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アイアムアヒーロー


もうすぐ高校生か


俺は自分の進路に悩んでいた


周りの奴らはすごい

ユーチューバーやら、ラッパーやらティックトッカーやら
ライバーやら、

みんな中学生のうちから自分のアカウントを持ち、個性を発揮しまくって、
なんなら稼いじゃってる。

なんなんだ、最近の子供は

俺の父親なんて
毎日パッとしない誰がしても同じような仕事をして夕方帰ってきて
夕飯食べたら自分の部屋でひたすら
酒飲みながらゲームしたり、アニメ見たりしてる

俺も
父親みたいになりてーなぁ。


言われたことをそれなりにやってさ、
残りの時間はぐーたら

そんな平成の残党みたいな大人になりたいのよ。


でも、さすがに目標なさすぎだよなぁ


もうちょいなんかそれっぽいの欲しいんだよなぁ。


俺はそんなことを考えながらヒロアカの最新刊を買いに近くの本屋に向かってチャリをこいでいた。


まぁ、でも少なくとも人のためになる仕事はしたいなぁ。。。


 すると、毎日通ってる道の脇に
見知らぬ婆さんが小さな机を置き、ちょこんと椅子に座っていた。

俺はものすごく気になりすぐ声をかけた


「おばあさん何してるんですか?」


「占いじゃよ」


「えっ!占い師なんですか⁈
でもこんな人が少ないとこで、占って欲しい人なんて来ますか?」


「たまにはくるよ」


「そうなんですか、
実は僕、今ちょうど進路に悩んでて占ってみてもらいたいんですけど、
高いですよね?」


「そもそも子供に占いなんてせえへん。
社会に出て、もみくちゃのけちょんけちょんにされた大人にしか、わしゃぁ占いはせえへんのじゃ」

「はぁ、そうなんですか。
分かりました。
それじゃあ」


「待ちな!ボウズ!」


「えっ、何ですか?」

「おめぇ、ヒーローになってみる気はあるか?」

「えっ、ヒーローですか???
、、、まぁ、
まだ中学生なんで、少しくらいは憧れの気持ちはあると言えばありますかね。
ヒロアカも流行ってますので。」 


「わしゃあ、
占い以外に特別な力を持っていてな、
わしが見込んだ若者にその特別な力を与えることができるのじゃよ」

「、、、ほんとですか??
特別な力って何ですか???」

「それはな、、、
お前自身が絶対に悪いと思った相手には
絶対に勝てるという力じゃ。
つまりお前の正義は絶対に貫き通せるという絶対的な力じゃ」

「ということは、
絶対に悪には負けることがない、
最強の力ということですか、、、??」

「そうじゃ。
ただ心底お前自身が悪だと思った相手にしかこの力は使うことはできない。」


「、、、変身はできるんですかね??」


「それはでけへん。
変身したいなら、ドンキとかで自費で揃えてもらう感じじゃの。」

「はあ、そうなんですか。
まぁ、でも人のためになることがしたいとは思っていたところなので、人助けになれるのでしたら
その力は魅力的かもしれません。」


「そうか、
では今からお前に偉大な力を与える!!
せいっ!!!」


「、、、、え、
偉大な力はもう与えられた感じですか、、、?」


「そうじゃ、
もうお前は立派なヒーローじゃ。
未来は任せたぞ」


「はあ、、、それじゃあ、そろそろ行きますね。」

俺はこの婆さんうさんくさいなぁと思い始め、
そろそろ本屋に行こうとチャリに乗り始めた。

ふと、婆さんは次はいついるのか聞こうと振り返ったら婆さんの姿は机と椅子と共に消えていた。


「まじか、、、」


これはまじかもしんねぇ、、、
と思いながら俺はチャリをこいでいた。

すると、
まるであたかもヒーローになってみた企画の1stステージにありそうな、
小学5年生くらいが3対1でいじめをしてる場に遭遇した。 


俺は例え偉大な力がなくとも、
小学生なら負けることはないだろうという気持ちで止めに入ってみた。


「おい!
いじめはやめろ!」


「いや、いじめじゃないですよ!
こいつが、4人で割り勘して買ったゲームソフト
を勝手に親のメルカリのアカウントで売って、
その金でヒロアカ全巻揃えやがったんですよ!」


