マガジンのカバー画像

観光客として住む、歩く、そして書く。

14
短いエッセイをまとめています。姫路に住んでまだ一年弱。結婚してまだ一ヶ月。あらゆることが新しく見えるさとくらのエッセイです。
運営しているクリエイター

記事一覧

勘違いも、恥も大人になると悪くないと思える日。

 子供の頃、僕は運動ができると勘違いしていた。  この勘違いの発端は自転車だった。今とな…

さとくら
2日前
10

執筆には役に立たない「社会性」と「才能」のバランスについて。

 二十歳そこそこの頃の僕は小説を書く才能もなければ、社会性もなかった。  僕が見てきた小…

さとくら
9日前
30

どこにも行きたくない僕の新婚旅行の悩み。

 新婚旅行はどうするの?  と入籍してから聞かれる。個人的にはあまり興味がない。あくまで…

さとくら
13日前
14

結婚は「こわれた茶碗」だと言うけれど、良いもの。

 結婚が「こわれた茶碗」だと丸谷才一が書いたのは一九七二年に発表した「たった一人の反乱」…

さとくら
2週間前
12

しがみついた子泣きじじいも亀のように首を伸ばすとは思わなかった。

 肩に違和感がある。  けれど、痛くて眠れないわけじゃない。朝、起きた瞬間少し痛む程度だ…

さとくら
2週間前
10

不機嫌が通貨になった世界で考えること。

 内田樹が「下流思考」の中で家庭内の通貨は「不機嫌」だと書いている。  いかに自分は会社…

さとくら
3週間前
11

正解のない自己紹介の流儀と葛藤。

 三十三年間生きて思うことに自己紹介を上手になりたい、がある。  思い返す限り上手に自己紹介できたなと手応えを得たことはなく、いつも不完全燃焼というか、もっとできたのではないか? という気持ちになってしまう。  そんな僕だけれど、一つ自己紹介において決めていることがある。 「じゃあ、自己紹介しましょう。誰からします?」  というシーンにぶつかった時、僕はなるべく「自分から良いですか」と手を上げるようにしている。  とはいえ、どんな場面でも自分からするわけではない。幾つかの

泣き言と共に二度寝する六月の土曜日。

 テレビで夏は長袖で寝た方が汗が逃げないので体を冷やしすぎないので良いと言う話を見た。今…

さとくら
1か月前
11

執筆には役に立たない「書くこと」と「読むこと」の関係性について。

 本を読んでいるか?  と問われれば自己認識では読んでいないと答える。ただ、読むことは大…

さとくら
1か月前
63

雨だったり曇りだったり、時々晴れだったり。

 二〇二四年五月二六日に台風一号が発生した。その影響もあって五月の終わりは雨が多かった。…

さとくら
1か月前
11

僕を守ってくれるものは分からないまま、日常は肩の痛みと共に続く。

 肩が痛い。  少し泣きたくなるくらい痛い。  昔から意味がないと言われながら、休日に寝…

さとくら
1か月前
17

習慣が歩いてきた道の軌跡を証明してくれると信じて。

 実家の前が農家だった。  その農家の息子さんが僕より四つ年上で、同じ登校班ということも…

さとくら
1か月前
20

どこにもたどり着かない泣き言。

 エッセイを書いていると小説が書けない。そう思っていた時期があったし、今もちょっと思って…

さとくら
1か月前
18

観光客として住む、歩く、そして書く。

 安田謙一の「神戸、書いてどうなのか」というエッセイを読んでいる。一つ一つのエッセイが短く見開き一ベージで終わる。この短さが気軽な感じで良い。  章は五つに分かれており、一章目が「食べたり呑んだり、神戸」で次が「ぶらぶら歩く、神戸」となっている。  僕は姫路に住んでいて、神戸にはたまに行く。友達とご飯とか、休日に妻と遊びに行くとか、そういう時に神戸に赴く。ちょっと特別な日に行く街。  そんな印象がある。  考えてみれば、初めて妻とデートをしたのも神戸だったし、妻の両親と初め