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Day283:「やってのける」ー意志力を使わずに自分を動かす

ハイディ・グラント・ハルバーソン著 / だいわ文庫

目標達成と動機付けの研究より。

■問い

どうやったら目標達成できるのか?

意志力を使わずにどうやって成し遂げるのか?

達成できない人は、なぜ達成できないのか?

成し遂げるための科学とは?

■問題提起、研究の意義

私たちは、失敗の原因を誤解している。

世の中には、何をすべきか知らないために失敗する人より
何をすべきか知っていながら失敗する人が圧倒的に多い。

自制心だけでは、「自分」を動かすことはできない。

■著者の主張


目標を達成できるかどうかは生まれつきの資質のみでは説明できない。

目標を達成する能力は、誰でも高められる。

目標達成するために

誰でも達成できる万能は目標達成法は存在しないから、

”自分と状況にふさわしい目標達成の仕方を選択していくこと”

これによって、無駄なエネルギーや結果に繋がらない行動をすることなく目標達成できる。

■大前提

・目的地は定まっているか?

どこかへいくために、まず初めにすべきこと「どこへいくか決める」こと。

ただ、幸せになりたい、健康になりたい、成功したいと願っている人が、あまりにも多い。具体的な目標に落とし込んでいる人は少ない。

■方法:目標設定を具体的にする

「どう設定するか?」が重要。

目標が曖昧なら、低きに流れる。

一方で、「具体的で難易度の高い目標」は、パフォーマンスをアップさせる。自然と意欲と集中力がアップする。

例)「痩せる」より「2キロ減量する」


人に依頼するときも、依頼した人が迷いなく行動できるように、具体的に伝える必要がある。(人は、求められた以上のことはしない)

目的地を正確に把握していれば、辿り着くまでの間、やる気を保ちやすくなる。「ベストを尽くす」では、漠然としすぎていて、モチベーションを高めにくい。


■方法:ハードルを高めに設定する

現実的なレベルで、目標の難易度を高めにする。

高すぎても低すぎてもモチベーションは下がる。

■方法:「なぜ」と「何」を考える

・「なぜ」を明確にすると・・

やる気が出る。

小さな行動を大きな目的に結びつけることができる。

「やる意義がある!」と思えるため、やる気や自制心が高まる。

モチベーションを上げやすくなる。

例)子供に勉強をさせる際「丸暗記しなさい」では理由がないのでNG

・「何」を明確にすると・・

難しい行動ができる。

具体的な行動への意識が高まる。

目の前の行為そのものを考えるようになる。

難しく、不慣れで、複雑な行動や学習をする必要のあるとき、確実に進みたいときには、行動を先延ばししにくくなるので効果的。

《コーヒーの実験》(「なぜ」と「何」、行動への影響)

心理学者ダン・ウェーグナーの実験

被験者にコーヒーを飲ませ、「コーヒーを飲むこと」を描写する30の描写から、たった今したばかりの行動(コーヒーを飲む)に近い描写を選ばせる。

一般的なマグカップと持ちにくい形のマグカップで飲んだ人の反応は?

ー実験結果ー

普通のマグカップ:「なぜ」の記述が当てはまる文章を選んだ

持ちにくい形のマグカップ:「何」の記述が当てはまる文章を選んだ

不慣れなマグカップからこぼさず飲むためには、コーヒーを飲む理由ではなく、行為そのものに意識を向ける必要があった。「なぜ?」思考では、手を滑らせ、コーヒーをこぼしていたかもしれない。

→抽象的な思考よりも、シンプルで具体的な思考の方が、難しい動作を行いやすくなる


■ワーク

・「なぜ」の考え方を身につける

1、最近の行動のうち、「やる気がわかない」「誘惑に負けた」などの理由でうまくいかなかったことを書き出す。
2、その行動を取りたい理由を書く。目的は?得られるメリットは?
(反復することで、習慣化され、無意識で行えるようになる)

・「何」の考え方を身につける

1、新たに取り組みたいと考えている目標や、しなければならない行動のうち、「複雑」「難しい」「慣れていない」ものを書く。
2、その目標を達成するために、最初にしなければならないことを書く。
着手すべきことは何か?具体的な行動に集中する。

■方法:「いつするのか」(「いつ」の影響)

自分が「なぜ」「何」どちらに傾きがちなのがいつか把握する。

「いつ」は、「なぜ」「何」の思考に大きく影響する。

ダイエットを始めるのが明日なのか、来月なのか、休暇を取るのが来週なのか来月なのかによって、思考は抽象的(なぜ)か具体的(何)かのどちらかに傾く。

研究では、人は遠い将来のことを計画する時には抽象的な「なぜ」の思考を、近い将来のことを計画する時には具体的な「何を」の思考を好むことがわかっている。

・遠い将来:現実的な考えよりもメリットを優先させる
(理想主義者の視点)

