リブランディングからメディア露出350本まで~ロケット開発ベンチャーで学びしかなかった広報1年目の振り返り
こんにちは。ロケット開発ベンチャーのインターステラテクノロジズ株式会社(以下IST)でPR・マーケを担当している髙橋聡実です。
自己紹介はこちら!
2021年7月に未経験広報として入社し、半年ほどは主に事業開発領域に従事。事業開発部長が着任した2022年1月から本格的にPR領域を担当し、同年10月にPR・マーケティンググループリーダーとなりました。
学びしかなかった2022年度を、備忘のためにも振り返ってみたいと思います。
ISTは北海道を拠点にしたロケット開発・製造ベンチャーです。
2019年と2021年に、国内民間単独として初めて&唯一の宇宙到達を達成しました。もしかするとロケット(名前はMOMO)打上げのニュースを見たことがある方もいるかもしれません。
実は2022年初頭、ISTは会社として大きな決断をしました。
それは、今後のISTのメインビジネスとなっていく、より大きなロケット(名前はZERO)の開発に注力するため、これまで毎年必ず行ってきたMOMO打上げを「少しお休みする」というものです。
ロケット打上げは開発の大きなマイルストーンであるとともに、ステークホルダーの皆様に会社の成長を見てもらい、メディアの方に取り上げていただく重要な機会にもなっていました。
PR戦略も、大きく練り直す必要があります。一方で、感じていたPRの課題に向き合うよいタイミングでもありました。当時、ISTのPRで感じていた課題は主に3点。
ステークホルダーの皆様への情報発信不足
事業の成長に合わせた”見せ方”のアップデート
宇宙輸送事業への理解促進
ロケットは夢やロマンではなく、宇宙への唯一の輸送手段です(業種としては佐川急便やヤマト運輸と同じ輸送業)。宇宙へのインフラであるロケットの低価格化や高頻度化が進むことが、世界中で成長が見込まれている宇宙産業拡大のカギとなります。
ISTのこうした重要性や将来性に対する理解を深めるPRとは何か。それを模索し続けた1年となりました。
良好な関係を築き、期待値を高めるPR
さて、PRはPromotionと誤解されることも多いのですが、Public Relationsの略です。ISTのPRでは「事業活動維持・拡大のため、ステークホルダーと良好な関係を築き、期待値を高めること」と定義しています。
(個人的にはこの「期待値を高める」という表現にこだわりを持っており、「この施策は期待値を高める(た)かどうか」を判断のよりどころにもしています)
主なステークホルダーはこんな感じ。
2022年度のISTのPRでは、次の3点を重点施策に掲げました。
ステークホルダーとの関係強化
リブランディング
事業ストーリーに沿ったメディア露出
とはいえ、少数チームのため、できることには限りがあります。ドラスティックに優先度を付け、スモールスタートでやってみる。ベンチャーならではの環境で、とにかく判断力と現場力が求められましたし、鍛えられたと思います。
ステークホルダーとの関係強化
まず着手したのは、打上げがなくても次に向けた開発や事業が進捗していることを見える化すること。(地味かもしれませんが)ステークホルダーに合わせた発信を質・量ともに強化しました。
プレスリリース配信数増加(特に開発進捗を伝えるもの)
登壇やイベント出展、メディア掲載などウェブサイトでのお知らせ強化
株主様や企業パートナー様向けのニュースレター配信
新規株主様との対談動画シリーズ企画
地元のお祭りへの出店
などなど、さまざまなコミュニケーション方法を設計しました。
リブランディング
次に取り組んだのはリブランディングです。ブランドコンセプト構築からウェブサイトのフルリニューアルまで、半年かけて取り組みました。一からのリブランディングとウェブサイト制作は私自身にとっても初めてで、会社の見せ方の上流から下流までを学んだ大きな経験となりました。
フルリニューアルしたウェブサイトはこちら。
キーメッセージは「ロケット、衛星、そして地球を変えていく」、なりたい姿は「宇宙の総合インフラ会社」。外部のクリエイティブ会社にも入ってもらい、外からの目線も入れながら喧々諤々議論した過程は、社内の意思統一の点でも意味があったと実感しています。
事業ストーリーに沿ったメディア露出
もう一つ力を入れたのは、メディアコミュニケーションです。宇宙輸送事業のビジネスとしての重要性や将来性を知ってもらうことが目的だったため、特に経済系メディアへの露出を目指しました。結果としては、新聞各紙やWBS(ワールドビジネスサテライト)、報道ステーション、news every.、WIRED、NewsPickなどを含む年間346本の掲載実績を獲得することができました。
(もしかして、この記事をお読みの皆様の中に、ISTに関する記事を目にされた方がいらっしゃったらうれしいです!)
