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【カルチャーショック】

新喜劇に入団してからの日々は、カルチャーショックの連続でした。

①稽古期間
劇団の頃は1ヶ月以上稽古をして、芝居を作り上げていました。
ところが新喜劇の稽古は、前日の1日だけ。
読み合わせをして、立ち稽古をして、そのまま舞台稽古。
そして翌日には本番です。
しかも台本をもらえるのは、稽古の2日ほど前。
最初は台詞を覚えるだけで四苦八苦していましたが、覚えられなければ仕事が無くなるという状況に追い込まれると、人間なんとかなるものです。

②稽古のやり方
劇団の頃は、稽古の時はいつも稽古着(ジャージ)に着替えていました。
しかし新喜劇の稽古は、みんな私服のままです。
それに劇団時代は、「稽古でできないことが本番でできるわけがない!」と教えられていたので、本番と同じようなテンションで稽古をしていましたが、新喜劇では読み合わせの時はみんな声を張りません。
全体の流れを把握するだけです。
立ち稽古の時も私服のままなので、僕が強盗役で末成由美さんを人質にとって捕まえていると、「これ私服!!」と台詞よりも大きな声で注意されました。

③リハーサル
劇団時代のリハーサルといえば、まさに本番と同じクオリティーに仕上げて挑んでいましたが、新喜劇の場合はたった2〜3時間稽古をしただけなので、リハーサルを兼ねた舞台稽古でも、ほぼ全員が台本を持ったまま稽古をします。
しかもネタシーンは飛ばしたりするので、本番でしか全容がわからないことも多々あります。
僕とすっちーさんの掛け合いも、毎回アドリブなので、あのシーンは台本には「すっちー、佐藤のモノマネありまして」というト書きしか書いてありませんし、吉田裕さんの乳首ドリルのシーンも、「乳首ドリルありまして」としか書いてありません。

④キッカケ
演劇ではキッカケが厳密に決められていますが、新喜劇ではアドリブが入ることが多々あります。
だから、たとえキッカケがきたとしても、舞台上の雰囲気をみて、登場するタイミングを調節します。


陸上競技で喩えるなら、演劇は長距離走で、新喜劇は短距離走です。
同じ陸上競技でも、走り方が全然違います。
演劇では持久力と再現力を求められ、新喜劇では瞬発力と発想力が求められます。

カルチャーショックの連続の中で、役者として、芸人として、たくさんの壁にブチ当たりました。

つづく

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