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全国水族館の旅【37】横浜・八景島シーパラダイス

6月はゴールデンウィークと夏休みの間のインターバルタイムであり、混雑を避けて有名水族館をスムーズに回れる貴重な時期です。ということで、レジャーシーズンには確実に混むであろう人気の学術エンターテインメント施設を、今のうちに思いきり楽しむことをオススメします。
著名な観光地である八景島には、たくさんの生き物と出会える大型レジャースポットがあります。思いきり遊びつつ、いっぱい学んでいただきたいと思います。


アクセス抜群! 関東の特大観光レジャースポット

横浜・八景島シーパラダイス。関東人の方は、子供の頃、よく親御さんに連れられて行ったご経験がおありではないでしょうか。水族館と遊園地が融合したエンターテイメント施設ですので、多くの人々はシーパラをディズニーランドと同じアミューズメントパークのような感覚で捉えていると思います。
テレビや雑誌では娯楽性を強調して宣伝されていますが、水族展示エリアはとても学術性が高く、他の水族館にも負けないほどの素晴らしい学びにあふれています。また、民営の大型水族館ならではの、生き物たちとの楽しいレクリエーションが味わえます。

筆者は横浜駅から京急線に乗って、金沢八景駅でシーサイドラインに乗り換えました。海沿いの景色を楽しみながら、まったりとシーパラへ向かいます。八景島に近づいていくにつれて、ワクワク感も高まってきます。

八景島は有名観光地なので、アクセス手段は充実しています。筆者は金沢八景駅よりシーサイドラインでの電車移動を選択しました。
海沿いの路を走り、八景島駅に到着。駅の階段には、水棲生物たちの愛らしいイラストが描かれています。

八景島駅に着いたら、のんびり歩いてシーパラダイスへ向かいましょう。島のほとんどがレジャー施設となっているので、道中でたくさんのアトラクションを目にすると思います。見るからに楽しそうな夢の島であり、ぜひとも時間を忘れて至福の時間に浸ってください。

駅からシーパラダイスまでは徒歩5分ほど。潮風を浴びながら、広々とした道をゆっくり歩いていきましょう。
楽しそうな水族館の写真が並べられています。期待とワクワクが一気に高まりますね。

シーパラはたくさんの施設を擁していますが、水族館好きなら真っ先に向かうべきはアクアミュージアム。神奈川県と世界中の水域から集合した美しい生き物たちの展示、そしてダイナミックな海洋哺乳類たちのショーが待っています。

観光客の有名撮影スポット。シーパラは飲食店もショッピングも充実しているので、丸1日最高の気分で楽しめると思います。
アクアミュージアム。ゴージャスなシーパラダイスでは、どのような生き物たちが出迎えてくれるのでしょうか。

生き物たちと丸1日遊べるオーシャンサイドの楽園

水棲生物の神秘を学べるアクアミュージアム

シーパラを「海の遊園地」のように捉えている方もいらっしゃいますが、アクアミュージアムは水族館ですので高い学術性を有しています。実際に、筆者もスタッフさんからたくさん海洋生物の秘密を教えていただきました。
豪奢さと学術性を兼ね備えたシーパラのアクアミュージアム。いっぱい魅了されて、いっぱい学びましょう。

エントランスを過ぎれば、長大な展示水槽が出現。上部設置されているのは展示生物の紹介パネルであり、かなり多種の生き物が飼育されているとわかります。
砂地を掘るキスジキュウセン。生き物たちをじっくり観察していると、ユニークな行動を見せてくれるときがあります。
クロユリハゼ。並んで泳ぐ姿はとても美しく、まさに海の妖精のようです。

序盤の生体展示で人々の注目を集めるのは、寒冷地・極地の脊椎動物たちです。巨大でありながら愛嬌たっぷりのホッキョクグマ、強烈な威厳を湛えるセイウチなど、パワフルなスターたちが来館者を圧倒しています。
寒冷の大地を統べる強者たちの勇姿、めちゃくちゃかっこよくて感動します。

イヌかきならぬクマかき力強く泳ぐホッキョクグマ。クマの中では最も大型になります。
とってもパワフルなセイウチ。巨体を翻して泳ぐ姿は圧巻です。
ゴマフアザラシ。同じ鰭脚類でもセイウチとは体型や泳ぎ方が異なっていますので、じっくり観察してみましょう。
サービス精神旺盛なオウサマベンギン。大型のペンギンなので、間近に来るとかなりの迫力があります。

八景島シーパラダイスには、照明が工夫されたキラキラの水槽がいっぱい。現実的な話をすると、一般企業が経営する民営系水族館では利益を出さなくてはならないので、水槽の美しさも大事なのです
テレビでよく目にするイリュージョンたっぷりの大型水槽は、見る者全てに癒しと感動を与えます。色彩豊かな光と水の空間は、魚たちの魅力を強く引き出しています。