ISTの強みは、ロケットを一気通貫で自社開発しているものづくりの現場力です。この強みを最大限に生かすため、開発マイルストーンの積極公開をメディア向け施策の軸に据えました(開発部の多大な協力あってこそ!)。
ただ、開発試験単体では正直、一般の方にあまりなじみがありません。何が新しくて、どんな社会課題を解決したいのか、メディアの方とは常に「新規性」と「社会性」を意識してコミュニケーションするようにしました。
例えば、上の左図の開発試験。試験自体は派手ではないのですが、新しいロケットに関する「初めての」説明会を盛り込み、開発や事業の全体感を伝えました(2022年4月)。
中央の図のプレス向けツアーでは、発射場の着工に合わせ、拠点を置く北海道大樹町の町長取材などもパッケージし、人口増など「地方創生」文脈での露出を獲得(2022年9月)。
右の図の試験は、新たに開設した福島支社で「初めて」ということ、「震災復興」や日本の新たな「ものづくり」に貢献できることを強調しました(2022年11月)。
総仕上げとしての事業戦略発表会
そして、2023年1月には東京都内で初めての事業戦略発表会を実施。広さの関係で100名しか会場にお招きできなかったのですが、ゲスト約70名、メディア約50名(オンライン含む)に参加いただき、ISTが今、最も伝えたかった「国内への自立的な宇宙輸送の必要性」を知っていただく貴重な機会となりました。
実はこのイベントに合わせて、ウェブサイトのフルリニューアル、新しいプロモーション動画の公開、ZEROのさらに次の大型ロケット構想の発表を盛り込んだこともあり、最後はちょっと(いやかなり)カオスな状況になりました。ただ、やり切ったことでチーム全体の底上げにつながったかなと思います。
この1年で実感したこと
この1年で実感したのは、
今よりももっと少ない人数の中でも、ISTがたくさんのステークホルダーと関係性を築いてきたこと、そして自分はその土台の上にいさせてもらっているということ(どの判断においても、この年月の重みを理解した上で行わないといけないと心底感じました)
なんだかんだ、個人としても会社としても、成長にはトライ&エラーの数が不可欠
ただし、むやみやたらなトライではなく、なぜやるのか、本当にやるべきなのか、目的と必要性を考え続けることが超大事(会社としての優先度がその時々で変わるベンチャーでは特に)
新しい年度がスタート!
ISTでは3月から新しい年度がスタートしました。振り返ってみると、1年前に課題に思っていたことや考えていたことと今の状況がまったく異なっているという、このスピード感に改めて驚かされますし、ワクワクします。
私が入社した2年弱前にはメンバー60人だったISTも、今では130人にまで増えました。実は昨年秋にはPR・マーケチームにも若いメンバーが入りました。2023年度は個人だけではなく、チームとしての成長もテーマの一つになりそうです。
すっかり長文になってしまいました。ここまでお付き合いいただいた方、ありがとうございます!
ISTでは一緒に働くメンバーを随時募集しています!
ご興味ある方はぜひこちらから。
https://ist-recruit.com/
ビジネス部門も募集中です!
経営企画
https://herp.careers/v1/istellartech/kdD5Jc2Y0Pbq
企画広報
https://herp.careers/v1/istellartech/8uvJ1RsJ-I2y
広報事務(アルバイト)
https://herp.careers/v1/istellartech/ee5UPf0WfgO6
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?