・近い将来:現実的に考える

※注意(マイナスに働くこともある)

人は、思いがけなく訪れた近い将来の機会に対し、なかなか積極的になれない。得られるもの(なぜ)より、現実的な問題(何)ばかりに目がいくことで、せっかくのチャンスを逃してしまうことがある。

予定を決める時には、近い将来か遠い将来のどちらについて考えているか自覚し、それが自らの思考にどう影響しているかを考慮すると、良い判断がしやすい。

■方法:自分を知る(自分はどんな人間か?)

達成までに道のりや楽しさはや面白さは、選択した目標のタイプによって変わる。目標の違いは、不安や抑うつなどへの陥りやすさや、落ち込んだ時の対処法、成功の見込みが低い時に耐え続ける力にも影響する。

適切なタイプの目標を選ぶことで、壁にぶつかっても諦めず、努力を続け安くなる。選択を誤ると、簡単に諦めやすくなるので注意が必要。

▶︎目標タイプA:周りに能力を示す(証明型目標)

達成した場合、大きな見返りが期待できるため、やる気を高めやすい。

いい時は、やる気を高めてくれる自尊心が、状況が好ましくないものになると、逆に作用するので注意。自己不信、不安、抑うつ、恥ずかしさなどネガティブな感情を抱きやすい。

《証明型の特徴》

認められたい気持ちが強い。

知能や能力を示したり、他者より良い成績や成果をあげたりすることを重視する。試験の点数が悪いと、自分は頭が悪く価値のない人間だと考える。

▶︎目標タイプB:成長する(習得型目標)

自己承認ではなく、自己成長という形で自尊心と結びついている。

技能や能力を高め、より良い存在になろうとする欲求を満たすための目標タイプ。成績や売り上げなど、具体的な目標の達成ではなく、どれだけ進歩や成長したかに注目する。短期より長期。

《習得型の特徴》

能力不足による低調な結果や直面するトラブルをネガティブにとらえない。

問題にぶつかっても、意気消沈したり、無力感を味わったりすることがなく、壁を乗り越えるための行動を取ろうとする。

証明型か習得型かは、感情と行動に大きな違いをもたらす。


■方法:フォーカス

・得られるものを見るか、失うものを見るか

「獲得型」と「防御型」

▶︎獲得型:何かを得たり、達成したいと切望する(得ること重視)

称賛によって、モチベーションを高め、困難に直面すると諦めやすくなる。

機会を逃すことを嫌うので、リスクを承知で行動できる。

正確さよりスピード重視。

「愛」「称賛」「報酬」「喜び」などポジティブなもので人生を満たそうとする。

▶︎防御型:安全と危険に注目する(損しないことを重視)

批判によって、モチベーションを高め、困難に直面しても簡単に諦めない。

ミスを犯すことを恐れるため、確実な成功を期待できない限り行動しない。

新しいアイデアには消極的。スピードよりも正確性を重視。計画力に優れ、遅れることなく行動できる。

「危険」「罪」「処罰」「痛み」などネガティブなものを人生から排除しようとする。
(※楽観主義は、「防御型」には逆効果。過度な楽観は、油断につながる)

同じ目標を目指していても、獲得型か防御型のどちらの思考にフォーカスしているかで、大きな違いが生じる。
(決断、アプローチ、不安への対処、幸福感など)

■こんな時どうしたら?

・簡単なことを達成したければ、結果を重視する

・意欲が湧かない時には、理由を意識する

・難しいことをする時には、小さなステップを意識する

・誘惑に負けそうな時には、失うものを意識する

・スピードが必要な時には、得られるものを意識する

・創造性が求められる時には、自発性を意識する

・過程を楽しみたい時には成長を意識する

・幸せになるには、3つの要素を意識する

「関係性」「有能性」「自立性」(人間の基本的欲求)

この3つを満たせなければ、喜びが持続することはない。

歩き始めた頃の子供は、有名になりたいと思っていないし、お金にも興味がない。

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・子供達が関心を持つのは、大人から愛情を得ることや一緒に遊んでもらうこと(関係性)

・歩いたり、積み木を組み立てたりする方法を学ぶこと(有能性)

・自分のしたいことをすること(自立性)

ーーー

子供の方が大人より、動機付けに優れている。


■現場で活かすには?

まず、自分の思考のタイプ(癖)を把握する。

うまくいっていなければ、思考を変える。

目標達成に有利になる思考を選んでいく。

ハイディ・グラント・ハルパーソン著


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