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つまり、佐藤の本棚。

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今まで読んできた本にまつわる「記憶」の記録です。
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#推薦図書

【完全版】夏目漱石「こころ」あらすじ解説

はじめてちゃんと読んだ「漱石作品」が「こころ」という人も多いのではないでしょうか? 何度読み返しても「こころ」の奥が揺さぶられる、名作文学作品ですよね。 今回は「こころ」のあらすじを【完全版】と称して、じっくりと解説してみました。録音を始めてみると想像以上に熱がはいってしまい、一時間を越える長さとなってしまいました。編集して48分にまとめたのですが、それでも一度に視聴するのは大変かと思いますので、前後編の2つに分割してお届けします。 前編は「上 先生と私」「中 両親と私」

夏目漱石 前期三部作「三四郎 それから 門」あらすじ解説

夏目漱石の前期三部作「三四郎 それから 門」のあらすじを、動画で解説しました。しかしながら、一本10分前後の内容のため、すべて閲覧すると30分以上のボリュームとなっています。 制作者としましては「三四郎」から順番に閲覧していただきたいのですが「30分も見ていられない」という方は最後の「門」の冒頭を見ていただくと、なんとなく全体像がわかるようになっているので「ざっくりでOK」という方は「門」の動画をご覧ください。 ※いうまでもありませんが「あらすじ」なので、いわゆるネタバレ

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「宮澤賢治 最後の手紙」 社会人のための日本文学入門(6)

今回紹介するのは「宮沢賢治の手紙」です。宮沢賢治というと、銀河鉄道の夜、風の又三郎、注文の多い料理店など、多くの素晴らしい作品がありますけれども、今回は「手紙」をとりあげ、言葉について色々と考えてみたいと思います。 それでは、さっそく紹介します。 どうか今のご生活を大切にお護り下さい。 上のそらでなしに、しっかり落ちついて、一時の感激や興奮を避け、  楽しめるものは楽しみ、苦しまなければならないものは苦しんで 生きて行きましょう。 (宮澤賢治 柳原昌悦氏宛の手紙より一部抜

四十年間、探していた本。

小学一年生の時、図書館で借りて読んだ本があった。それは、奇妙で不可思議で、今までに目にしたことのないような言葉が並んでいて、わからないところも多かった。それでも、どこか惹かれる部分がある。もっとこのような世界を探検してみたい気がする。そんな雰囲気のある小説だった。 「もう少ししたら、また借りて読んでみよう」 小学校一年生の僕は、そう考えて本を閉じた。しかし、転校などで環境が変わったこともあり、その本を借りて読むこともなく小学生は中学生となり、社会人になっていた。 題名も

古本をめぐる冒険「吾輩は猫である 夏目漱石」

多くの日本人が知っている小説のひとつといえば「我輩は猫である」であろう。書き出しの「我輩は猫である。名前はまだ無い。」も、空で言える人も多いと思う。そんなにも著名な作品であるにも関わらず「読んだことがない」「あらすじさえ、わからない」という人も多いのではないだろうか。 いや、別に責めているわけでも上から眺めているわけでもない。このようなことを書いている私自身「我輩は猫である」を完読できたのは、社会人になってからだった。それまでに何度も挑戦しては、途中で挫折してしまっていた。

佐藤の本棚99冊目 「鼻 芥川龍之介」

こんにちは、コピーライターの佐藤(さったか)です。100冊を目指して更新してきた「佐藤の本棚」も99冊目となりました。目標まであと1冊。だいぶ前から「100冊目はあれにしよう」と考えていたので、あとは迷いなくゴールに駆け込むだけです。 ひとまずこの「佐藤の本棚」は、100冊で終了する予定ですが、最後に何か「特別企画」のようなものをやってみようかな、とも考えています。いや、特別なことをせずに、なんとなくゴールしてなんとなく消え去っていくのが「自分らしい」のかな。リクエストなど

古本をめぐる冒険 太宰治「パンドラの匣」

太宰治といえば「人間失格」や「斜陽」を思い浮かべる人も多いかと思います。自分の場合は以上の作品に加えて「パンドラの匣」が頭に浮かびます。その理由は、本作品が地元の河北新報で連載されていた作品ということで、それとなく身近に感じるからでしょう。 そんなわけで「パンドラの匣」は河北新報版で読みたいもの。装丁も美しくモダンで所有する楽しみも感じる一冊です。 今回紹介している「パンドラの函(河北新報版)」は復刻版なのですが、奥付けもちゃんと再現されています。「太宰」の判子が、いい感

