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泥まみれの生活

9月、謎の繁忙期。口内炎がふたつできた。ヤーズフレックス3シート処方してもらい金がぶっ飛んだ。定時後、取引先からのどうかしてるメール。話の通じない社員。通じた頃には午後8時。
泥まみれの社会人生活です、なんていいたくなるような金曜日だった。

今週末は散髪した。顔周りの毛をウルフっぽくしてもらうこと、先週むしゃくしゃして切った前髪を整えてもらうこと、後ろ髪も全体的に短くしてくれというむちゃくちゃなオーダーでも叶えてくれる美容師さん。行きつけのジャズ喫茶が縁で、社会人になってからはいつもここで整えている。
今回も期待以上の可愛さになった。モダンであり中性的であり少女のようでもあるかなりバランスのいい頭にしてもらえた。1枚写真を撮って母に送り付ける。当然好評。

夜はそのジャズ喫茶の2階でライブがあった。始まる30分前でもうほぼ満席状態。顔なじみのお姉様方、我が子のように気遣ってくれるおんちゃんのみなさん。こんばんは、こんばんは。

待機時間に相席した男性はカメラマンで、話しているうちに私が大好きな写真集の作者だとわかった。大盛り上がり。カメラのことや、昔の高知の街についてお伺いした。

その方に「あなたは、アーティストですか」と淡々と聞かれたことが妙に面白かった。新しい髪型なのか、自分の雰囲気なのかわからないが「とにかくそんな感じがした」とのこと。その道の方がいうのなら、そうなのかもしれない。美容師さんも加わり、3人で談笑。ここにいる時、いつもこれが「あたたかい」ということだと痛感する。

ライブは言わずもがな最高だった。痺れるようなセットリストはAutumn Leavesからスタート。暦の上とこの店の2階だけは秋だった。床が抜けそうなほどの観客に溢れ、空調もろくに効かない。うちわをもちよってステージを扇ぐ。……やはり夏かもしれない。

なぜかその時点で所持金が100円になっていたのだが、美容師さんに「もう1杯飲みや!奢るき」とお誘いいただき、いやあ本当にすみません……と思いながらごくごく飲んだ。ウイスキーの水割り、いつもと同じように美味い。ライブの後半戦も大盛り上がり。高揚感につつまれ、大喝采とともに終了した。しばらくはライブの余韻が続き、店の辺りはほくほくした人間で溢れかえっていた。

雨が降りそうだったので、帰らなければならないようだった。ぽつぽつと灯りがもともる街を眺めながら、のんびり帰路についた。

今日のために金曜日はあったのだ、と思う。もしくは思おうとする。そうあってほしいと願う。そうじゃなきゃ、この口内炎の痛みも報われないじゃないか。しかも所持金100円だし。

言いたいことがわからなくなってきたので、おしまい。読んでくれて嬉しいです。ありがとう。


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