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目の前のつながりから、共に未来をつくるコミュニケーション

マーシャル・B・ローゼンバーグ 著/英治出版

「どちらが正しいか」の先へ

「対立に満ちた世界で平和を語る」

本当に大切なものは、誰もが手にすることができる。

●WHY

(非暴力コミュニケーションが求められる背景)

お互いに願いを共有していても、繋がれない、分かり合えないもどかしさを感じている人が多い。

彼らは、「自分はもっとこうすべきだったのに」と自分を攻撃

自分の至らなさを埋めるために様々な行動を起こすけれど、内面が満たされることがなく、果てには消耗してしまう。

●WHY(NVCが生まれたきっかけ)


他者に対する非難や批判だけではなく、もっと暴力的な行動に向かう人たちがいる一方で、思いやりを持って与え合うことを喜びとする人たちがいる。

何が違うのか?

●WHAT(コミュニケーションがうまくいかない原因)


暴力が蔓延している原因は、私たちの本質ではなく、私たちの受けた教育にある。

平和な変化をもたらすプロセスは、自分自身のマインドセット、自分と他者をどのように見ているか。そして、自分のニーズをどのように満たすのか、を見直すことから始まる。

実践のためには、正直さと開かれた心が求められる。判断、決めつけ、恐れ、義務、責務、懲罰と報酬、恥の意識を強いるような、これまでの教育で植え付けられたものを手放さなければならない。

●WHAT(解決策)

NVC(非暴力コミュニケーション)

*人間本来の姿に近づけるための思考、言語、コミュニケーションを統合したもの

*活発な対話、創造的な方法

私たちが日々使う「言葉」が、自分自身や相手・世界の捉え方に影響を及ぼしていることに注目したコミュニケーション法

(特徴)

自らの内面を見つめ、世界をより良い場所にするために自分に何ができるかを積極的に問うもの。

「自分の内面で何かが息づいている・生き生きしているか?」に意識を向けると、そこから自分や相手の繋がりを作ることができる。


(なぜ、NVCが有効か?)

私たちの言動の源には、自分自身の命が満たそうとしている大切なもの(ニーズ)がある。

心地よい:ニーズが満たされている
不快:ニーズが満たされていない

非暴力コミュニケーションによって、ニーズが明らかになるため。ニーズに紐づいたあらゆる感情は、いのちが何を欲しているのかを知るための重要な手がかりになる。

人生を豊かにするために大切なものは、自分の内面に意識を向けることで気づくことができる。

また、自分自身に耳を傾け、寄り添うことによって、人は本当の智慧と強さを思い出すことができる。

私たちが持つ基本的な感情

(ニーズが満たされている時)
ありがたい、嬉しい、感心する、感動する、希望、
ほっとする、喜びに満ちたなど

(ニーズが満たされていない時)
行き詰まる、イライラ、打ちのめされる、悲しい
気乗りしない、懸念、困る、困惑、寂しい、失望
焦ったい、腹を立てるなど

私たちが持つ基本的なニーズ

・自分の夢、目標、価値観を選ぶ
・人生を創造し、夢を実現したことを祝福する
・誠実さ、創造性、意味、自尊心
・美、調和、秩序、平和
・受容、承認、心の安心、安全、共感、愛、尊敬、理解
・楽しさ
など

(NVC実践において知っておくべきこと)

NVCがうまくいかない原因:

私たちにプログラムされているNVCとは全く異なる思考法とコミュニケーション法(自分の内側で何が息づいているかを考えるように教わっていない)

*NVCを阻むもの:

「するべき」「しなければならない」


*暴力的な言動をとる背景

「何が正しく、何が間違っているか」という捉え方

「間違っているものは正されるべき」とうい考え方が暴力を正当化し、言動に現れる。


(音の影響力)

音(言葉)は、力強く創造的な媒体。

私たちが発する言葉は、私たちが何を考え、何を感じ、

どんな世界に生きているかを浮き彫りにする。

話す言葉次第で、ドアは開きもすれば、閉じもする。

発する言葉によって、自分自身の幸福度が決まる。

(傷を癒す、傷つける、喜びを生み出す、苦しみを生み出す)

自分がどんな人間かは、発する言葉によって知れる。

言葉は、人の日々の思考と本質を物語るから。


●WHAT IF(教育の弊害)

