見出し画像

出会い頭の出会い


今日、用事があってハローワークへ行った。

椅子に座って順番待ちをしていると、すぐに呼ばれた。担当になった女性は母と同年代くらいの人で、業務以外のことも色々と心配してくれた。

何度かハローワークを利用しているけど、初めて仕事のことを聞かれた。今まではみなさん淡々と業務をこなしていたので、あれこれ聞かれる心配もなかった。けれど、今回はわたしに色々と聞いてくることが多かったので、少しびっくりした。

担当の方から見れば、自分の娘と同じくらいの若者を相手にしている訳で、口調もなんだか優しかった。そのせいもあって、話しやすい雰囲気になり過去に仕事で悩んでいたことをつい話してしまった。

就活で苦労した話。入社先での仕事内容が求人と違った話。書類選考で落ちまくった話。

担当の方は、嫌な顔をせず一つ一つ真剣に答えてくれた。

求人は、4月の入職のために1〜3月が一番多いこと。後は、ゴールデンウィーク明けや、6月のボーナスを貰ったあと。今は平均的な量が続いてる感じ。

入職する前に、担当の部署の人にどういう業務をするのか細かく聞いておくこと。職場見学をさせてもらえるならさせてもらうこと。自分のやりたい分野があるなら担当の人にやる気を見せること。

書類に関しては、自分以外の誰かに添削してもらうといいらしい。「いずれは誰かに見られる物だし、最後の1行を変えただけで受かった人もいるから。」といっていた。

以前働いていた職場のことをこぼすと、「そんなことがあったんですね。それなら辞めちゃいますよね。」と、共感してくれたのが嬉しかった。自分の頑張りが足りないせいだ、我慢できないのが悪い、と思い込んでいたから。

最後には、「ファイトです。」と小さく拳を作って応援してくれた。


いい人が担当でよかったな〜と駐輪場まで行くと、「こんにちは〜」と声をかけられた。思わず挨拶と会釈を返してしまったが、それは保険の営業だった。

しまった、と思った時にはすでに遅く営業のお姉さんに捕まってしまった。急いで自分の自転車に鍵を差し込み、帰るそぶりを見せたけど、お姉さんは構わず話しかけてくる。

わたし自身、あまり営業の人に話しかけられたことがなく、引き止めようとしているのが痛いほど伝わってきたので適当に相槌を打つことにした。内容は、保険の営業をしてくれる仲間を探しているようだった。

聞いているうちに、営業スマイルとトークがなんだか可笑しく見えてきて(めちゃくちゃ失礼)終始ニヤニヤしてしまった。お姉さんにも、「すごい笑顔ですけど、面白いですか?」と不審がられてしまった。

所々適当に流していたら、職業を聞かれた。答えるとお姉さんも同じ医療関係の学校に通っていたらしい。子供ができたから学校は途中でやめたけど、今は保険を通して色んな人の役に立ててるから、仕事は楽しいです。と言っていた。

最近、自分の生き方とか仕事のことで悩んでいた。友達とか両親とか話せる相手はいくらでもいるけれど、たまには全く知らない大人に聞いてみるのも面白いかもと思い、お姉さんは逆にターゲットになってしまった。

自分の周りにいる大人は限られているから、思考も固められる気がして、この際だから違う大人にも聞いてみよう!と思い質問攻めにしてしまった。


なんで看護学校に戻らなかったのか。今までどんな仕事をしてきたのか。仕事の楽しさって何か。お姉さんにとってのやりがいとは?


辛い時はどうしているかと尋ねたら、「どんな仕事をしてても辛い時ってありますよね。私はストレスを溜めないようにしています。ダメな時はとことん落ちるタイプなので、そこに行かないように元気に振る舞うようにしています。」

「やっぱりお子さんがいるから頑張れるんですか?」と聞くと、

「ん〜、子供のためっていうか自分のために頑張ってますね!」とキラキラの笑顔で言われた。みんながみんな、子供のために頑張っているわけではないんだ、と勉強になった。

聞いたことはきちんと答えてくれるし、聞いたことを営業に繋げる話に持っていける人だなぁと思ったので、「営業はお姉さんの天職ですね。」というと、「どうなんでしょうね〜。」と濁された。「自分が楽しくてやっていても、他の人からしたらもっとこうすればいいのにとか、こうすれば仕事が進むのにとか思われているかもしれないから一概に天職とは言えないですね。」と。

もちろん営業なので、お姉さん興味ありませんか?と勧誘にあったけれど、わたしには専門資格があるのでその道以外に進むという未来は描けなかった。

営業のお姉さんにも、「今の資格を捨てるのは勿体無いと思ってるので、入るのは難しいです。」と伝えた。でも、最近この仕事に対するモチベーションみたいなものがなくなりつつあった。他の仕事をしてみたい。でもこの資格を使わないのは勿体無いな、と。

「今持ってる資格を捨てて、違う仕事をする未来が想像できないです。」とお姉さんに言うと、「確かに、一生ものの資格を捨てるのは勇気が入りますよね。それなら、とことんその仕事をやってみるのがいいのかなって思います。人間、合わないことをやっても続かないですから。わたしも今の仕事に就く未来なんて描けませんでしたけど、実際入ってみないと分からないですから。」

きっと、いいところも悪いところも含めその仕事が好きだと思えるなら、その仕事を続けたらいい。そう言われた気がした。迷ってるうちはとことん突き詰めたらいい。それこそ飽きるまで。嫌になるまで。そうやって未練をなくしていけば、もう迷うことはなくなる。

やっぱりお姉さんに聞いてよかった!と思い、失礼ながら年齢を聞くとわたしより10歳も年上だった。勝手に同じ20代だと思っていたから「え!全然見えないですね」と言ったら嬉しそうにしていた。実は昨日が誕生日だったんです。とこっそり教えてくれた。


ここからは完全にわたしの興味本位で聞いた話。

(ここで勧誘するの)わたしで何人目ですか?と聞くと、

「お姉さんが一人目です!やるぞ〜と思っていた所にお姉さんがきたので運命だと思って話しかけちゃいました笑」

普段からあまり声をかけられないわたしは不思議に思って、どういう基準で話しかけているんですか?と質問。

「まず、挨拶をして会釈なり挨拶を返してくれる素敵な人に声をかけていますね。目が合ったのに無視される方もいるので、そういう方は無理に追いかけないです。」

なるほど。確かに挨拶されると目を合わせてしまいがちだ。そして、なんだか挨拶をしてもらったのに無視するのはどうかと思いついつい会釈を返してしまう。そこで引っ掛かるわけだ。


最後に、「色々とお話を聞かせていただいてありがとうございました。お仕事頑張ってください!」となぜかわたしの方がお礼をいうことになってしまった。

営業のお姉さんも「お仕事頑張ってくださいね!ありがとうございました。」と見送ってくれた。



たまたまあの時間に、あのハローワークに行ったから素敵な出会いがあった。

勇気を出して大人に相談してみた。

そんな何気ない行動がこんないいことに繋がるなんて。

他にもいいことが続き、動画サイトで見たかったアニメの続きがアップされていたり、好きなゲームの新シリーズが始まっていた。

本当に今日一日で何日分のいいことが起こったのだろう。

いいことって本当にあるんだ、と幸せになった1日でした。


たくさん話を聞いてくださった素敵なお二人に感謝いたします☺️

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?