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「宮澤賢治 最後の手紙」 社会人のための日本文学入門(6)

今回紹介するのは「宮沢賢治の手紙」です。宮沢賢治というと、銀河鉄道の夜、風の又三郎、注文の多い料理店など、多くの素晴らしい作品がありますけれども、今回は「手紙」をとりあげ、言葉について色々と考えてみたいと思います。

それでは、さっそく紹介します。

どうか今のご生活を大切にお護り下さい。
上のそらでなしに、しっかり落ちついて、一時の感激や興奮を避け、 
楽しめるものは楽しみ、苦しまなければならないものは苦しんで
生きて行きましょう。
(宮澤賢治 柳原昌悦氏宛の手紙より一部抜粋)

では、この手紙の背景を解説してみます。こちらは、宮沢賢治が亡くなる10日前に、花巻の農学校時代の教え子だった、柳原さんに宛てて書いた手紙の一部です。宮沢賢治が生前に書いた「最後の手紙」ということで、様々なところで紹介されていますから、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。

信仰の人 宮澤賢治

私は個人的に、宮沢賢治は「理想の世界」「目指す場所」があって、作品と自分の生き方を通して、そこへ向かっていこうと実践した作家だと考えています。

そして自分の周囲に集まってくる人たちに向けて、強要するわけでもなく、上から教えるわけでもなく、すぐ横に寄り添うようにするといいますか、後ろからそっと背中を押すようにして「わたしも今からそこを目指しますから、よければあなたも一緒に行きませんか」と、共に歩いてくれる方だったのではないかな、と想像しています。

この手紙を読んでいても、そんな宮沢賢治の「心」を感じますし、なによりも言葉の持つ力ですね。文章の素晴らしさを感じることができると思いましたので、紹介させていただきました。

言葉と物語の力を、大切に再確認しながら

今回、夏目漱石、芥川龍之介、宮沢賢治と、様々な作家の手紙を紹介しましたが、スペースの都合で一部を抜き出して掲載する、という形式になりました。本来は、それぞれ長い手紙になりますので、気になった方は全文を読み、また作品を手にとって、言葉と物語の力を再確認していただければ、うれしく思います。

言葉には、つかいかたによって、プラスにもマイナスにもなる、深く大きな力を持っています。たったひとつの言葉が人生を好転させることもあれば、深く突き刺さりずっと消えない傷になることもあります。

そしてこれからも私は、言葉や文学の世界を通して、考えを深めたり広げていくことを続けていきたいと考えています。今回の内容をご覧いただいて「おもしろいな」と感じて下さった方は、ぜひフォローやSNSでシェアしていただき、一緒に盛り上げていただけたら嬉しいです。ありがとうございました。

音声で解説「宮沢賢治 最後の手紙」


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