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【本について】
タイトル:点をつなぐ力 ーセレンディピティ

著者:クリスチャン・ブッシュ/出版社:東洋経済新報社


Q.「運」を結果に繋げる方法とは?
A セレンディピティが起こりやすい環境を自ら生み出し、情報をキャッチする。キャッチするだけではなく、実行に移す。点と点をつなぐマインドセットを育むこと。

【WHY】
なぜ、セレンディピティについて知る必要があるのか?

私たちは、ルーチン、ルール、プロセスを定め、全てを計画どおりに遂行しようとするけれど、本当に人生をコントロールできている人は少ない。

どれだけ計画を立て、モデルや戦略を作ったとしても、そこには常に「予想外」という別の要素が絡んでくる。

「予想外」は、決定的要因として、私たちの人生を未来に大きな違いを生じさせている。「予想外」の要因がどう転ぶかによって、戦争の勝敗、企業の盛衰、愛の行方は変わったりする。

*重大な科学的発見の30%~50%程度は、意図せざる偶然の結果生まれていることが研究によって示されている)

にもかかわらず、「予想外」を成功やプラスの力に転換するマインドセット(心構え)を身につけている人はごくわずか。

世界は、今さまざまな政治的、社会的、環境的変化に直面していて、私たちの未来の大部分を決めるのは予想外の要因である。

【WHAT】点をつなぐ力

*セレンディピティとは

・偶然と人間の志や想像力の相互作用
(予想外の事態での積極的な判断がもたらす、思いがけない幸運な結果)

・世界を動かす隠れた力

・単に私たちの身に降りかかる偶然ではなく、点と点を見つけ、つないでいく“プロセス”

・「セレンディピティ・マインドセット」とセレンディピティに適した状況を生み出す能力は、私たち、子供世代、さまざまな組織にとって欠かせないライフスキル

=特徴=

いつでもどこでも起こりうる

=メリット=

セレンディピティを理解すると、他の人には越え難い断絶しか見えないところに橋が見えてくる。すると、セレンディピティが身の回りで次々と起こるようになる。

*セレンディピティ・マインドセットとは


・予想外の変化を成功のチャンスに繋げる心構え。

・圧倒的な成功と幸福を手にした人々が、有意義に生きるための支えとしてきた人生哲学で、私たち1人ひとりが身につけることのできる実践的能力。

・ただ、受講的に運を受け入れる姿勢から、自ら積極的にスマートラックを生み出す主体に変わること。

※注意
これまで慣れ親しんできたマインドセットや常識を当てはめようとしてもうまくいかない。

【HOW】セレンディピティを結果に繋げるためには?

セレンディピティは、コントロールできるものではないし、予測できない。ただ、セレンディピティが起こりやすい状況は生み出すことができる。

=注意=
新たなパターンが生まれる瞬間を捉え、活用しようとする意識的努力が必要。つまり、点と点を結びつける努力が必要。

セレンディピティへの最大の障害は、私たち自身の先入観、すなわち無意識のうちに思考を操作し、セレンディピティの可能性を封じてしまうバイアス(思考の偏り)

セレンディピティが訪れた時に、それを見えなくするだけではなく、すでに起こったセレンディピティへの解釈を誤る。

■4つのバイアス

1、予想外の要因の過小評価

タッチの差で逃してしまったたくさんのチャンスはなかったか?

予想外の情報に対して、注意を払うようになると、それまでは切り捨てていたこと。気にもしなかったような情報を発見し、把握できるようになる。

2、多数派への同調

みんなの意見が一致していれば、安心(?)

多数派の意見には、疑問を持つことも需要。私たちは、自分の企画や発見が組織の文脈や既存の常識にそぐわないことを恐れ、意見やアイデアを切り捨ててしまいがち。(自己統制)

3、事後合理化

「事後合理化」は、「後知恵バイアス」と密接な関わりがある。後知恵バイアスとは、過去の出来事を実際よりも予測可能だったと考える傾向のこと。

その時点では入手不可能だった情報を使い、都合よく全てを説明できるようなストーリーを作ってしまう。何もないところに、規則性や関連性を探そうとする傾向は、ランダムな出来事の重要性をわかりにくくする。また、事実とは異なるので、真の学習の機会も奪われる。

4、機能的固定化

知識や専門能力は、両刃の剣。専門知識は「機能的固定化」に繋がりやすい。

あるツールを日常的に使う人、あるいはそのツールが特定の方法で使われているのを見慣れている人は、それを全く別の方法で使うのを想像するのに、心理的なブロックがかかりやすい。

見慣れたツールを全く新しい視点で見ようとする心理的機敏さ、オープンな姿勢はセレンディピティ・マインドセットを習得する上で欠かせない。

■頭の中にたくさんのモデルを持っておく

私たちの脳の仕組みは、精子と卵子に似ている。最初に1つのアイデアが入ってくると、脳はそれ以外を全てシャットアウトする。

最初にこれだ!と思ったものを選ぶ傾向は、判断を誤ったり、疑問を抱かなくなったりする原因になる。世界を見るときには、頭の中に多様な、時には相矛盾するモデルと持っておく方がいい。

