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クリエイターがプロ野球みたいに「引退後監督になる」って可能なのか?

定年後クリエイターの使い道:3

たとえばアスリート引退後の道。

プロスポーツの選手は寿命が短いって話しましたが、彼らには「引退したら監督になる」っていう道がありますね。相撲なら親方になる。この二つは同じようでちょっと違って、野球の場合はチームを指揮するという仕事。相撲の場合は個人なので選手の育成と指導ってことになります。

僕のような広告クリエイターなら監督にあたる仕事がクリエイティブディレクター(以下CD)ってことになると思います。広告制作はチーム戦ですからね。厳密にはCDは現役を引退してなるものではありません。
と言いつつ決まりはないですが、プレイングマネージャー的に自分を中心にグイグイ行くタイプと、方向を示すディレクションはやるが一歩引いてチームを束ねるタイプに分かれます。
後者はちょっと現役を退いた感もありますが実際そんなことはないです。責任は重いしすごく疲れる。そういう意味ではまあ監督的ですね。

あと野球の監督には「選手の育成」という仕事もありますよね。CDにももちろんあります。その手腕によって業績は変わるし、仕事としての評価にも影響します。これも大切な仕事です。

後進の指導という仕事は評価されにくい。

つまりチームを率いて戦う仕事と部下を指導し育てるという仕事の両方が混ざっている状態です。どっちも大切ってわかってはいるのですが、この二つは全く違う能力でもあります。両方やるのはかなり大変。

「クリエイターでやっていきたい」という思いでこの道に入った人が「後進の指導をしたい」とは思わないですよね。まあなくはないかもしれませんが、あまりココロザシが高くない気もします。
僕がいた広告代理店でもそこそこの年齢になるとそういったマネージメント的な仕事をしなきゃいけなくなる。わかりやすく言うと「部を持つ」みたいなこと。部下の勤務時間の管理とかね。これ、クリエイターはほぼ嫌がります。逃げ回りますね。だって面白くないし、それがやりたくてこの道に入ったわけじゃないですから。

そしてクリエイティブでのこの「育てる」という仕事は評価が難しいです。普通の職種より多分評価されにくい。もともとそう言うことをやるべき部署とは見られていないので。(ホントは違うんですけどね。)

あと、今はそうでもないけど、昔はちゃんと教えてくれる人は少なかった。「先輩の仕事を見て盗め」なんて真顔で言っていた。クリエイターなどという横文字職業でも中身は職人的な徒弟制度でできていました。今はブラックに繋がるからって減ったと思う。怖い先輩もいなくなった。だからと言って「教えてくれる人」が増えたわけじゃない。結局誰も教えてくれないのでどんどん個人主義になっていくだけ。徒弟制度の良さとか実はあるんだけど、その話はまた別の機会に。

なので「育てるのがうまい」そういうスキルを持ってる人ってのは、クリエイティブの技術とは別の感性を(たまたま)持っていた人、と言うことになります。野球の監督でもそうですよね。なんかあの監督になってから若手が育つ。みたいなことです。現役の頃はそんな評価はされてなかった人が多かったりする。だけどそのチームは結果的に強くなります。すごく大切な能力です。

で、私はそう言うタイプでした。

自分で言うやつは信用できないですよね。わかります。これだけ持ち上げといてそれって僕なんですよ。とかなかなか言わないです。だけどそうでした。

(電通報2017)

これ、とある専門誌に載ったプロフィールですが、わざわざ「上司として数多くのトップクリエイターを輩出」とか書かれる人はあんまりいないです。

まあ、別に偉そうにしたいわけではないので話を戻しますが、この「育てる能力」を仕事にすることはできないか。と考えたわけです。
ここを切り離す、というのはこの業界ではほぼ無いと思います。プロ野球の監督よりは「相撲部屋の親方」的な仕事かもしれません。

普通に考えると学校の先生ですよね。確かに引退後、大学の先生になる人も多いです。だけど相手が学生なのでちょっと違う。まあプロを目指す学生ならいいけどね。美大とかはありますね。だけどそこで求められるのは「今」な現役なんですよね。コピーライター講座などの講師もそうです。当然ですよね。学ぶ方もいま活躍してる人の方が魅力的です。

ということでそのへん模索していこう、とは思っています。育てる能力はあるんだけど現役じゃない。って良さもあると思うので。なんだろう。頼りにされる長屋のご隠居みたいな感じですね。需要ないかなあ。

みなさんどう思います?

ということでタイトルの「可能なのか」は自分に対して言ってる言葉でした。なんかすいません。反省しつつ、続きます。



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