サメをはじめ、多種の魚たちが舞う大型水槽。アクアミュージアム内の至るところに大きな観察窓があります。
定期的に水槽の照明が変化する魅惑のショータイム。幻想的なBGMが流れ、来館者を夢の海へと誘います。
シーパラと言えば、このエスカレーター通路をイメージされる方も多いのではないでしょうか。テレビの旅番組でよく写る場所ですね。

神奈川が擁する海域の1つが東京湾。房総半島と三浦半島に囲まれ、干潟や磯場などの生き物豊かな世界が広がっています。シーパラでは水族展示で東京湾の多様な環境を来館者に説き、さらに湾内の自然環境保全にも取り組まれています。東京湾の生物多様性を学びながら、本館の学術性の高さを感じてください。

ウスメバルなどの魚とマコンブが飼育されている水槽。マコンブは冷たい海を好む海藻であり、水温の低い冬季には東京湾でも養殖されます。
可愛いボラたちが泳ぐ、浅瀬のアマモ場を再現した水槽。アマモ場は多くの海洋生物が育つ場所であり、シーパラの職員さんたちが保全に取り組まれています。
東京湾の磯場を再現したオープン水槽。コンクリートで固められたコンテナ船の埠頭だけが東京湾ではなく、海洋生物が豊かに棲める環境も存在しているのです。

神奈川県が有する相模湾はとても深い水域があり、駿河湾や富山湾に匹敵する日本有数の深海なのです。中心部には「相模トラフ」と呼ばれる巨大な深海の谷があり、複雑な海底地形を構成しています。
いまだに人類の手が及ばない未知なる深海域。次なる展示エリアでは、不思議な深遠の生き物たちと出会うことができます。

深海魚ラブカの剥製標本。原始的なサメの特徴を有しています。
スナウミヘビ。決してヘビではなく、アナゴやウナギに近い種類の魚です
アカザエビ。日本近辺の深海に生息する固有種です。
キホウボウ。泳ぐことよりも、「海底を歩くこと」の方が得意な魚です。

お次はかっこいいサメたちが登場。大型では複数のシロワニが飼育されていて、対面すると、あまりの精悍さと美しさに見とれてしまいます。
群を抜いたかっこよさで、いつの時代も我々を魅了するサメたち。飼育員さんの解説を聴きながら、ミステリアスなサメの実像を学んでいきましょう。

力強くてかっこいいシロワニ(ワニではなくサメです)。やや暗めの照明が、彼らの神秘性を際立てています。
可愛いネコザメ。サメは大半がおとなしい魚であり、人を襲う種類はごく一部です。
サメの体にタッチできる体験学習。飼育員さんの指示を守って、優しく触ってあげましょう。

個人的に本館で一番学ばせていただいた場所は、ラボ型展示コーナーを有するクラゲのエリアです。美しいクラゲたちの生体展示はもちろん、飼育員さんの解説タイムにてクラゲの秘密をたっぷり学習いたしました。こちらの質問に1つ1つ丁寧に答えていただき、クラゲの食性や飼育方法について、多くの知見を得ることができました。こういったレクチャーイベントは多くの水族館で催されているので、知識を広げるためにも、ぜひ参加して飼育員さんのお話を聴講しましょう。

パシフィックシーネットル。給餌の時間だったようで、ミズクラゲの体の欠片を触手で絡め取っていました。
サカサクラゲ。浮遊性ではなく、底性のスタイルで生活する珍しいクラゲです。
クラゲの成長過程を学べるラボ型の展示。飼育員さんから、クラゲの様々な秘密を教えていただきました!
顕微鏡カメラにて、ポリプとエフィラ(クラゲの赤ちゃん)の給餌を観察。動物プランクトンをおいしそうに食べています。

シーパラは環境保全活動でもハイレベルな実績をあげており、奄美大島の徳之島からの依頼を受けて、当地の海の環境調査を実施されています。本館の調査によって、徳之島の海域は素晴らしく生物多様性の豊かな島であると判明しました。徳之島の海洋生物たちの生体展示を通して、奄美の海の素晴らしさを理解できます。

奄美大島の徳之島の海洋生物を展示した水槽。徳之島での海洋環境調査を含め、シーパラでは環境保全のなめの学術的活動が実施されています。
ちょうど魚たちへの給餌タイム。飼育員さんがスポイトで餌を与えています。
アオウミガメ。貫禄と可愛さを併せ持つスター生物です。

