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畑の商品の売り方を考える。

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前回の授業でつくったデザインを瓶に貼ってみました。様々なアイディアが出て、みんなの感性が溢れた素晴らしい作品ばかり。中学生がたった2コマの授業時間で作ったなんてビックリしませんか?
みんなすごいなー。今日はこの自分でつくったデザインの瓶を手元に置いて授業をします。

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里山百手プロジェクト、第四回のテーマは「畑の商品の売り方を考える」。
“マーケティングの神様”フィリップ・コトラー先生のマーケティング理論をなるべくシンプルに伝えながら、その理論に準えて、人生において役に立つ思考の訓練をしてみようというのが今回の狙いです。ということで、本授業で身に付けたいのはマーケティング理論ではないので、マーケティングについては一連の流れをざっくり見てくれればいいよ、と最初に伝えました。

マーケティングの基本となる【R - STP - MM】を元に、少人数のグループによる対話形式で進めていきます。(※今回もグループワークに際してはマスクの着用や窓の開放など、新型コロナウイルス感染予防対策を取りながら実施しました。)

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まずはRから。

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Rは、Research(リサーチ)=調べる。
ドレッシングの市場について多角的な視点から様々なことを調べる必要性を共有するとともに、調査項目の例から「このドレッシングは買う人のどんな欲求を満たすことができる?」という項目について深掘りします。

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例えばこんな風に考えてみようということです。【価値=主体の欲求を満たす客体の性能】と言い換えられます。そのモノがどんな欲求を満たすかを考えることは、モノの価値の本質を見極める練習になるのではないかと考え出題しました。では検討開始。時間は7分。

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価値の本質を探ることで、今回つくったドレッシングならではの特徴や強みも浮かび上がってきました。また、自分たちがどんな商品になって欲しいと思っているか、期待や希望もここに現れました。
これを踏まえた上で次へ。

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続いてSTPです。

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SはSegmentation(セグメンテーション)=市場を分ける。
TはTargeting(ターゲッティング)=分けた市場のうちどこを狙うかを決める。
PはPositioning(ポジショニング)=同じ市場を狙う他社と差別化をする。
これらを一連の流れで考えるのがSTPというわけですが、今回の授業では特にPositioning(ポジショニング)の部分を深掘りします。
ポジショニングを検討する手法の一つに「ポジショニングマップ」があります。これを用いて今回のドレッシングの立ち位置を検討していきます。
この検討に伴って、学生生活において「勉強ができる−できない」「運動ができる−できない」「モテる−モテない」のような、いくつかの限られた軸を元に自己認識をしてしまいがちな価値観を、より自由に多様な軸で考えられるようになるキッカケをつくることを狙います。
以下に例を挙げます。

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このように、自由にx軸とy軸を設定して、4象限の中のどこにこのドレッシングが入るのか、他にはどんなものがどこの象限に入るのかを考えます。
軸の設定を完全に自由にしてしまうと難しいかと思い、よかったらこんな軸を使ってみてね、という例を示しました。

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この中から選んでマップをつくってもいいし、自分たちで考えた軸を使ってもok。自由にいろんなマップを作ってみた中から、このドレッシングに適したポジショニングを表すマップを発表してもらいました。

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[俺×もらって嬉しくない]象限に「中途半端な愛情」って。何があったの。笑
「健康」の軸の反対側が「不健康」ではなく「糖尿病」というのも面白かったです。
自己認識についても、ありたい自分を表すマップをつくって、「今の自分」と「3年後の自分」をプロットしてみるなど、楽しみながら役立ててみて欲しいです。

さて、R-STPを通してこのドレッシングの価値の本質や、適した市場や売り方を考える解像度がだんだん高まってきました。
最後にMMです。

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この2文字にたくさんの理論が詰まっていますが、ここではちょっと強引ですがギュッとしてひと言で表してしまいます。

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MMはMarketing Mix(マーケティングミックス)=自分の立場と相手の立場を両方考えて、いいバランスを見つけること。としました。

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自分の立場(ここではドレッシングを販売する事業者としての自分)を正しく認識するためには4P【Product,Price,Place,Promotion】を考えます。
その4つそれぞれに対応する相手の立場を4C【Customer value,Cost,Convenience,Communication】を使って考えます。
ここで共有したいのは、自分のことを考える時、常にそれに対応する他者の視点があるということ。言い換えれば、自己認識には内的自己認識(自分が自分をどう捉えているか)と外的自己認識(他者が自分をどう捉えているか)の二種類がある。その二つをバランスよく把握することが「自分を知る」ということでしょう。他視点の獲得は、里山百手プロジェクトの大テーマでもあります。
また、ここで「相手のことを考える」ことを強調しました。これは次の段階に進むための伏線でもあります。

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グループ内で話し合って、代表のデザインを一つに決めてもらいます。
このプロセスにおいて、自分の考えをしっかりと持ちつつも、他のみんなのこともよく考えて思いやりを持った決断ができるよう、(みんな優しいから余計なお世話だったかもしれないけど)MMの説明で「相手のことを考えること」を強調しました。頑張ってつくった自分のデザインが選ばれなかったとしても、完成した商品を自分ごととして見られるように。みんなでつくったドレッシングにしたいので。

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今回マーケティングを考えた結果、前回の授業でつくった「装飾のデザイン」に修正が必要だと感じたグループも多くありました。
この価値の本質がより伝わるようなデザインへアップデートして、商品として完成させていきます。完成したら、実際に販売することも前向きに検討、調整しています。
販売することが叶えば、その売れ行きの結果を踏まえてまた生徒のみんなと一緒に色々と考えることができたら楽しそうです。

里山百手プロジェクト 第四回
講師 福田大樹

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