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Day284:『2030年すべてが「加速」する世界に備えよ』

著者:ピーター・ディアマンディス/スティーブン・コトラー
出版社:NewsPicksパブリッシング

■WHY:この本を読む理由

2030年まであと8年。テクノロジーの融合により、小売、広告、エンタティメント、交通、教育、医療、長寿、金融、不動産、環境分野において、大変化は予想より早くやってくる。

脳科学で証明されていること。
私たちの脳は、未来の予測が難しい。

脳が未来の自分を想像しようとすると、内側前頭前皮質が動作を停止する。(自分自身のことを考えるときに活発になる部位)

つまり、脳は未来の自分自身を”他人”として扱う。人は、これから起きるであろうことを、自分事として捉えることができない。そのため、遠い未来のことを現実として考えられない。

すでに起ころうとしているエクスポネンシャル・テクノロジーのコンバージェンスにより、派生的な変化の推進力がいくつも生まれている。変化が加速し、加速が加速を呼び、次なる破壊的変化の速度とスケールは膨らんでいく今、8年後の未来のために今から準備するためのガイド。


■WHAT:キーワード(コンバージェンス)

コンバージェンスとは「テクノロジー同士の融合」のこと。

コンバージェンスが加速すると、なくなるものがある=破壊的イノベーションが起こる。コンバージェンスは環境、経済、そして人類そのものを脅かすリスクを持つ。

*「破壊的イノベーション」とは・・

新たな市場を生み出し、既存の市場を消滅させること。
製品、サービス、市場を支える構造そのものが消滅する。

《消えるもの》
例えば、SNSマーケティング、広告、テレビ、画一的教育、自動車保険。

《変化するもの》
空飛ぶ車、アンドロイド教師、バーチャル社会科見学、バイオテックとアグリテック、個人の意識がバーチャルへ、ロボット医療、病気が治る、老化を克服できる、立地で土地を購入する時代へ、AIと移民で大量の雇用が生まれる、ショッピングスタイル(VR/AR)、金融など。

《ピックアップ》

▶︎デジタル知性が生まれる
・・ブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)

人間の脳を直接操作でき、人間が、現実世界を捉えるのと全く同じ方法で、現実世界を生み出すことができる。

脳波図センサーを使って、頭皮から脳波を読み取ることで、手を使わず脳で制御するインターフェースが実現する。


▶︎エンターテインメント

・誰が(コンテンツ制作者):コンテンツ制作者がスーパークリエイター(誰でも生み出せる)になり、ハリウッド独占は崩壊している。

・何を(内容):コラボ、没入型、パーソナライズ化

・どこで(ユーザーがそれを観る場所):すべてがスクリーン

■WHAT:成長サイクル6つのステージ

▶︎ステージ1:デジタル化

デジタル化は加速の始まり。テクノロジーがデジタル化される、つまり「0」と「1」のバイナリコードに変換できるようになると、量子コンピューティングで処理できるようになり、エクスポネンシャル(指数関数的)な加速が始まる。

▶︎ステージ2:潜行

初期の進歩は遅く、当面は世の中の期待に応えられない状態が続く。初期のビットコインはまさにこの状態。

▶︎ステージ3:破壊

このステージに達すると、エクスポネンシャル・テクノロジーは世界に影響を及ぼし始める。既存の製品、サービス、市場、産業が破壊される。

▶︎ステージ4:非収益化

製品やサービスにかかっていたコストが消滅するステージ。たとえば、写真はかつて高価なものだったが、いまやフィルムや現像のコストはゼロ。

▶︎ステージ5:非物質化

かつてあった製品そのものが消えるのが非物質化。以前は独立した製品だったものの多くが、今ではスマートフォンに吸収された。ウィキペディアにより百科事典が消え、iTunesによりCDショップが消えた。

▶︎ステージ6:大衆化

エクスポネンシャル・テクノロジーがスケールし、一般に広がる、最終ステージ。初期の携帯電話はごく一部の富裕層が持つものだったが、現在のスマートフォンは世界中でほとんどの人が所有している。


■HOW:加速する未来への備え方

・加速度的な変化に機敏に適応する力

これから数十年で、AIとロボティクスのコンバージェンスにより、かなりの割合のアメリカの労働者が失業の危機に陥るであろうことを、多くの研究が示唆している。社会が変化に適応するには、数千万人の労働者が再教育を受け、バージョンアップしなければならない。

・視野を広げる

人間の脳はもともと目の前のことだけを考える、近視眼的に物事を捉えるようにできている。

人類は自らが想定できる時間軸を伸ばす努力をしてきたが、テクノロジーの加速とともに、再び近視眼的傾向が強まってきたことが懸念されている。人間の存在を脅かすような大きなリスクから身を守るには、長期的な視野を持つ必要があると理解しなければならない。

長期的な思考を現実世界で実践するということは、具体的には「予防」を考えること。

AI、ネットワーク、センサー、衛生のコンバージェンスにより、これまでになく高度に、グローバルな脅威を探知するネットワーク構築が可能になる。AIを使った暴走AIの探知システムなども提案されている。急速に変化する世界において、予防はリスクを克服するカギとなる。究極の予防は適応力と機敏さを持つこと。

※問題点
現行の組織や制度の大半は、規模と安定を目指してつくられたもので、社会が変化した今、保有資産の多さや規模の大きさは意味を持たない。ウーバーのように、タクシーを持たないタクシー会社すら存在する。こうした柔軟さが国家の「統治」でも必要となる。

エクスポネンシャルな社会では、国家の反応時間も大幅に短縮しなければならない。

エストニアでは公共サービスの99%がオンライン化。政府のデジタル化が進んでいる。

その結果、国全体で800年分もの作業時間が節約されたとされる。

人類が今後生き残っていくには、長期的な視野に立ち、十分な予防策を考え、実際にそれに機敏に適応する統治力が必要となる。

《2大問題》

▶︎環境

「最も重大な5つの脅威」は、水危機、生物多様性の喪失、異常気象、気候変動、環境汚染

▶︎雇用

自動化による失業者の増加しているが、実際には雇用そのものはなくなっていない。むしろ人手不足の企業もある。

自動化によって雇用は失われるが、それ以上に新しい雇用も生まれている。機械だけに仕事をさせるのではなく、人間と機械のチームにするのが最も生産性が高まることが調査によりわかっている。


■コンバージェンス負の側面、懸念点

脳の退化
運動不足による運動機能の低下
コミュニケーション能力(話す力)の低下
選択、決断の必要性がなくなる
競争の必要がなくなる
学びすらいらなくなるのでは?

■価値に変わるスキルは?

発想力、創造力、行動力、未来を読む力、ニーズを汲み取る力、テクノロジーを動かす力

▶︎関連本


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