続いては、広大な屋外展示「フォレストリウム」です。水棲生物を中心に、世界各国の人気者たちが大集合します。魚類はもちろん、数多くの魅力的な脊椎動物が夢の空間へと連れていってくれます。観覧を進めるほどに、実際に森の中を探検している心地になります。

オープンエリア「フォレストリウム」。様々な場所に個性豊かな生き物たちが隠れています。
神々しいシルバーアロワナ。熱帯性淡水魚としての人気は不動のトップですね。
チリーフラミンゴ。立ち姿は芸術的です。
マイペースなプレーリードッグたち。眠っている子も、食事している子もいます。
インドホシガメ。おいそうに野菜を食べています。

海の天使たちによる魅惑のショータイム

お待たせしました! イルカたちのメインステージ「アクアスタジアム」は観客の熱気で大盛り上がり。海の天使たちによる魅惑のショータイムの幕開けです。素晴らしきパフォーマーたちの技の数々が、来館者を圧倒・魅了します。

イルカたちの前座として、可愛いゲストたちが行進。後方の大型スクリーンによって、愛らしい仕草がはっきり見えるのがいいですね。
大きなシロイルカたちが登場。愛嬌抜群で、観客から大きな歓声があがります。
飼育員さんを鼻先に乗せた状態で遊泳。信頼と運動能力の成せる技ですね。
バンドウイルカとカマイルカは、驚異的な運動能力で観客を魅了します。ジャンプ技のバリエーションは多彩で、どこまでもギャラリーを楽しませてくれます。
イルカたちは、道具を用いたパフォーマンスも難なくこなします。飼育員さんとの息がぴったりですね。

イルカたちのショーに感激した後は、アクアミュージアムを飛び出して、お隣の「ドルフィンファンタジー」へと向かいましょう。
こちらでは、陽光差し込むアーチ水槽にて、バンドウイルカの美麗な姿を拝むことができます。穏やかに舞うイルカたちを眺めていると、いつの間にか夢の中へと引き込まれてしまいますね。

イルカたちをじっくり観察できる飼育展示施設「ドルフィンファンタジー」。アクアミュージアムのすぐ手前にあります。
ドルフィンファンタジーに入館。ダイバーさんが水槽の掃除をされていました。
飼育されているのはバンドウイルカ。好奇心旺盛な個体は近くまで来てくれます。
トンネルタイプのアーチ水槽なので、頭上をイルカたちが通過します。まさに海の天使!

後ろ髪を引かれる思いでドルフィンファンタジーから出たら、海沿いを歩いて「うみファーム」へと移動します。
この施設は、なんと海上に築かれています。海に浮かべられた桟橋のような通路を渡り、海中の飼育区画にて魚たちに餌やり体験ができるのです。水棲生物を間近に感じられる体験展示が多いのも、シーパラの大きな強みであると言えます。

海上の展示施設「うみファーム」。その名の通り、ここは魚たちが育つ「海の牧場」なのです。
展示エリアは、海そのもの。海上に浮かべられた道を歩きながら、来館者は魚への餌やり体験を行うこともできます。
筆者も餌やりを体験。飼育区画に餌を投入すると、マダイたちがものすごい勢いで集まってきました。
魚用の餌を求めて、野生のカルガモが海にやってきました。カモとミズクラゲのツーショット、とても不思議な感じがします(笑)

生き物たちと触れ合える「出会いの海」

アクアリゾーツ最後の施設となるのは、ショー主体の展示施設「ふれあいラグーン」です。これまでのショー以上に生き物たちとの距離が近く、内容によっては生き物と本当に触れ合える(生き物から触られる?)体験ができます
魅力的な生命との、心と心のコミュニケーション。きっと、素敵な思い出の1ページとなるはずです。、

シーパラの端っこ付近に位置する「ふれあいラグーン」。いろいろな意味で生き物たちと触れ合える素晴らしい場所です。
敷地内をケヅメリクガメが普通に歩いていました。動き方も見た目も、全てにおいて癒し系です。
魚たちと触れ合える水槽もあります。人間を信頼して寄ってくる子は可愛いですね。

ふれあいラグーンでは、中央部のステージにて1日数回のショーが実施されます。本エリアは人と動物のコミュニケーションを意識しているので、演者となる生き物たちとの距離がかなり近いです。目の前をペンギンが駆け抜けたり、頭上をルリコンゴウインコが飛び回ったりするので、ワクワク感とドキドキ感は満点! 
多様な生き物たちが見せる数々のコミカルなパフォーマンスは、まさに極上のエンターテインメント。至近距離で躍動するスターたちの姿から、一瞬たりとも目が離せません。

