を全滅させるなどして、海に関する経済活動を支配できる「制海権」を何としても取らなくてはいけない
②イギリス・アメリカ・日本・ドイツのチュートン民族とロシアのスラヴ民族が衝突する。

・マハンは海での戦いが多い時代を想定し、現代のアメリカ戦略でも採用されているコルベットは海から陸での(陸軍を中心として海と空がサポートするという)戦いが多い時代を想定している。

・マハンの「アメリカはこうすべき」という主張
①相手の意図ではなく能力に基づき判断し、海軍を強くすべきである。
ハワイとフィリピンが必要になるため、アメリカは占領しなければならない。
戦力を太平洋に集中できるように中南米地峡運河を開通すべきである。
④対中国・日本の移民政策(対策)をすべきである。
⑤日英同盟があったらヤバイから妨害・阻止せよ。
ロシアが必ず南下・拡大してくるため、警戒すべし。
イギリス・アメリカ・日本・ドイツのチュートン民族で同盟を結ぶべし。

・マハンの影響と問題
マハンの思想は日本の佐渡、石原の持論正当化に用いられ、劣化コピーとして日本に広まった。つまり、マハンの思想は誤った形で伝わり、利用されたのである。
日本がアメリカ側に入っているが、日本は完全なシーパワー(海軍が強い)国の条件を満たしていない。日本を同盟に入れたくて理論を捻じ曲げただけなのである。
彼は大衆を先導するために数々の矛盾ある、主観的で作為的な主張をしてきたため、「科学的ではない」と批判されることが多い。

参考文献
庄司 潤一郎 , 石津 朋之(2020/7)『地政学原論』日本経済新聞出版 第5章


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