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冠夜集

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鎖月いのるの短歌を月ごとにまとめた冠夜集(かんやしゅう)。 日々のあれこれや特別な思い出を約三十一字で表します。
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#冠夜集

2024年 8月 短歌まとめ

連作久しぶりのドライブ ゴトゴトと海岸線を汽車は行く 車窓が切り取る恐怖の青さ いくつに…

2024年 6月 短歌まとめ

連作ポジディブ希X念慮 顔つきが強ばっている午前九時 口紅を塗る余裕はなくて いなくても一…

2024年 5月 短歌まとめ

連作プールの水ぜんぶ抜く 忙しない日々のすべてが疎ましく 五月が一年中続いてる おじさん…

2024年 4月 短歌まとめ

連作花をむすぶ 花瓶には色鉛筆のみずいろで描いたカーネーションが息する 花になるための葉…

2024年 3月 短歌まとめ

連作日々溺々(おぼおぼ) 暮らしから逃げたくなって走っては疲れて気づく 暮らしにいると 気…

2024年 2月 短歌まとめ

連作社屋が砂浜 やさしさに「わたしなんか」を包まれて 泣き顔の午後 飲む抹茶ラテ 本日の営…

2024年 1月 短歌まとめ

連作ひきこもこも 名作の「サタデーナイトフィーバー」は言うほど面白くもなかった 前髪が切りたくなった午後一時 きみに眉毛を見せておきたい 右側のボタンを押して放り投ぐ ネットの海に魚はいない かつおかつお かつおを食べて肥えても 公開したくないの 私は どうぶつと遊びし夜は快晴で きらり 落ちゆく液晶の星 ゆめの港町 海辺では昔の恋がきらめいて吸いこむ酸素 鼓動のリズム 正解を否定されたら怖いからこころのノートは余白が多い まぶたでは海からあがったばかりのあ

2023年 12月 短歌まとめ

連作下の句はゆるして 周り見て記憶を探って見たけれど たった一首も浮かばなかった 「詠み…

2023年 11月 短歌まとめ

連作思想エントランス 旅先で出会いしイタリア・韓国の英語に日本訛りを交ぜる カラフルなエ…

2023年10月 短歌まとめ

連作のもの風の境目 オクトーバー タコみたいだね 10なのに オーガストはさ、秋みたいよね …

2023年 9月 短歌まとめ

連作のもの拾えぬ骨 女の子扱いに飽きてきちゃったし 副流煙は肺に悪いし 「眠いなら風呂に早…

2023年 8月 短歌まとめ

連作のものSolitude 黒板の三角定規 わし座にも「角a」とあり 解を求むる 波音の近くまでペダ…

2023年6月 短歌まとめ

連作Quiet Hysteria 湯上がりにアイスクリンをすくいつつ足でなるべく畳を撫でる 街中に こ…

2023年5月 短歌まとめ

連作ベンジャミン・帰郷 茜さす空の裾野にふるさとが、私の帰るふるさとがある。 まもなく2番ホームから列車が 規則正しく発車いたします 夜だから何も見えないと知っててそれでも座りたかった海側 慣性の法則:時速100キロの空気のうちで赤ちゃんになる トンネルを通る音は又三郎に出会ったあの教室の朝 20連休くらいになってから「大型連休」を名乗れ ばかたれ 記憶の海に 台風の次の日 臨海学校で先生たちに 殺されかけた 「流されたとき、お母さんのこと考えたがやって。」