■リフレーミングで「感度」を高める

予想外の事象に気づくか否かの鍵を握るのは注意力、つまり「感度」
観察力や注意力を高めると、世界の見え方、日々の経験がガラリと変わることがある。

■セレンディピティに向けてナッジする

プロセスは通常、行動をわずかに変えるところから始まる。

例えば、あらゆる状況を問題としてではなく、学習の機会として捉える。

例)自動車事故にあった時、単に不運な出来事と捉えれば、それだけで終わってしまう。

「悪いことが起きた時には、長い目でみよ」
ーリチャード・ワイズマン

■反事実的思考

幸運な人は、もっと悪い状況になっていたかもしれないとう「反事実的思考」をする。

一方で、不運な人は、「こうだったらよかったのに」「私の人生こんなもの」という捉えかたをする。

要は、幸運な人は、自らを不運な人と比べる。不運な人は、自分より幸運な人と比べる傾向にある。

■正しい問いを投げかける

ひたすら問答を繰り返すことで、斬新な発想を促し、先入観を排除する。

ーソクラテスの6つの問いー
1、明確化のための問い「なぜ、そんなことをいうのか」
2、前提を探る問い「他にどんな前提がありえるのか」
3、証拠を調べる問い「どんな事例があるのか」
4、比較のための問い「優れている点、問題点は何か」
5、影響を探る問い「この行動はどんな結果を引き起こすのか」
6、問いそのものに対する問い「そもそもなぜこの問いをするのか」

■大切な価値観を明確にする

人生は何が待ち受けているかわからない。あらゆる事態に備えを固めるのは難しい。トレードオフを伴う場合はなおさら。そのためにも、もっとも大切な価値観や行動をはっきりさせておく必要がある。

自分の直感に耳を傾け、恐怖を避けるためではなく、希望やビジョンに基づき判断を下す。

例)アダム・グラント
「午後9時に就寝」→価値観:しっかり休息をとることは大切だから

価値観を口にするのは簡単だけれど、本当に実践しているか?

■種を蒔き予想外を誘発する

「つり針は常に下に下ろしておこう。魚は全く予想していないとことにいるものだ」ーオウィディウス

ー4つのセレンディピティ・トリガー

「好きなこと」「仕事の説明」「関心があること」「趣味」

4つの種を蒔くことで、反応変えてくる確率は高まる

■居心地のいい場所から一歩踏み出す

予想外のつながりは、予想外のところから生まれることが多い。偶然の出会いが、

たった一度あるだけで、人生が一気に好転することも珍しくない。未知の状況に進んで足を踏み入れる必要がある。
(本やネット、新聞、映画もトリガーになる)

■初心者の心

「初心者の心には多くの可能性があるが、専門家の心にはわずかしかない」ー鈴木俊隆

セレンディピティは大抵、「わからない状態」で起こる。

【WHAT IF】 ポストイット型セレンディピティ

問題を解こうとしていて、全く違う、あるいは存在すらしていなかった問題への解決策を偶然見つけること。計画していたルートとはまるで違った方向に進む。

1970年代末、消費財メーカー3Mの研究者だったスペンサー・シルバー博士が、強力な糊を開発しようとしていた。10性に発見したのはまるで逆の、あまり接着力の高くない物質だった。この弱い糊が、「ポスト・イット」という新製品になった。

【響いたメッセージ】

■幸運は備えのある者に訪れる
■「機を見るに敏」
■世界はセレンディピティに満ちている
■思考の枠組みは、毒にも薬にもなる
■物事はたいてい最後にはうまくいく。うまくいっていないなら、まだ最後ではないということ。
■未来は予測具可能だが、対処は可能
■子供時代に植え付けられた芽は、生涯に渡って成長を続けることもある。(人は子供時代に、世界の見方を学ぶ)
■たとえ、物事が自分の思い通りにいかなくても、人生が終わるわけではない。
■何が起ころうと、正しい姿勢で向き合えば、必ず道は拓ける。
■困難は自分の手足を縛るものではなく、乗り越えるべき山なのだ。
■アイデア、見解、視点、応用分野の重なり合うところで、クリエイティビティは生まれる。
■生き生きと生きるためには、マクロとミクロの両方の生きがいが必要。
■今日の不運が明日のセレンディピティになる。
■変化しないことを恐れる組織に。

【学び】

人生自分次第。主体的に生きていくことで、チャンスに恵まれる。

『物事はきっとうまくいく』という自信を植え付けることは、親が子に、教師やリーダーが学生や部下に与えられる最高の贈り物。

ある出来事や情報の意味、そこに秘められたチャンスは、ぱっと見にはわからないかもしれない。

新たな本との出会い、誰かとの会話など、パズルの最後のピースが見つかるのは、何年も後かもしれない。だから、すぐに結果を追い求めない。

【アクション】

出来事を多面的に視る
ソクラテスの問いを実践。


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