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泣き言と共に二度寝する六月の土曜日。

 テレビで夏は長袖で寝た方が汗が逃げないので体を冷やしすぎないので良いと言う話を見た。今まで半袖半ズボンで寝ていた。

 夏はいつもゆるく体調が悪かったのは、寝る時の格好だったのかも知れないと思って、ここ数日は長袖で寝ている。少し前に風邪をひいたこともあって、汗をかいた方が体の悪いものが出ていく感覚が残っていたのもあるだろう。
 起きた瞬間、汗ばむ体に不快感よりも爽快感がある。テレビで言われた通り、体が冷えすぎていない。かと言って、暑すぎるというわけでもない。
 程よく汗をかいて喉が乾く感じ。軽い運動の後に似ている。

 僕は年中、仕事に行く日の朝はシャワーを浴びる。疲れていたり、寝たりない時はシャワーを浴びながら、内なる僕がずーっと泣き言をいってる。朝、もっと眠りたいし、仕事に行きたくないし、家で本読んだり映画見たり、小説書きたい……。
 思いつくままの泣き言がシャワーから出るぬるい湯と共に流れていく。

 シャワーを止める時、あらかたの泣き言は流れて気持ちは前向きになっている。
 妻にこの話をすると「その泣き言、たまに声になっているよ」とのことだった。
「朝のシャワーは内なる自分との対話やからね」
 我ながら意味の分からない返しである。

 妻も災難だろう。お風呂から朝か夜か、あるいは両方から夫の泣き言が聞こえてくるのだから。
 完全に無意識だったので改めたい所存である。
 朝はいつも妻がテレビを点けている。夜は基本的にテレビを点けない人が朝のニュース番組は見るのか、と同棲当初は意外だった。

 今はシャワーから上がるとリビングの方から微かにテレビの音が聞こえると妻が起きているんだと分かる。夏のお風呂後は汗をかくので、外出用の服を着ずに半袖短パンに着替えて、リビングに行く。
 朝ご飯の準備をして、妻と食卓につく。冬はホットコーヒー。夏はアイスコーヒーを飲む。アイスコーヒーは妻が友達から結婚祝いでもらってきたコーヒーメーカーで淹れる。妻は牛乳を入れて、僕は入れない。

 朝のニュースを見ながら朝ご飯を食べる。眠気が残る頭を使って、ニュースから流れてくる内容をネタに妻と少し会話を交わす。
 外出用の服に着替え、髪をセットし、歯を磨く。この時点で泣き言はどこかに行ってしまう。労働意欲がみなぎると言うことはないけれど、電車の行きの中で文章を書くぞと言う気持ちは浮かぶ。

 心身ともに健康で規則正しい生活ができていると思う。そのおかげで文章も書けている。有り難い。
 問題があるとすれば、飲みに行った日や土日はこの泣き言に飲み込まれたり、怠惰の限りを尽くしはじめることだ。
 妻にその話をしたら
「土曜日の朝は起こしてあげよっか?」
 と言う。

 妻は土曜日の朝は仕事なのだ。
「あ、大丈夫です」
 断ってしまった。泣き言や怠惰と付き合うのも僕は少しは良いかと思っているのかも知れない。
 ダメな子ほど愛おしいみたいなやつだ。

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