「いや、違うんですよ!
僕も読んだらみんなに後から貸そうとちゃんと思ってたんですよ!」

「いや、お前自己中過ぎだろ!
後から貸せばいいとかじゃなくて、
最初にちゃんとみんなの承認得ろよ!
お前が悪いわ!」


「、、、すいません。」

「これからはちゃんと何かする時はまず、
4人で話し合うこと。
いいね?」

「分かりました。」しょぼん


俺は偉大な力を使うことなく、
この場を収めた。

俺はこんな田舎にそもそも悪人なんていねーだろ笑、
そう思いながら、少し街中に出てみようとチャリを置き、バスに乗り始めた。


すると、
明らかに陰キャなお兄さんがやましい顔しながらOLの女の人にやましいことをしてる状況に遭遇した。


俺は、この陰キャなお兄さんは確実に悪人や!!
と確信し、
女の人に小声で声をかけた。

(大丈夫ですか??
助けますよ?)

(ありがとうねボウヤ、
でも、大丈夫。
これは大人の遊びだから。)


ええーーーー⁈⁈⁈⁈


俺はバスを降りた。


すると、降りた瞬間

「ひったくりーーー!!!誰かー!!!!」

これはまじだよな?!
あからさまな悪人純度100%だよな⁈⁈


おっさんがおばちゃんの鞄をひったくり俺の前を走り抜ける


「まて、コラァーーー!!!!!」


「ひぃっ、、、すいませんでしたーー!!!!!」

おっさんが鞄を俺に渡す

いや、早いなー
もうちょっと、展開欲しいなー


と思いつつ、

「なんでこんなことしたんですか?」

「いや、自分の会社の社長にいきなり飛ばれて
息子の進学費用を賄えなくなってしまって、、、
息子には、少なくとも学生のうちは、
不自由なく支援したくて、
それでやってしまいましたぁぁぁ」


「はあ、そうですか、
おばさんもね、今回は警察沙汰にはしないと言ってますのでね、
動機はどうであれ、悪いことは悪いのでね、
今度からはちゃんと自分の行動が息子さんにとって喜ばしいことなのか、
ちゃんと考えてから行動して下さいね、」


俺は今回も偉大な力を使うことなく
場を収めることとなった。


俺はしばらく歩きながら

そもそも純度100%の悪人なんて存在するのだろうか?

と思い始めていた。


俺の母親は文春が好きで家によく置いてるからたまに暇な時見るが、
犯罪者の過去の記事を見るとたいがい家庭環境が悪かったり、子供の頃から既に周りに問題があったりする。  

悪いことをしたってだけでその人だけが完全に悪いかどうかなんて分かんねーよなぁ。。。


俺はもう考えるのがだるくなってきて、
悪人はやっぱ法に任すってことで
俺はとりあえずなんかいいことしたいよなぁ
と思っていた

そしたら河川敷でゴミ拾いのボランティアを募集していてちょうど 今開催されていた

俺は早速参加し、
進んでゴミ拾いをし始めた。


するとおじさんが

「1人でえらいねぇ」

と声をかけてきた。

「いや、
家にいてもそんなやる事もなくて、
さっきまで漫画買いに行くっていうのが今日の全予定でした。笑」

「それでも充分えらいよ。笑
俺なんて家で何もせずにいたいんだけどさ、大人だからさー、いづらいんだよ。
家族みんないてさ、
話すこともたいしてないし、
こうやって外出て人と関わりながら地域に貢献させてもらってる、って感じなんだよ笑」

「いやぁ、
大人の人が普段仕事とかしてるのに休日にわざわざボランティアしてるってことが
すごいと僕は思いますけどね。」



俺はボランティアを終え、
自分のチャリのあるところまで戻り
漫画を買って帰ろうとしたところだった。

すると、
また婆さんがいるではないか。

「婆さん、この能力やっぱいらないや。笑
使い道なさ過ぎるわ。笑」


「そもそもそんなパーフェクトな能力あるわけないやろ。
デスノートじゃないんやから。」


「やっぱそういう感じ??

勘弁してよーー。
そういうギャグ少6まででしょ笑」

俺は何だかんだこの婆さん面白い人だったな、と思いコーヒーでも買ってあげようかと自販機に向かい何がいいか聞こうと振り返ったら既に姿はなかった。


俺は人のためとかいっちょ前なこと言ってた自分が少し恥ずかしくなり、
とりあえずヒロアカ買って帰るのが
今日のやることだったじゃんと思い、
チャリを走らせた。



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