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君に恋する5秒前【掌編小説】

「がんばれ!」
応援席の私は、バスケの試合を見守る。
シュート。歓声。
「キャプテン、かっこいいね」
隣の友達がささやく。私達はキャプテンの追っかけだ。
なのに今日は、なぜか君に目がいってしまう。ただの幼なじみなのに。走る姿、真剣な横顔。
「かっこいい」
「だよね」
君にドキドキする。

   ☆ ☆ ☆

試合終了。うちの学校は負けた。応援してた私は、会場から出るメンバーを迎えた。
「お疲れ様」
皆が泣いていた。君を除いて。
なぜかな。私には、君の心が泣いているのが分かるよ。
「おい」
「ん?」
「部長に声をかけなくていいのか」
部長への片思いを、彼は知っている。
でも今日、私が見ていたのは君の姿ばかりだ。
「いいの」

   ☆ ☆ ☆

帰り道を、君と歩く。
「ねえ、泣いてる?」
「いや」
でも口がヘの字になっている。
「そうかな」
その形は嘘をつく時だよ。
指摘すると、君は空をあおいでクソーッ!と叫んだ。どこかの家で犬が吠えた。

背後から君は、私に両腕を回した。そうして上着のフードに顔を埋める。
「悔しい」
「うん」
「すごく悔しい」
「分かるよ」

回された腕に、そっと手をそえた。
強く、ぎゅっと抱きしめられた。



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こちらはTwitterの 140字小説( https://twitter.com/asakawario/status/1354318658332368905?s=19
) を、追加修正して再掲しました。

幼なじみが恋人に変わっていくところを描きたくて、書いてみたものです。

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