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時間を大切にできる意識の持ち方、人生最後の時まで自分で選択していこう

人生について考えるとき、時間の流れと向かい合うことは避けることができません。時間を強く意識することで、正しい目的設定や、より精度の高いスケジューリングができるようになりたいと思い、本書を手に取りました。今回は本の要約というより考えたことの要約になりそうです。本のタイトルからわかるように、センシティブ(感じやすく、デリケート)な話題です。大丈夫そうならぜひ最後までお付き合いください。

■ 老衰とは

老衰とは、文字通り老化により体が衰えていき、以前はできていた生理的機能の維持が、徐々に難しくなっていくことです。

「老衰死」というのは、体の組織や細胞が衰えていくことだけでなく、食べたものを栄養として吸収できなくなったり、食べること自体が困難になるなど、生きていくためのエネルギーを取り込むこと自体が困難になり、やがて生命活動の維持ができなくなることです。

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■ 人によって延命の捉え方は違う

人が命を落とす確率は100%です。あまり好きなフレーズではないですが、誤解されにくく、的確だと思うので使っています。

医療技術の発達により、現在では様々な延命措置があります。そもそも「延命とは何か」という認識は人によって違いがあることを、看護師でもある著者は述べています。

患者さんのために施した措置に対して「余計なこと」と言い、亡くなった患者さんに対しては「なにもしてくれなかった」というご家族の方。既にコードに繋がれているお年寄りの家族が「もしもの時には延命は望みません」と医師に訴える場面など。

僕がこの本で得た結論は、「延命とはどう生きるか(どう最後を迎えるか)という希望を叶えるための選択」だということです。

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■ 人が人として生きる時間

人が亡くなるのはいつでしょう。それは肉体的な終わりを迎えた時のことではないと、様々な本に書かれています。つまり「命がある=生きている」とは必ずしも言えないよね、という話です。

人が人として生きているというのはどういうことか、4つ挙げられていました。

・呼吸ができるというのは「①肉体的」に、ありがとうといえる状態は「②精神的」に生きているといえます。
・新しい文化に触れていくことができる状態は「③文化的」に、人の心のなかに記憶としてあることは「④社会的」に生きていると言えます。

逆に、それらが失われている状態は、人が人として生きているといえるのだろうか、と考えさせられます。

少しだけ脱線しますが、本の中で「最期を選ぶ」ことについて、著者の考えが添えられいました。自分が自分らしく天寿を全うすることを考えるなら、選択の一つとしていわゆる「孤独死」も悪くないのではないかと。(ここでは言葉足らずなので、飛躍しているように感じるかもしれません)確かにそうです。僕は共感できました。

寿命とは当人が受け入れるというより、その家族こそがきちんと受け入れなくてはならないものだという話も、強く胸に響きました。看護師である著者にとって最後は時は、家族が決めるのではなく患者さん本人が決めるものだという考えが述べられており、ハッとさせられました。

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■ 理想的な老衰とは

老衰は、臓器がバランスを保ちながら、ゆっくりと命が続かなくなるレベルまで低下していくことで、これは苦しくないといいます。受け入れられないのは家族や医療関係者であって、良い最後とは、あっけなく静かなものであり、おそらく本人にとってもそうなのでしょう。

一方で、一部が衰えているのに他に元気なところがあると苦しいといいます。(ちょっと微妙なニュアンスを含むので書きにくいのですが)他に元気なところというのは、例えば延命措置などのことです。具体的にいうと食事が取れない状態になっても、栄養補給を行う方法があるということです。そこにはメリットとデメリットが生じます。延命と老衰、いろいろ考えさせられます。

・病院、医師、看護師の仕事とは

病院の役目、医者や看護師の望みは決して「延命」ではなく、どう生きるか(どう最後を迎えるか)を叶える手段や手伝いをすることだといいます。本当に伸ばしたいのは、人が人として生きる時間だという著者の考えは、僕の胸に深く刺さりました。

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・最後に

最後に「キャンサーギフト」について少し考えてみます。

「キャンサーギフト」とはガンや、特に余命宣告を受けた人などが感じる、幸福感や気づきのことです。自らの時間の限りを感じると、人は価値観が大きく変わり、普段の生活に中に幸福感を多く見出すことができるようになるというものです。

ちょっと不謹慎な言い方ですが、実際に病気ににかからなくても、時間の大切さに気づくことはできます。本当に大事なものはなにか、自分はどうなりたいのかを認識し、人生の時間には限りがあることを真剣に考えることで、価値観が180度。。。変わらなくても40、いや20度くらいは変わります(笑)

読み終わって感じたことは、どう生きるかをしっかり考えようという決意でした。「人が命を落とす確率は100%」です。「生きかた」や「最後の時」を選ぶのも自分なんだ、と。

なにかの選択を迫られる度に、オレは「来たるべき人生の終了日まで、自分の時間は自分でどう使うか決めたい」だからこうするんだ!と、自信をもって選択できるようになれたらかっこいいなと思いました。


「後悔しない死の迎え方」(後閑愛実 著、ダイアモンド社)を読んで

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