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私的なHR業界2019振り返り。外国人のビザ解禁~求人を紹介しないキャリアサービス~Wantedlyのカジュアル面談までまとめました。


こんばんは。人事、人材業を中心に複業フリーランスをしているさつきです。私なりの視点で2019年の人材・採用業界を振り返ってみたいと思います。

■2019年上半期

日本で働く外国人のためのビザ解禁

恐らく私の周りで働いている人材業界の皆さんは、日本人の採用しか経験していない方が9割です。日本で働く以上、日本にいる外国人労働者の現状はきちんと押さえておいて間違いないと思うので、1つ目のTOPICは外国人雇用について。

2019年4月に、外国人労働者向けの特定活動というビザの制度がスタートしました。たぶんビザって言っても日本人向け転職エージェント業の方とかピンと来ないと思うので超ライトに説明します。

・日本で働く外国人労働者は過去最高値で146万人をとっくに超えている
・日本で働くためにはビザが必要
・ビザには色んな種類があり、手っ取り早いのは「日本人と結婚してる」人や「日本人の子供」など身分に基づいて滞在してるビザ。これさえあれば、日本人と同じ条件で働けます。
・身分系以外のビザは、1個ずつルールが複雑。もっと外国人労働力に頼りたいってことで、新しいビザを作った(←今ここ)

この特定活動ってビザができれば、なんと直近5年間で、外国人労働者の数が最大345,150人も増えるって国が言っています。

マニアックですけど法務省サイトとかにめっちゃ詳しく書いてあります(私は全部読んでカラーペンで線引いて勉強していまry)

この制度が始まったとき、外国人採用の支援をしている人材会社はにわかに盛り上がったのですが、関わっていた身から言わせていただくと、結論「外国人はそんなに簡単に増えないし増えてもすぐに戦力にするにはマジで難しい」ってことです。実はこの特定活動ビザは超最難関のビザのため、行政書士さんはじめ様々な機関が仲介して成り立つ仕組み、かつルールがほんっとうに複雑なんですね。

とは言え、都心部の飲食業・清掃業・派遣業などいわゆるブルーカラー領域の外国人労働者への依存度は恐ろしく高くなっています。1都3県の有名ホテルチェーンとか、あの御三家ホテルとか、駅横にある某JR系のビジネスホテルのベッドメーキング清掃員は半数以上が外国人なんです。

有楽町のとある居酒屋ではモンゴル人の女の子が働き、某有名コンビニチェーン店の食品倉庫内はベトナム人留学生で埋まっています。

ちなみに、「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成30年10月末現在)、という統計調査が厚生省から出されていますが、平成30年10月時点で146万人なんですね。なので現在はとっくに150万人を超えているはずです。さらに今から5年前は70万人ちょっとしか外国人労働者がいなかったので、5年弱で倍増しちゃってるんですね。汗

そんな訳で、1つ目のTOPICから書きたいことは山積みですが、日本(特に東京)は、間違いなく外国人労働者に今後も頼ることになります。ビザ申請は個別に対応せねばならず、非常に難しい問題が山積みで、なんの知識もなく外国人のパートさんを雇っちゃったら雇用主側が守るべきルールを守り切れず、法を犯してしまう…なんて日常茶飯事で。

あと派遣で働く日本人もだいぶ減ってきていまして、2019年1~3月平均の派遣社員数は約142万人なんですね。はい…外国人労働者の方が派遣より多いんです。


有給5日取得の義務スタート&残業の青天井に規制がかかるも…

労務系のTOPICで言いますと、個人的にこの2つはやはり注目すべきTOPICでした。ちょうど今年の4月、とある人材派遣会社&人材紹介会社の免許更新があり、更新がてら研修に参加してきたんですね。その時に、有給5日取得が義務になったこと、残業時間の青天井に一線が引かれたことを習いました。

(今更聞けないどうしようって方は、まず厚生省サイトを見るのが大事です↓これ)

残業時間については、物凄くはしょって話しますと、昔のルールでは残業上限が決められているようで実は曖昧な部分があり、抜け道を探せば青天井で残業し放題だったわけです。でも4月以降、かなり明確に残業上限が決まりまして、下記3つがポイントに。