「悪い」「間違っている」「能力がない」「愚かだ」「怠けている」「わがまま」と決めつければ、私たちは罰せられるし、「いい子」「いい生徒」「いい社員」というレッテルを貼れば、私たちは報酬をもらえるかもしれないと考える癖が私たちにはある。

「自分の内面に何が息づいているか」

「何が人生を素晴らしくするか」

よりも、報酬と罰という観点から考えるように教育されてきた。

*教育観:人間は基本的に利己的で邪悪であるとする理論がベースにある

●HOW(NVCの実践)

2つの重要な問い:

わたしたちの内面で何が息づいている・生き生きしているか?
人生を素晴らしいものにするために何ができるか?

意図を持つことで、行動の動機が変容する。

意図とは、他者や自分自身と、思いやりのある与え合いが可能になる可能性をような繋がりを生み出すこと。

(与えるという行為を自らの意思で心から行うこと)

「すべての行動は、他者と自分自身の幸福のために自らの意思で貢献するという、たったひとつの目的のために行われる」
ーマーシャル・ローゼンバーグ博士

NVCのプロセス:

「観察」「感情」「ニーズ」「リクエスト」


■『観察』

自分の内面を把握して、言語化(表現)する力

相手の行動の何を好ましく思い、何を好ましく思わないか表現する
(※一切の評価を交えない)

相手のどこが間違っているかを伝えることではなく、心からの正直さが大切。

■『感情』(自分がいだいている感情)

ある瞬間に自分の内面に何が息づいているかをはっきり言葉にするためには、自分の感情とニーズを明確にする必要がある。

感情を表現する時には、その感情の原因が、自分のニーズにあることを明確にするような言葉を添えることが極めて重要。

(※私たちは、自分の感情を表現する語彙に乏しいため、感情を明確に伝えることができないので、語彙を身につける)

「あなたがそういう行動をとる時、私は〇〇と感じる」


■『ニーズ』(感情と繋がっているニーズ)

私たちの感情の原因は、他者の行動にあるのではなく、私たち自身のニーズにある。ニーズのレベルで人と人が繋がるとき、驚くほど解決可能になる。

「私が今のように感じているのは、〇〇を必要としている/大切にしているから」


■『リクエスト』(お願い)

「行動を促す肯定系の言葉」

「してほしくないこと」「するのをやめてほしいこと」ではなく、「してほしいこと」として肯定系の言葉を使う。

相手に何か行動を「する」ことをリクエストする。

「何を求めていないか」を伝える代わりに、「何を求めているか」を明確に伝える。

(良いリクエストをするための2つの問い)

1、自分は相手に何をしてほしいか

2、自分の望むことを、相手がするなら、その理由はどのようなものであってほしいか?

『ちょっと待って!!ストップ!!!「こうしなきゃダメ」』などの自分の考えを話すのは、にニーズをゆがめた表現なので、NG。

※注意※
リクエストは「強要」とは違う。

強要は、人間関係に破壊的な結果をもたらす。人は、強要では動かない。


まとめ

思いやりのある与え合いが可能になるような繋がりを作り出すこと。そのために、「観察」「感情」「ニーズ」「リクエスト」という4つのリテラシーについて知っておくこと。表現する際には、「感情」「ニーズ」「リクエスト」を贈り物として差し出すことで、私たちの内面で何が息づいているか相手に伝わるようにする。

どんな行動が人生をより豊かにするかを相手が理解できれば、相手は、こちらの幸福に自らの意思で貢献するチャンスを得る。(贈り物)


(特記事項)

・人は他人の行為によって傷つくのではなく、自分の受け取り方によって傷つく

受け取りたかったら、「お願い」しなきゃ始まらない。ージム・ローン

・罪悪感や恥の意識からの学びの代償は、高くつく。

・どんな人であっても、もっともな理由もなく行動をとることはない。もっともな理由とは「ニーズを満たすこと」

・子供の頃、親からしょっちゅう言われて嫌だった言葉を、いまだに自分自身に行っている人がいる。

「どんなこと、わかってたはずでしょ」

「だらしない」

「馬鹿だ」

「わがままだ」

「どこかおかしいんじゃないの?」

今でも、自分が完璧でないときに、親と同じようなやり方で自分を教育している。


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