見出し画像

【小説】とあるゲイの恋物語【第3話】

乾杯後、こうすけが話し始めた。

「だいき、この前話してた彼とは、会えたのか?」


少し残念そうな顔しながらだいきが

「それが、仕事が忙しいだの、予定があるだので、全然会ってくれないんだ。」


店主のゆうじが、少し怪訝そうな顔で、

「だいきぃ、それはあんた。脈なしよ?さっさと諦めて次の男を探しなさい!」


だいきは少し考えて

「ゆうじさんもそう思う?やっぱりそうだよな・・・。」
「もう、次に行くか!次!!」

笑いながら、だいきはお酒を一気に飲んだ。


だいきの様子を見ていた、
こうすけの視線が、自分のグラスに移る。

「・・・。」
「そ、そういえば、さっきの話の続きだけど、としやくんってーーー」

こうすけが、声をかけ、としやのほうを見ると
としやは、あからさまな焦り様で、時計を見ながらモゾモゾと動き出していた。


そして、こうすけの問いかけを遮るように

「ゆうじさんすみません。※チェックで。」※お会計

としやはカバンからお財布を出した。


その素早さに少し驚きながら、残念そうな声で、だいきが言った。

「え?もう帰るの?もっと話したかったのに…」

としやはだいきに申し訳なさそうに、

「すみません。明日、仕事が早くて。」

としやは、焦っていた。


「2000円ね」

としやはゆうじ(店主)にお金を渡すと

「それじゃ、また。」

お足早に店をでた。


「?」っと顔を見合わせる、こうすけとだいき。

あっという間の出来事に、こうすけが戸惑いながら、

「なんか、俺、悪いこと聞いちゃったかな?」

そう言いながら、ゆうじ(店主)の方を見た


ゆうじ(店主)は落ち着いた様子で

「としやくん、付き合った経験がないのかもよ?」
「この前、初めて飲み屋に来たみたいだし。」


「そうかぁ」

だいきが視線を落とすと

「あれ?」

としやのキーケースが落ちているのに気がついた。

「こうすけ、あれってとしやくんの?」

だいきが指を刺した。


こうすけは、すぐに落ちていたキーケースを拾い

真剣な面持ちで

「俺、届けてくる。まだ間に合うだろ。」

すぐさま、としやを追いかけた。

よろしければ、サポートお願いします。 いただいたサポートで、さらにクリエイティブな活動を頑張ります☺️