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タイの校則はブラック通り越して漆黒の闇

細眉にミニスカート&ルーズソックスが定番だった私の学生時代。「ブラック校則」なんて言葉は当時まだなかったが、校則は疎ましいものでしかなかったし、理不尽だなと思ったことも何度もある。真冬のクソ寒いのにマフラー禁止ってのが一番辛かったなぁ。

さてタイの校則はどうかというと、こちらもなかなか厳しい。 特に頭髪に関する規則はかわいそうなぐらい厳しい。

まず、女子生徒はショートカット禁止!もしショートカットにした場合、髪が伸びるまでウィッグをかぶらなければならない。(解せぬ)

とはいえ、長すぎてもNG。数年前までは、ハサミを持った先生が校門で待ち構えて、髪が長すぎる学生を捕まえてバッサリと切っていた。(怖すぎ)これが近年問題となり、さすがに今は校門の前で切ることはなくなったが、それでも長すぎる髪がダメなことに変わりはない。(解せぬ)

前髪を作るのも禁止。レイヤーを入れるのもダメ。ただ、前髪に関しては校門前のチェックポイントを過ぎればそこまで厳しく言われない。なので学生たちは、校門の前で前髪を急いでピンで留め、チェックポイントを無事通過するとすぐにピンをとる。

髪が肩よりも長ければ、目立たない色のゴムを使って1つにくくり、結び目に青いリボンをしなければならない。三つ編みや編み込みも禁止。髪を染めるなんてもってのほか。

髪型の他にも、制服や持ち物の色指定など様々な校則がある。以上は私の勤務校の校則だが、恐らく他の公立学校も似たようなものだと思う。

LGBTQには寛容な国なのに、なんでこんなに学生の頭髪には厳しいのだろう?染髪はダメでも、せめてショートカットぐらいは認めてあげたっていいのに!

なので学生たちは長期休みに入ると、すぐに髪を染めてはっちゃける。茶色じゃ飽き足らず、みどりやオレンジやブルーに染め、キメ顔のセルフィーをLINEのアイコンにする。

私が副担任をしている、日本語クラスのある学生。コロナの休校期間中にショートカットにしたらしく、学校が始まるとウィッグをかぶって登校しだした。

ウィッグの下の髪がピンク色なことに薄々気がついてはいたけれど、ウィッグで見えないなら別に染めててもよくない?と思っていた(正直今でも思っている)。なので、他の先生には黙っていた。

が、先週ついに他のタイ人の先生にもばれてしまった。「髪も短いし、染めてるから、2つの校則違反です!これは生徒指導室呼び出し案件です!」とブチ切れている。これはまずいと思い、クラスの後で本人にピンクの髪はダメだよと軽く注意はしたものの、時すでに遅し。

結局、その日の放課後生徒指導室に呼び出しをくらい、親にも連絡が行き、翌日真っ黒に染めてウィッグもせず地毛で登校してきた。ショートカットはだいぶ伸びていて、もうウィッグなしでも大丈夫らしい。

決まりとはいえ、なんだかちょっとかわいそうだなと思った。

そういえば、タイの教育省からお達しがあり、男子生徒の髪は本年度から少し伸ばしてもよくなった。昔は丸ボウズかスポーツ刈りだったので、これはかなり大きい一歩。私の学校は女子校なので関係ないが、町で見かける男子高校生のツーブロック率が高くなり、垢抜けた気がする。やっぱり髪型って大事!あとはのび太くんみたいなハーフパンツの制服さえどうにかすれば、一気におしゃれになるのにな笑

女子の髪型規定も、早く見直されればいいなぁと思う。

《余談》
メキシコでは生まれ持った髪の色がみんな違うので、(私が勤めていた学校では)髪に関する校則はなかった。髪を染めている子や、ドレッドに編んでいる子、パーマをかけたり、エクステをつけている子もいた。

それでも唯一口うるさく言っていた校則は、「校内で恋人とキスをしてはいけない」というもの。ほっぺをくっつけ合うのが挨拶の彼らにとって、大好きな恋人とのスキンシップはそれだけじゃ満足できないらしい。朝っぱらからところ構わずチュッチュチュッチュやっているもんだから、我々教師陣は「はい、おわり!!」と間に割って入るのがお決まりパターンだった。邪魔された学生からすごい目つきで睨まれたことも、今じゃ笑える思い出笑



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