見出し画像

ジャにのちゃんねるがよにのちゃんねるになった件

言語化というものを言語化してみる。:5


こうやって区切らずに書くと呪文のようですが、あの会社が名前の変更を行うにあたって、とあるYouTubeチャンネルの名前も変更になったという話です。

個人的にこのチャンネルが好きでよく見てたんですが、まあ不可抗力で名前を変えることになって、じゃあ公募ということになった。 ネーミングというのも、ある種の言語化ですよね。名前を付けるというのは、なんだかわからないそのモノに人が共通認識を持つことができる状況を作る装置です。これやんないと不便でしょうがない。

同時にネーミングって、一般の人が行ういちばん身近なコピーライティングでもあります。子供が生まれたら名前を付けますよね。言葉悪いですが、素人でもできる、というか作らなきゃならないコピーなんですね。当然、誰もが上手いわけではないので、いろんなところで悲劇が起こっているのはご承知のとおりです。

で、冒頭のチャンネルの話ですが、最初に募集した時点では「よにんのちゃんねる」がいちばん人気で、「よにのちゃんねる」はもっと下だった。これが上位5つで行われた決選投票で逆転したんですね。それも大差で「よにの」が勝った。出演者のみなさんも不思議がってましたが、なぜこの逆転劇が起ったのか。(そんな大げさなものでもないか)

考えられるのは「ゴロ」ですかね。リズムというか、呼び易さというか。名前の場合、もちろんそれが対象を正しく表現していることは重要ですが、音の要素も大きい。なぜなら名前というのは「呼ぶ」ことが前提だからです。

この要素がライバルである「よにんの」と比べて勝ってることに、並べてみて気づく人が多かった、ということですね。このライバルがいることで「よにの」という少し意味が分かりづらいという欠点が補完されてしまった。結果的に「よにんの」が「よにの」の勝利を後押ししてしまったわけです。プラスもともとの「ジャにの」と音が似ていたというのも大きいですね。

この人は何を大真面目に語ってるんだろう。という感じですが。

こういうことって世の中にいっぱいあって、僕らみたいな、少なからず言葉をひねくり回して仕事してるヤカラからみると、ああ何でもうちょっと考えて名前つけなかったんだろう。ってことばっかりです。たとえば大相撲。お相撲さんの名前、四股名と言いますが、あれ、変なの多いですよね。いやいや、伝統文化があるからしょうがないんですよ。って言う人もいらっしゃるかもしれませんが、そもそも伝統や文化がどんどん消えてってる気がします。

逆に言うと、伝統って月日の積み重ねで作られていくものなので、何でもない名前が時の流れや、その力士の活躍で「いい名前」になっていきます。そういう意味では今、変な名前だな、と思う四股名も何十年か経てばいい名前になる可能性は高いですが。

何でもないただの苗字、田中だって中村だって強けりゃいい四股名になります。実際にもいらっしゃいますしね。あと、出身地。地名に海とか山とか付ける。これだって悪くないです。なんかどっしりしてる。いくら強くたって海や大地には敵わないですから。まあ個人的に、湘南の海っていう四股名がどうしてもタオル回してるように感じてしまって気になってしょうがないですが。いや、決して悪口じゃないですよ。彼がどんどん強くなると、逆に湘南乃風が相撲取りみたいに見えちゃうようになると思います。若旦那ってのも力士っぽい名前だったりするし。

あんまりよくないなあと感じるのは、師匠の名前から一文字もらってそれによくわからない、言葉とも言えない難しい文字をくっつける作り方ですね。師匠から文字をもらうのはいいですよ。まあ、同じ部屋だって分かりやすい。でもあんまりやるとなんかCIみたいというか、グループ会社っぽい。

師匠から一文字、出身地から一文字、それに自分の好きな文字入れて、みたいにもう暗号化してる人も最近多いです。3部構成みたいなの。とにかくなんか長い。そういうのって大概読みにくいです。さっきも言ったけど「語呂」を考えてない。名前は呼ばれるもの。特に相撲の場合、何度も読み上げられますよね。

使う文字にも何となく流行りみたいなものはありますね。お相撲さんって年取って見えるけど意外に若いんで、多分名前つけてくれる師匠も思ったより若いんだと思います。翔って文字使うのすごく多いですけど、63歳の私の感覚からすると、昔はツッパリの名前でしたから。横浜銀蝿の頃はちょっとビビるタイプの名前でしたからね。ああ、ツッパリだから相撲に合ってるのか…そんなわけないだろ笑。あとは「翔んだカップル」ね。誰も知らないね。そういう漫画があったんです。 まあ今は大谷翔平ですから、実にスマートな印象だったりするんですね。印象は時代で変わります。

まあ悪口になっちゃうので例出すのは控えたいと思いつつ、流石にこれは誰か止めなかったのか、と思ったのは「戦闘竜」というお相撲さんが昔いらっしゃいまして、今は格闘技に転向されてる方ですが、確かに強そう…ではありますが、なんだろう、逆にセンスがないというか、理由はあるんですよ、出身がアメリカのセントルイスだという…。それってほとんどダジャレじゃないですか。

名前ってその人を表す記号でもあり、呼ばれることでその人とイコールと見なされる。つまりその人の人格だと感じてしまうものです。だから慎重につけないといけない。ダメなら変えればいいじゃんって思うかもしれませんが、そんな軽いものでもないです。言語化することで印象を言葉に変えたわけですが、逆に言葉から印象が逆算されてしまう。これから名前をつけることがあったら、そのへん気にしていただけるといいかと思います。

前回ちょっと真面目すぎたので今回ふざけすぎました。まあ本質はこういう感じです。あと、よにのちゃんねるの益々のご発展を祈っております。ではでは

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?