佐藤の本棚98冊目 中原中也「夏と悲運」

こんにちは、コピーライターの佐藤(さったか)です。この文章を書いているのは8月の1日。つまり夏真っ盛りの時期です。子供のころは30度を越えると「やばい! 今日は暑いぞ!」と騒いだものですが、最近では30度はあたりまえで、35度を越える日も珍しくなくなってしまいました。 ちょっと外を歩くだけでも、暑さに押しつぶされて、背中が丸くなっていきます。すごい勢いで冷蔵庫の氷が消費されていきます。家に帰ってシャワーを浴びる瞬間が至福の時です。みなさんどうぞご自愛下さい。 そしてこの「

同じ星 太宰治 【読書日記 九十七冊目】

こんにちは、コピーライターの佐藤(さったか)です。私ごとで恐縮ですが、今月は私の誕生月になります。すべての人に必ず存在する誕生日ですが(当然ですね)この年齢になってくると「え?もう誕生日になるの? オレって何歳?」と、時間の流れる早さについていけず、自分の年齢さえも曖昧になっていきます。 先日、免許の更新に行ってきたのですが……、と長くなりそうなので、この話題は別のところで書いてみたいと思います。さて、そんなわけで今回は「誕生日」にちなんだ内容の作品「太宰治 同じ星」を読ん

漱石と倫敦ミイラ殺人事件 島田荘司 【読書日記 九十六冊目】

こんにちは、コピーライターの佐藤(さったか)です。今回紹介する作品は、あの文豪と名探偵がロンドンの街で出会い、事件を解決していく、ちょっと風変わりな物語です。二人(正確には三人)の会話が、リアルでコミカルで、読んでいると自然と頬が緩んでしまいます。 そして「読書日記」も、目標の100冊まで残り4冊! ゴールラインが手の届く位置に見えてきました。ここまできたら、あとは足を前に運ぶだけ。淡々と進んでいきたいと思います。 漱石と倫敦ミイラ殺人事件 島田荘司 大学生だった頃の話。

性に目覚める頃 室生犀星 【読書日記 九十五冊目】

こんにちは、コピーライターの佐藤(さったか)です。令和となり、最初の「読書日記」更新です。五月の連休に、金沢の雨宝院(犀星が生活をしていた場所)を訪問した時のことを、思い出しながら書いてみました。読んでみてください。 目標の100冊まで残り5冊! ゴールにむけて、じっくりと楽しみながら積み上げていこうと思います。最後まで、よろしくお付き合いください。 「性に目覚める頃」 室生犀星高校生のころの話。僕は「文学史」のテスト対策として、作品と作者名を暗記していた。 「蟹工船 

【読書日記 九十四冊目】 厠のいろいろ 谷崎潤一郎

こんにちは、コピーライターの佐藤(さったか)です。100冊を目指して更新を続けてきたこのブログも、今回で94冊目、のこり6冊です。平成のうちに完結することを目指していたのですが、どうやら令和まで持ち越しになりそうです。というか、なります。とりあえず100冊のゴールへ向けて、淡々と更新していきたいと思います。 今回は「厠 =トイレ」の話です。大丈夫な状況の方のみご覧ください。 厠のいろいろ 谷崎潤一郎今回は「厠 =トイレ」についての話である。清涼(?)な話ではないので、気に

【読書日記 九十三冊目】 春の夜 芥川龍之介

こんにちは、コピーライターの佐藤(さったか)です。100冊を目指して更新を続けてきたこのブログも、今回で93冊目、のこり7冊です。ラッキーセブンです。だからどう、というわけではないのですが、今回も淡々と更新したいと思います。 みなさんは「自分にそっくりの人」がいたら、会ってみたいと思いますか? 見た目だけでなく、年齢も仕事も趣味も住んでいる環境も。私の場合は・・・。 春の夜 芥川龍之介会社勤めをしていた時の話。私はいつものように駐車場に車を停めて会社へ向かっていた。エレベ

【92冊目】 井伏鱒二は悪人なるの説(佐藤春夫)

こんにちは、コピーライターの佐藤(さったか)です。100冊を目指して更新を続けてきたこのブログも、今回で92冊目、のこり8冊です。ここまでくると、逆に「まだゴールしたくない」ような気がしてくるのは、なぜなのでしょう? 人間の心理は不可思議なものです。 さて、今回紹介するのは「井伏鱒二は悪人なるの説(佐藤春夫)」です。今まで自分が信じていたことが、実は「出鱈目かもしれない」と知った時、あなたならどう考えますか?  井伏鱒二は悪人なるの説(佐藤春夫) 高校生の頃「太宰治は遺