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成瀬に見る探究学習【読書のキロク・Audible】

こんばんは、"もっちゃん”です。
記事に興味を持ってくださり、ありがとうございます。

今回は【読書のキロク】です。
以前、本屋大賞受賞作『成瀬は天下を取りにいく』を読んで(聴いて)、こんな記事を書きました。

とても面白い本でした。
今回はその続編になります。

◯今回読んだ本:『成瀬は信じた道をいく』 著者:宮島未奈 新潮社

前作の続編になります。今年の1月に出版のようなので、比較的新しい本なのだと思います。

ここまでの新作も、Audibleだと聴き放題に含まれているというのは、なんだか嬉しいものですね。

◯概要

成瀬の人生は、今日も誰かと交差する。「ゼゼカラ」ファンの小学生、娘の受験を見守る父、近所のクレーマー主婦、観光大使になるべく育った女子大生……。個性豊かな面々が新たに成瀬あかり史に名を刻む中、幼馴染の島崎が故郷へ帰ると、成瀬が書置きを残して失踪しており……!? 読み応え、ますますパワーアップの全5篇!

上記ホームページ内容紹介より引用

前作の続編という位置付けかと思います。

今作は、前作を読んでいることが大前提であるようにも思います。形式はさほど変わらず、成瀬という主人公を中心に、その周辺の人間模様を描いていくような感じです。

スピンオフとまではいきませんが、前作を読んだ方の方が楽しめる作品かと思います。

◯雑感

このシリーズのおもしろさが主人公の魅力にあると感じている私にとっては、前作よりも若干インパクトは薄かったようにも思います。

ただ、ある程度展開の見通しが立ちながらも、それを上回る意外性もあり、楽しく聴くことができました。

今作も引き続き【サクッと本】です。
スキマ時間にサクサク読めるし、読後感もすっきりしたものになりますので、趣味の読書にはちょうどよいかと思います!

内容に対して言及することが多くはないので、以下では自分の興味のあることと関連づけて感じたことを記述していきます。

◯探究学習っぽい最終章

いきなり話題が飛ぶ感じがします。
ただ、なんとなく本書の最終章を読んで、「探究学習」について考えました。
本書のレビューとは異なります。

本書の最終章では、「探さないでください」と書き置きを残し、成瀬が突如姿を消すところから始まります。

おおまかにいうと、それを見た周辺の登場人物が成瀬を見つけることを目的に、次々に連れ立って、やんややんやと行動していくわけです。

なんとなくその姿から、探究学習のあるべき姿を想像するわけです。

「成瀬」という魅力的な「教材」があり、
「探さないでください」という書き置きを「きっかけ」とし、
「周辺の登場人物」と「協力」しながら、
「成瀬を見つけ出す」という「課題」に向けて、
「方法」を「探索」しながら、
それぞれが「主体的」に動き出していくわけです。
「失敗」と「検証」を繰り返しながら。

なんか…とても探究学習っぽい!

ということを考えてしまうのは、教職大学院に毒されているのでしょうか。
なんか小説を小説として楽しめなくなっている気もしますが…。

◯探究学習の教材・課題設定

今回、成瀬の周囲の人々がここまで「主体的」に動き出したのは、「成瀬」という「教材」の魅力に尽きるものだと思います。

自らの経験の中で、日々接してきたことの中で、
「成瀬」が興味深いものとして人々の中に位置づいている

「成瀬」じゃなければ、ここまで人が主体的に動くことってないと思います。

そして今回はその「教材」との「出会い」が完璧だと思います。

日々身近にあるものが「探さないでください」の書き置きのもと、いなくなってしまう。

極端な話、探さなくても良いものを探したくなってしまう状況を作り出す。

この状況ができれば、本書の最終章のように、探究的な学びはどんどん進んでいくと思うのです。

成瀬のような教材を準備できるとよいのだろうと思います。

具体的に考えると、それはどういうことなのでしょうか。

・身近にあって十分に接しているもの
・当人が対象に対して十分な関心を抱いていること
・別に好きではなくとも、心を動かされるもの

くらいが本書から考えられることでしょうか。

◯探究していくロールモデルの必要性

成瀬は「教材」でありながら、探究を進めていくにあたってのロールモデル的な役割も果たしていたとも思います。

成瀬自身は関心を持ったことに対して、周囲から変と思われることであっても、自ら探究していく人物です。

その探究する姿を見て、周囲も同じように動かされているものでは、と感じました。

教員において考えてみると、
探究活動を支援していくにあたって、そのロールモデル的なものはあるのでしょうか。

いかんせん、子どもたちはその姿を掴みきれないまま、ひょっとすると教員もつかみきれていないまま、探究学習が進められている感じもします。

子どもたちが、「探究するロールモデル」に十分に接し、体感できていることが、探究学習の前提になっているような感じもしています。

教材に加えて、そういったロールモデルを準備することも、今後必要となってくるように思います。


そんなことを考えた1冊でした!

そういえば、Audibleの無料お試しキャンペーンがまた行われているようです。ご興味のある方はオススメです。

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