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2023年6月 短歌まとめ

連作

Quiet Hysteria

湯上がりにアイスクリンをすくいつつ足でなるべく畳を撫でる

街中に こぼれ落ちそうな月さえも じきに欠けゆく また満ちるまで

その眉を人さし指でさわりたい同じ地球(くに)の下なら尚更

触れずに 生きていくのもつらいから もういっそ噛んで めちゃくちゃにして?

読みかけの本みたいだねあんたって 未完成に秘めたる情熱

ストレスフルネス

「しかもねむい」「もう疲れたよパトラッシュ 」つぶやく指が止まらぬかぎり

日曜がシャララシャララと緞帳をおろして底の灯りが絶える

あの「M」の刺繍が放っておけないし ゆうちょから古着屋をかけてゆく

真夏は恋の季節というけれど梅雨の晴れ間も うざったいだけ

お得意の浅い眠りで四時半の微熱をおよぐ 風がほしくて

連作でないもの

無題

定時の十五分前に目が覚めた とりあえず眉は綺麗に描いた

好きなとこ聞かれて悩む おそろしく変態だとしても好きだろうし

逃げ込んだコックピットの窓から叫んだキャッチミーイフユーキャン!

全力でサボれ!できるだけ給料どろぼうになれ!そしたら笑え

不可逆が二十三年続いてる 規則正しく六十進法

私をこんなにするなら事前に説明するのが筋ってもんよ

前よりも後ろがよろし 「数学はひまだよ」なんて手紙が書ける

残ってる人で片付けましょう この惑星の終わりに拾うゴミ

カタコトのエロ垢からのDMに「私のほうがエロい」と答ふ


コラム

ばたばたと走った6月でした。
何だか焦ったり逃げたりしている詩が多いですね。
そんなこんなで心にも不調が。
何なら身体も壊してしまいました。

もっと穏やかに生活して
やわらかい詩を詠みたいです。

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