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社会保険ってなんですか?新入社員に聞かれたときの模範解答

こんにちは。

複業フリーランスのさつきです。

「先輩、社会保険ってなんですか?」と新入社員に聞かれたときの模範解答となる記事をまとめました。新入社員に教えているテイストで書いていきますので、先輩社員の皆さんや人事労務職として働く皆さんはぜひ参考にしてみてください。

先輩、社会保険ってなんですか?

社会保険というのは、日本で安心して暮らせるように国がととのえてくれた、社会保障制度の中の一つです。

社会保険に入っていれば、病気やけが、出産や介護、障害をもってしまったり、失業をしてしまったりしたときに助けてもらえます。

会社員になった皆さんが関わる社会保険は、主に次の5つです。

  1. 厚生年金保険

  2. 健康保険

  3. 雇用保険

  4. 労働者災害補償保険

  5. 介護保険

この5つの社会保険について、ひとことずつ簡単に説明します。

①厚生年金保険

厚生年金保険は、会社勤めになった皆さんが支払う年金保険で、高齢者になったとき・死亡したとき・障害になったときの3つのリスクに備える目的で加入します。

皆さんは20歳になったときから、国民年金保険を支払っていますよね?もしかしたら学生納付特例といって、国民年金の支払いを止めていた人もいるかもしれませんね。

実は会社員の皆さんは、この厚生年金保険を国民年金保険とセットで納めなければなりません。

給与明細には厚生年金としか表示されませんが、会社が皆さんの代わりに計算して手続きしておくので大丈夫です。きちんと国民年金分も支払ったことになるので安心してください。

「ちなみに厚生年金払うとどのくらい戻ってくるんですか?」

一人ひとりが過去に支払った年金額によって、将来受け取れる年金額は異なります。また、厚生年金は高齢になったときだけでなく、死亡や障害状態となったときにも受け取れます。ここでは目安として、ざっくりとした金額をご紹介します。

厚生年金とセットで払っている国民年金は、40年間マックスで払い続けると、65歳から毎年80万円弱の年金になって返ってきます。月々7万円いかないくらいです。

厚生年金は、国民年金の上乗せ部分としてもらえますが、皆さんが稼いだ金額に比例して増えていきます。例えば年収400万円ほどで働き続けた人は、月14万円の年金額と計算できます。

くわしく年金額を知りたい方は、日本年金機構の年金見込額試算を利用してみてください。

日本年金機構の年金見込額試算


②健康保険

健康保険というのは、病気やけが、出産などを保障する医療保険です。健康保険の運営している事業者を保険者と呼びます。

大企業勤めの会社員の場合、保険者は組合けんぽとなります。それ以外の企業にお勤めの人は基本的に協会けんぽに加入しています。

健康保険に加入していると、高額な医療費支払いを助けてくれたり、出産時に一時金をもらえたり、病気などで会社を休業したときに生活保障をしてくれたりします。

一番イメージがつきやすいのは、病院での支払い額が3割負担になる点でしょう。

ちなみにこれからは、厚生年金と健康保険の保険料を一緒に計算して、会社が代わりに納めておくので安心してください。

③雇用保険

雇用保険は、皆さんが転職するときに、なかなか仕事が見つからず失業期間が長くなったときなどに生活保障をしてもらえる保険です。

失業したとき以外にも、介護や育児で仕事ができないときにも、サポートもしてもらえるんですよ。

雇用という名前がついてるので、「雇用を守る」とか「雇用するのを促進する」といったイメージで覚えておくといいですね。

雇用保険の保険料は、会社と皆さんそれぞれが、決まった金額を支払います。これも毎年の給与明細を見て、いくら支払っているか確認してみてください。

④労働者災害補償保険

労働者災害補償保険とは、一般的には労災保険と呼ばれます。

会社勤めの皆さんが、通勤途中や仕事中にけがや病気、死亡したときに補償をしてくれる保険です。

Web会社で在宅勤務のAさんと、建築土木の職人で高い場所で作業しているBさんがいた場合、けがするリスクは圧倒的にBさんのほうが高いですよね。なので、労災保険料は、リスクのある事業のほうが高い金額を納めるルールです。

ちなみに、労災保険の保険料は企業が全額負担しています。労働者である会社勤めの皆さんを、守るために、会社の責任で加入する保険だからです。

⑤介護保険

介護保険は、その名の通り介護に関わるサービスを、小さい負担額で受けられる保険です。実は、新入社員の皆さんはすぐ加入する必要はなく、40歳になってから介護保険に加入をします。

介護保険料は、健康保険料とセットで納めることになっていて、加入していれば介護関連サービスの自己負担が1割になります。

とはいえ、40歳になったときに皆さんがどのくらい稼いでいるか、どこの保険者に加入しているかによって、給付額も変わるかもしれません。頭の片隅に、介護は40歳からだと入れておけば問題ありません。

最後に、住民税と所得税

新入社員の皆さんは社会保険以外にも支払いが必要なものがあります。多くの会社員から給与天引されている2つの税金を簡単に説明します。

①住民税

皆さんがお住まいの市区町村ごとに、住民税(市民税)を支払う義務があります。この住民税は、前年度所得に対して計算して翌年納付をする仕組みとなっています。

前年度所得というのは、2021年4月入社の皆さんであれば、2020年1月~12月の1年間のトータルの所得のことです。所得という言葉は聞きなれないかもしれませんが、皆さんが働いて得た収入から、必要経費というものを引いて残ったものが所得になります。

住民税には、普通徴収と特別徴収の2種類があるのですが、会社勤めになった皆さんは特別徴収という方法で税金を払います。

普通徴収:自分でお住まいの市区町村に直接住民税を支払う
特別徴収:会社経由で給与天引きした住民税を支払ってもらう

2021年4月入社の皆さんは、2021年に得た所得を計算して、来年の6月から翌年5月にかけて給与天引きで1年分を支払います。

②所得税

最後に所得税の支払い方を説明します。

これから、皆さん給与から所得税が毎月引かれます。これを源泉徴収とか、源泉徴収税と呼んでいます。

所得税というのは、1年間に受け取った所得の金額に対して支払う税金です。残念ながら、稼げば稼ぐほど高い所得税を納めるのが日本のルールです。このルールを累進課税と呼びます。

本当は1年間働いたあとに「今年はいくら所得があったかな」と確認して、税金額を計算してもいいのですが、会社勤めの皆さんは「今年はこのくらい所得がありそうだ」と仮で計算したうえで、毎月の給与から仮の所得を納める仕組みです。

1年間終わるころに、改めて所得を確認して、税金を払いすぎてたら還付・足りなかったら追加で納付をします。この所得の確認手続きを年末調整と呼びます。

年末調整については、また年末調整の時期になってから勉強すると良いと思うので、今日は次のポイントだけ覚えておけば大丈夫です。

  • 住民税は、前年所得をもとに計算するので新入社員の給与天引は2年目から

  • 所得税は毎月「源泉徴収」されていて、会社が年末調整で帳尻合わせをしてくれる


以上、新入社員の皆さんが知っておきたい社会保険のルールでした。

もっと詳細を知りたかったら、また聞いて下さいね。

※今回は、短い時間で簡単に教えるため、一部表現を簡略化しています。

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