第一回 陰謀論に巻き込まれないために〜日本なはぜ第二次世界大戦に参戦したのか〜

大日本帝国軍のお偉いさんが「戦って滅ぶのか、戦わずして滅ぶのか選ぶとしたら、戦って滅ぶほうが良い。」と言った。

二分法の誤謬

このお偉いさんは「二分法の誤謬(ごびゅう)」という思い込みに囚われている。

隠された選択肢が存在するのに、選択肢は2つしかないと思い込むことである。いわゆる白黒ハッキリしたいがために起きる誤った選択である。

選択肢として
 ①戦って 滅ぶ
 ②戦わずして 滅ぶ
隠③戦って 滅ばない
隠④戦わずして 滅ばない

という選択肢が存在する。
③はアニメ『紺碧の艦隊』で「アメリカに対し良い負け方をする」という軍事戦略(軍事上の目標)を立てており、実質的には可能だったと考える。

④は経済評論家上念司によると、「アメリカと戦争をすることになった最初の原因は、日露戦争で資金協力してくれたアメリカと、資源提供してくれたイギリスを裏切り、恩を仇で返したからだ。そこから日米間は悪い方向へと転換してしまった」と指摘。※1
戦略家で有名な孫子は、「政治家が外交で事前に手回しすることで戦争は避けることができる」と政治家、外交官が考える「戦略」と軍人が考える「戦術」を分けて考えている。(※2)つまり、日本政府が外交や戦略にもっと力を入れていれば戦争は防ぐことができたのではないかと考える。

国際政治学者高坂正堯によれば、国際政治が複雑であるが故に、国民は簡単に考え、白黒決めようとするという国民の癖を書いている。※3

しかしながら、大日本帝国軍のお偉いさんやソ連のスパイに乗っ取られたメディアに乗せられた国民(※1)がこの二分法の誤謬に乗せられ、参戦に突入してしまったのだと考えられる。

別の説では、軍のお偉いさんには「プロスペクト理論」が働いていたのではないかという説もある。

プロスペクト理論

プロスペクト理論は行動経済学の用語で、小さな確率ほど大きく見積り、大きな確率ほど小さく見積ってしまう行動法則である。

経済評論家上念司によれば、「戦争をして滅びない」という確率はかなり低い。対して、「戦争をして大損失を受ける」という確率はかなり高い。しかしながらそれを無視していた。つまり、プロスペクト理論が働いていたのではないかと分析する。(YouTube『上念司チャンネルニュースの虎側』より)

ということで、二分法の誤謬とプロスペクト理論には気をつけよう!

※1『経済で読み解く日本史』上念司
※2『cd孫子の兵法2.0』奥山真司
※3『国際政治 改版 恐怖と希望 』

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