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「わたしたちはどう生きるのか〜JR福知山線脱線事故から20年」講演会&公開対談のお知らせ

来年でJR福知山線脱線事故から20年を迎えますが、「わたしたちはどう生きるのか」というテーマで11月3日(日)に日比谷コンベンションホール(大ホール)にて講演会&公開対談を行い、来年、同じテーマの内容の書籍を発行することになりました。

これまで脱線事故のことはたくさん取材を受けてきましたし、いろいろ取り組みも行ってきましたが、あれから19年の年月が経過して、JR西日本内でも事故のことを経験していない職員が三分の二を超え、またメディアの記者も当時小学生だった…という方たちが多くなってきました。
自分が望む、望まざるに関わらず、時間はどんどん経過して新たな災害や事件事故は次々と発生し、戦争の脅威や経済状況の悪化など、人それぞれいろんな困難に向き合わなければいけない時代になっています。

これまでは自分が大切に思っていた脱線事故のことだけを自分自身が語っていましたが、これからはそれらの経験をとおして知り得たことを、どのようにして次の時代を生きる皆さんと共有するのかということが大切な気がしています。

私は戦争を経験していませんが、わずか2世代前の祖父母は青春時代を戦争に翻弄され、戦中・戦後の真っ只中を生きた人たちです。もちろん戦争は経験しない方が良いに決まっていますが、経験をしていない私たちの世代は戦争について語ってはいけないのでしょうか。そうではありません。
私たちの世代は、もしかすると後の「戦前」なのかもしれず、戦争はダメだという思いは経験した人、経験していない人に関わらず、誰もが共通する思いです。直接経験をした人たちの話に比べるとその重さや説得力は違うかもしれませんが、使う言葉やニュアンスがたとえ違っていたとしても、その思いに違いはありません。

これまでの19年間、ほぼ途切れることなく何百人もの記者に、毎回2時間半から3時間、長いときは5日間などの取材を受けてお伝えしてきましたが、これから社会の中で起こる様々な事象を世の中に発信する立場の若い記者の皆さんに、悲惨な状況の中ででも、世界は生きるに値する素晴らしい意味があるということを忘れてほしくないなと思っています。

JR西日本で、これから後任の指導を担う幹部候補の皆さんを対象にお話をさせていただくことになっています。厳しい話をする場面もあるかもしれませんが、私は彼らを責めるつもりはまったくありません。むしろ今後、どのように人を育てるのかという同志として、加害企業であるあなたたちにしかできなかったことに気づいてもらいたいと思っていますし、これから向き合わなくてはいけない課題などについてディスカッションをしたいと思っています。
私の中では、一方的に自分の体験をお話するという段階はもう終わったように思っていますので、我が家の経験や事故真っ只中の対応をした先輩方の経験をとおして、あなたがこの会社をどうしたいのか、あなたがどう生きたいのかということを考えてもらえる場にしたいと思っています。

今回の講演会&公開対談では、1両目に乗車していた福田裕子さんと共に、東日本大震災の大川小学校で78人の子どもたちと共に津波に流され、わずか4人だけ生存されたうちのお一人である只野哲也さん(当時5年生・現在24歳)と共に第一部で講演を行い、第二部では、事故から10年目に東京・駒込で「事故を経験していない私が伝えるJR福知山線脱線事故」というコンセプトで展示会を開催してくれたライターの木村奈緒さんが聞き手になり、「生きるとは」「いのちとは」という課題を共に考えるディスカッションを行います。

関西よりも多くの公共交通機関が運行しており、近い将来、いつか何処かで必ず発生すると言われている巨大地震などの災害で被害が甚大になることが予想される東京での開催は、事件事故、災害などの種別の枠を超えた意味があると考えています。
また、様々な体験をとその後の人生を歩んで来られた人たちとの対話の中から、「それでも生きることは素晴らしい」というメッセージを伝えることができる内容にしたいと願っています。

【取材等のお申し込み・お問い合わせ先】
「わたしたちはどう生きるのか」講演会開催実行委員会(小椋 聡)
電話:090-7965-9964 メール:info@kotono-design.com


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