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ミステリー読めない病。(歴史変遷)

 こんにちは、佐藤です。2021年、夏なのに雨が続く今日この頃、久しぶりにミステリーを読んだので、感想などを含めて文章を書きたいと思います。

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 タイトル画像にある『シャドウ』(道尾秀介)を読みました。この作品は2007年に本格ミステリー大賞を受賞している作品で、有名なこともあって、選んで購入しました。道尾氏は著作も豊富な本格ミステリー作家です。

 あらすじは、主人公の少年、凰介の母が病死したあとから、次々と身近に不審な事故が続き、父との生活に違和感を抱くようになる、というストーリーです。物語としては非常に王道で、伏線もきっちりしてる作品です。

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 で、これは自分の問題なのですが、自分は今までミステリーを数百冊読んできて「ある程度トリックを予測する」という変な癖がついています。これは名著『名探偵の掟』(東野圭吾)にも書かれていて、

”深く考えずに読み進み「やっぱりこいつが犯人だったか!」”という予測を全ての登場人物に対して行ったり、伏線らしい文章を「誘導っぽい」と疑ってかかったり、もう全て「罠がある」前提で読み進める悪癖です。

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 こうなると、健全なミステリー読書はできません。叙述トリックでは有名な著者に、折原一という作家がいましたが、彼の作品はほんと秀逸でした。

 「これは誰の視点なのか!?」という引っかかると非常に面白いトリックなのに、読みすぎるとあらゆる疑いをかけてしまい、もう書き手も読み手もお互い手の内が知れて不幸になる、という結末を迎えました。

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 物語性が強いと、ミステリーであるという前提を忘れて小説に集中できる例もあります。京極夏彦作品が続々と発行されていた全盛期は、それは胸をワクワクさせながら物語に浸ったものでした。

 「犯人や事件などの真相を見つける」という推理小説でありながら、物語が面白すぎると、邪推の余地もなく、ストーリーや登場人物にぐいぐい引き込まれます。これは20年読んできても、希少かもしれません。

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 サスペンス系だと、物語描写にリアリティがあり、話に集中し易いという傾向があるように思います。下記の3作品は愛憎や恐怖、悲哀などの描写がとても上手く、事件性も強くて引き込まれ先が気になる名作でした。

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 本格派ミステリーと言えば、江戸川乱歩横溝正史。それを松本清張が描く社会派がリアリティを増して覆した。つまり密室殺人やトリック殺人ではなく、社会的な殺人が起こる物語が好まれたということです。

 私たちはリアリティだけでなく、時にはトリックを求めることは『金田一少年の事件簿』や『名探偵コナン』で知っています。ただ自分のようにアホみたいに読みまくってトリックに固執するのは弊害かと思います。

 「ミステリー読めない病」とした今回のnoteでしたが、過去の大作を思い出しながら、「また大物作品に出会いたい」という感想を持ちました。

【読書感想文】


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