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【時間と熱量と演劇】

佐藤太一郎企画を続けてるうちに、少しずつ新喜劇座員としてだけでなく、一人の役者として興味を持ってくれる人が増えてきました。

そんな中、別の芸能事務所でマネージャーをしていた友人が、大阪NHKのドラマ関係者に僕を紹介してくれました。

それがキッカケで、NHKの方が佐藤太一郎企画を観に来て下さるようになり、NHKの朝ドラや時代劇などに、少しずつ呼んでいただけるようになりました。

自分の事務所のタレントでもない僕を紹介してくれた友人に、心から感謝しています。

自分にしかできないことは何なのか?
得意ではないことに白旗を上げながら、自分ができることを探しました。
僕にあるもの。
それは、時間と熱量と演劇でした。
そこから僕は、時間をかけて稽古しなければ作れない、熱量を込めた演劇を、意識して作るようになりました。
まあ元々そういう作品が好きだったので、どれだけバカにされても、その気持ちにブレーキをかけることをやめました。

生き方のヒントを与えて下さったのは、キングコング西野さんでした。
西野さんは芸人を、生き方だと定義されていました。
みんながこっちだと言ってるのに、反対方向に行っちゃうような人。
西野さんの行動には、計算され尽くされたロジックがありました。
僕が今まで漠然と考えていたことが、西野さんのおかげで言語化できるようになりました。

佐藤太一郎企画その6で上演したのは、『愛をくらえ』という、タイトルもポスターもストーリーも、熱量を前面に押し出した作品。
意識したのは芸人がいじりたくなるものでした。
いじられなければ、話題にもなりません。
大切なのは、見つかることです。

この頃からいじられたいと思うようになりました。
それまで僕は余計なプライドが邪魔をして、いじられることをおいしいと思えていませんでした。
いじられることがおいしいと思えるようになったのも、西野さんのおかげです。
西野さんは後輩がいじれる隙を与えてくれます。
そしていじられると、誰よりも笑ってくれます。
笑われることを引き受けているその姿が、とてつもなくカッコよく見えたのです。

新喜劇の中で、芝居の緊張感が作れて、誰がいじってもウケる。
そんな存在になりたいと思っています。

つづく

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