★年720時間以内
★複数月平均80時間以内休日労働を含む
「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1月当たり80時間以内)
★単月で100時間未満(休日労働を含む)

この80時間以内っていうのは、どの月の平均をとっても80時間以内におさめなくてはだめですし、単月で100時間残業超えたら一発アウトなんですね。しかしここまで書かないと過労死ラインを超えてしまう事業社が後を絶たない日本っていうのは…本当にイケてないなぁと感じました。

有給取得に関しては、「有給休暇の取得台帳」的なものを、事業社は必ず作成して保管しなくてはならなくなりました。義務です。これは本当に義務ですよ!残念ながら、複数の企業では有給取得が強制になると事業経営が成り立たない(いっぱい休まれると現場の人出足りないんだけど)ってことで、ずる賢くも年間公休日を減らして、今まで普通に休みだったとこを出勤日にするという荒技に出ました。(本当に最悪。)今までは公休だったのに、勝手にそれが有給にすり替えて、あたかも5日取得させたと見せるこの荒技は、大ブーイングを受けました。

恐らく、来年度から始まる同一労働同一賃金についても、何かしら企業が抜け道を探して準備を進めているでしょう。一番あり得るのは正社員の手当削減ですよね。。この辺の流れは、しっかりウォッチしていきたいなと思った2019年でした。

(みんな有給取得していいんだよ!フリーランスには関係ないけど)

フリーランス向け・副業獲得向けのプラットフォームの増加

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純粋に、めっちゃ増えたなという印象です。

プロの副業
Workship
Youtrust
Waris

全部使ったことがありますが、まだまだどのサービスもトントンだなぁという印象です。案件数、マッチングのさせ方、インターフェイスの良さ、案件の質・価格…これが絶対に良い!という感じは個人的にはなかったです。

でも、各社右肩上がりにユーザー増えているのは間違いないですね。副業解禁して、これらのプラットフォームが注目されるものの、この中から優秀な人材を見つけ出すのは至難の業だなぁというところでしょうか…。

来年もどんなサービスが出てくるのか楽しみです!

noteを使った採用広報どんどん増えて競争激化

キャスターさんがピースオブケイク社と、採用広報のアウトソース事業を始めたのも今年でした。すっかり定着しているので、去年くらいのことかと思っていました。

採用広報の流れは、来年度もまだまだ続くと思いますが、料金が590,000円 (税抜) / 1アカウントあたり、月額というのは、使う企業がめちゃくちゃ限られるな~という印象でしかなかったです。(強気のプライシングさすがです)。この金額でアウトソースできるものの、Webディレクターやライターさんが必ずしも採用広報のプロかどうかは分からないし、59万かけるなら、自社でライター1人を業務委託で囲い込んでやった方が良いのかなぁという印象でした。

(ちなみに私は〇万円で月4本くらいは採用広報のゴーストライターしていますw)

noteの波はまだ来ていますが、いつも言っている通りでSNSには流行りすたれがあり、各SNSのアルゴリズムが変わったら打撃を受けるので、自社のHPやらメディアをどうするか?を、引き続き考えていきたいですよね。

■2019年下半期

Wantedlyのカジュアル面談で議論バチバチ

これは記憶に新しいですが、何名かの人材関係者が、やっとWantdlyのカジュアル面談についてズバッと言ってくれましたね。(本当にありがとうございました。)採用する側としては、「カジュアル面談って面接に決まってるじゃん。面談と言っててもある程度は判断するよ?」と偉そうに言いたいのも分かりますが、Wantedlyユーザー側には「応募する」ボタンではなく「話を聞きに行きたい」ボタンが見えているわけですから。

ちなみに、企業が選考をする場合は、求人票(ちゃんと給与待遇書いてあるやつじゃないと求人票として認めませんよ)を見せなきゃダメなんです。勝手に選考をして不採用とか言っている場合ではないですよね。

それだけ今の採用は、顕在層の刈り取りだけでは無理ゲーになってきたわけです。潜在層と、細く長く繋がり、ファンを作り続け、潜在ユーザーが「転職しよう」と動き出したときに1番に名前が挙がってくる企業になるために、種まき活動として、カジュアル面談をやるんですから。

