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【おとんが死んだ日】

2012年9月23日。
僕は5UPよしもと(現漫才劇場)で、佐藤太一郎企画その4『Wedding Eve』を上演しました。
レディー・シュガー・佐藤というドラァグ・クイーンの恋物語。

そして、この日の昼間に、父が他界しました。
昼間も新喜劇に出演していましたが、3回公演のうち2回だけ出演して、病院へ駆けつけました。

延命措置をしてくれていて、僕の到着を待っていました。
僕が到着するのを確認すると、お医者さんは延命装置を外しました。
ドラマのように、ピーという音が響き、おとんは息を引き取りました。

1年前から余命は聞かされていましたし、数日前からいつ亡くなってもおかしくないと聞いていましたので、パニックになることはありませんでした。

冷たくなったおとんの身体を丁寧に拭いてくれている看護師さんの姿を見た時に、心の底から感謝しました。
看護や介護に携わる仕事をされている人を、おとんの死をキッカケに、より一層尊敬するようになりました。

この日の夜は僕の単独イベント。
チケットも完売しています。
休演するわけにはいきません。

おとんが息を引き取った数時間後に、僕はドラァグクイーンのメイクをして、真っ白なウエディングドレスに身を包んで舞台に立っていました。

「幸せはね、必死になってしがみつかなきゃ、スルっと逃げていっちゃうのよ」

劇中でのレディー・シュガー・佐藤の台詞です。

客席には、おとんが観に来てくれているような気がしました。

つづく

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