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言葉のことばかり【ひとりごと】

違いは
口に出すか出さないか。

人間ってのは、基本的にいつも
「何か」を考えてるじゃないですか。

道を歩いてるときだって、
なんだかんだとアタマの中では、
いろんなことをしゃべっている。

そんなことないですよ。
感覚的なことは感覚でとらえているし、
すべてがコトバに
なってるわけじゃないのでは。
とおっしゃる方も
いらっしゃるかもしれませんが、

寒いときはやっぱり「寒いな~」と
ココロの中でつぶやいているような
気がするんですよねえ。

で、その、ココロの中のつぶやきが、
やたらと声にでちゃう
タイプの人が
いらっしゃるわけです。
これが「ひとりごと」ですね。

いない誰かとの会話。

先日、表参道を一人で歩いていたとき、
いきなりうしろから

「冗談じゃないわよう」

という声がして、あわてて振り向きました。

するとぜんぜん知らない人が
めちゃくちゃ怒りながら
怒鳴りながら歩いていて、
そうとうにビビりました。

その人はあきらかに
誰かに対して怒鳴っていて、
その相手はもちろんそこにはいないわけです。

いない人に対してコトバを発する。
これはそうとう怖い。

彼女はそこにいない誰かとケンカしながら、
ボクを追い越していきました。

余談ですが、そのまま歩いていたら、
向こうから同じ女の人が、
あいかわらず怒鳴りながら
歩いてきたのとすれ違いました。

どっかで折り返してきたんですね。

みかけはホントに普通の20代の女性でした。
うーん。世の中は病んでいる…。

人の心の中がのぞけたら。
あの人はワタシのことがスキなんだろうか。
知りたいモノだ。
なーんてよく言いますけど、

いわゆるテレパシーね。

もしそういう能力があったら、
…やばいですねえ。

まわり中の人が「ひとりごと」を
言っている状態ですからね。

世界中の人が
ブツブツなんかをつぶやいている。
うーん。地獄ですねえ。

最近は、ひとりごとかな、と思うと
スマホのワイヤレスで
しゃべってる人だったりするんで、
困ったモノです。

そういう風景が普通になっちゃうと、
あぶない人がいる風景も、
なんだか普通に見えちゃいますからね。

ひとりごとのごとは、
言でもあり事でもある。

もともと独り言と書きますから
言葉ですよね。

だけどそのときの「事」って
言ってもいいと思います。

ひとりでいろいろ思い悩んでると
それが行動に出ちゃって、
それが頭から言葉として飛び出しちゃう。
そんなこともありますよね。

そうじゃなくても、
このごろはひとりごと人が
すごく多いような気がする。

それは自分との対話?

今日も見ましたよ。ATMで。
中年な女性でしたけど、
まあ、なんか振り込んでるんですね。

ボクは列ついてて、何言ってるのかは、
もちろんわかんなかったですけど、
どうやら、自分がいまやっている手順を、
すべてコトバにして発してるようでした。

まあ、それ自体は、よくあることですよね。
「え…っと、まずはカードを…っと」
くらいはね。

だけど、ずーーーっとですからね。
それも段取り悪そうで、もたもたして、
声に怒りこもってるし、ちょっと、というか
そうとう怖かったですね。

まあ、待ってる間、
たいくつしなくてすみましたけどね。

叫ぶタイプの
ひとりごともある。

ひとりごとの変種を見つけましたよ。
それは「いきなり大声」なタイプです。
これはそうとうめずらしい…。
このタイプは、時と場合に関係なく、
いきなりしゃべるんですね。

もちろんひとりごとですから、
誰に語りかけるわけでもありません。
いきなり「あーっ!!」と言うわけです。

手書きじゃないんで書けなかったんですけど、
ホントは「あ」に濁点の「あーっ」ですね。

「あーっ!」のあとには
「やべーっ、もうこんな時間だーっ!」
というふうに、ひとことふたこと入ります。

これも悪化すると、かなりヤバいですね。
「あーっ!宇宙はどこに続いているんだーっ」とか、
「あーっ!ここはどこだーっ!」とか、
「あーっ!ボクはいったい誰なんだーっ」とか、

そういうふうになるとヤバいです。
もう違う世界の人間になっている。

先日、ウルトラQの名作…というか迷作
「あけてくれ!」というのを見直したんですけど、
これは最終回として制作されたものの、
あまりのわけのわかんなさにおクラになった
曰く付きの作品なんですけどね。

これに出てくる男がまさにそんな感じで、
とにかく「あけてくれーっ」と叫ぶ。
なんとも怖ろしい。
機会があったらぜひ…見なくてもいいですけどね。

みなさんも、もし自分がいきなり
「あーっ!」と叫ぶようになったら、
そのときはすでに、
別の世界の住人になっているのかもしれません。
(ナレーションby石坂浩二)←古くてわからない

気楽なひとりごとって
嫌いじゃない。

いろいろ言いましたが、
のんびりとひとりで過ごす日曜の午後に
思わずもらすひとりごとって悪くないです。

なんか鼻歌みたいなもんですよね。
「ちいかわ」のひとりごつ、みたいな気分。
しあわせが口からこぼれた感じですね。

次回の言葉は「はくしょん」です。


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