ショータイム開幕! 観客の目の前をケープペンギンたちが大行進します。
コツメカワウソが観客の側に来てパフォーマンス。至近距離での対面、本当に嬉しいですね。
ルリコンゴウインコがゴミの分別に挑戦。ちょっと捨てる場所を間違えて、てへぺろポーズを可愛く決めてくれました(笑)。
台本よりも、己の信じる道を突き進むプレーリードッグ! 可愛いハプニングによって、観客は暖かい笑顔になっていました。
パワフルなパフォーマンスを見せるオタリア。勇気ある観客には、彼がスペシャルプレゼントをくれます(笑)

本エリアでの生き物たちとの触れ合いは、ショーだけではありません。なんと、イルカとキャッチボールができます。大人も子供も、夢中になってイルカとの遊びに没頭していました。種族の垣根を越えてスポーツでコミュニケーションできたことは、とってもとっても尊い経験です。

バンドウイルカの飼育プール。イルカの水槽にボールが置いてあるのは、他の水族館でもたまに見かけるのですが……。
このボールは、キャッチボールするためのものです。口や鼻先にうまく使ってキャッチ&トスしてくれます。
人間とイルカのキャッチボール。生物種の垣根を越えた究極のコミュニケーションですね。

ふれあいラグーンは、通常の水族展示もとっても見ごたえがあります。代表例がケープペンギンのトンネル型水槽です。地上では可愛いらしく見えるペンギンたちは、水中に入ると精悍でかっこいいスイマーに早変わりします。パワフルなペンギンたちの一挙手一投足を全方位から観察できるトンネル型水槽は、展示対象の特性にベストマッチしていると言えます。

ケープペンギンの展示水槽。長いトンネル型の通路であり、全方位でペンギンの動きを観察できます。
飛ぶように水中を舞うペンギンたち。トンネル型水槽の構造により、死角なく彼らのかっこいい姿を拝めます。
外側の窓からも、ペンギンたちを観察可能。シーパラの展示スタイルには驚きがいっぱいです。

そして、個人的に強く印象に残ったのは、鳥たちの生体展示です。木が足場として利用されており、来客はかっこいい鳥たちを至近距離で観察することができます。安全対策をばっちり取ったうえで、人々をワクワクドキドキさせるのは本当にすごいテクニックだと思います。

ふれあいラグーン入口の隣には、鳥類展示用の木が設置してあります。鳥たちの足にはロープがついているので、彼らが人に向かって飛びかかってくることはありません
ルリコンゴウインコがとまっています。ショーでゴミの分別に挑戦していた子です。
アメリカワシミミズク。かなりのイケメンですね。

一言で総括させていただくと、八景島シーパラダイスはすごく勉強になるしすごく楽しいです。水族館で環境学習がしたい方も、かっこよくて熱い動物ショーが見たい方も、きっと誰もが感激して大満足できます。まさにシーパラは、学術性とエンターテインメントが融合した海の一大楽園なのです。

横浜・八景島シーパラダイス 総合レビュー

所在地:神奈川県横浜市金沢区八景島(ほぼ島そのものがレジャー施設なので丁・番地なし)

強み:研究活動や環境保全活動と密接に関わる学術性の高い生体展示、動物たちの魅力的なパフォーマンス・大型水槽のイルミネーションなど来館者の五感を強く刺激する各種ショー、多様な生き物たちと身近な距離で対面できる体感型イベント

アクセス面:横浜が誇る観光地ということもあり、交通環境は極めて良好です。シーサイドラインに乗って海を眺めながら電車旅するのもよし、横浜駅前から直通のリムジンバスでダイレクトに向かうのもよし。他県から車でお越しの方も、首都高速湾岸線で爽快にドライブしながらアクセスできます。ただ、交通の便が良いということは、観光シーズンは人が集中しやすく、施設内や駐車場が混雑する可能性を孕んでいます。休日に来訪する場合は、時間に余裕を持って行動しましょう。

メディアではエンターテインメント性が先行して強調されますが、本園のアクアミュージアムはとっても学術性の高い水族館であり、大いに海洋生物を学習できる飼育展示施設です。もちろん、ショーや体感型イベントも超ハイクオリティであり、学びも遊びも心から楽しめます。海洋生物マニア、学校や職場の友達グループ、家族連れ、カップル問わず、誰もがシーパラで最高の時間を満喫することができます。
ぜひともアクアリゾーツの全施設を回り、全ての生き物たちと出会っていただきたいので、丸1日使ってシーパラを楽しみましょう。ただ、冒頭で述べましたように、観光シーズンはめちゃくちゃ大盛況となりますので、フードコートなどで休憩を挟みつつ、マイペースで観覧してください。

フードコートをはじめ、敷地内に飲食店は多数あります。水族館を楽しみつつ、八景島で朝から夕方まで過ごすことができます。

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