カジュアル面談の定義を、社内でガチっと決めるべきだと私は思っています。

Twitter採用とbosyuは強い

今更ながら、下半期になってbosyuを使い、Twitter採用なるものを体験しました。結論、お仕事がもらえたり、人の採用、出会いに繋がりました。

つい先日の人事セミナーで、paymeさんもTwitter採用で2名獲得って言ってたんですね。当たり前ながら、Twitter採用はまだまだいけるなと感じています。SNSは使い方次第だなと思った2019年でした。

ワーママ向け転職サービス激化

ワーママや女性向けのエージェントサービスは、近年かなり増えました。私がインテリジェンスを辞める時、めっちゃ探したのですが、この時は1社くらいしかなかったんです。(パートさん採用の主婦ジョブはあったけど)

徐々にリブズキャリアさんが知名度を上げてきて、リアルミーキャリアさんがワーママ転職をじわじわと盛り上げ、最近ではもう少しハイクラス向けのwithworkとか、わりと幅広め時短ママ向けのママテラスさんとかスマートキャリアさんとかですかね。増えたなぁ、増えましたね。

やはり女性として、ワーママ課題は解決していくべきだと思うので、2020年はよりワーママ転職が盛り上がると良いなぁと思っています。

求人紹介をしない2大サービス「そうだんドットミー」「meetcareer」

meetcareerさんとそうだんドットミーさんのような、求人を紹介しないキャリアの相談窓口が出てきました。(実際には上半期)最初このサービスを見たときは、求職者である個から5000円とか取るのか~つよつよだな!と思いましたが、見事に右肩上がりにユーザー増。その背景には、悲しきかな、転職エージェントの悪い口コミが増えていて業界の質が危ういという点があります。

キャリアコンサルタントの資格をとった人材業界出身ではない方が、個人で顧客を獲得して、キャリアの相談に乗りまくるという流れもにわかにブームになっていますよね。うーん、本来は転職エージェントのキャリアアドバイザーがやるべき仕事なのに、どうもアドバイスをするほどキャリア相談に乗り切れていないという人材業界の課題感が露呈しています。

とは言え、具体的な求人を見せないと、相談者さんが本気で相談ができない、という課題もあったりして。転職を本気でしたいユーザーは、結局エージェントに流れるか求人サイトの利用になるんですね。

求人の紹介をしない形のキャリア相談をする中で、相談の着地点として「やっぱり転職したいから求人ちょうだい」となっていくのは自然な形なので、今後これらのサービスがエージェント機能を持っていくとか。

その逆で、転職エージェントが改めて「相談」や「キャリアの棚卸し」にしっかり付き合う、という流れは出てくるでしょう。ちなみに余談ですが、そうだんドットミーさんは登録会行ったのに落ちました(笑)きっと私が法人営業寄りだったので、キャリアアドバイザーっぽくないって見られたんですよね。残念ですが、別のところでアドバイザー頑張ります!(アドバイザー必要だったら駆け付けますのでお声かけください。女性向けの相談ばっかり乗ってるけど)

anありがとう。求人メディアの時代がひとつ刻まれた

涙が出ました。求人情報誌の先駆けであったan。タウンワークよりもanが先に出来たって皆さんご存じでしたか?dodaとan、salidaなんかを売っていた身としては、本当に本当に残念でした。

anとLINEバイトがタッグを組んだ時、「今度こそanは行ける!」と思っていましたが、その後LINE社はマイナビとエン・ジャパンと手を組みなおしましたね。(元彼が他の子と付き合ったような心境)。今後のLINEバイトはマイナビバイトへ任せて、LINEの中途採用版はエン・ジャパンに任せました。

※TOPの画像はanのキャラクターのアンドーくんです。

■2020年に向けて私が思うこと

今回は、2019年の人材・人事界隈で働く中で、私が個人的に気になったTOPICをまとめてみました。皆さんは、どんなことが記憶に残った1年でしょうか?

企業の採用を背中押しし、はたらく1人ひとりの仕事ライフを豊かにするために、2020年も人材・人事業界の皆さま、頑張っていきましょう!

おわり。


1人ひとりが安心してその人らしく働ける世の中づくりをしていきます!社労士勉強中の励みになります…応援よろしくお願いします\(^o^)/