Auntieとアゲハ蝶に見守られて〜僕の癌闘病記
こんにちは。
僕の名前はCoco。
ママのnoteを見てくれているみんなは知ってると思うけど、初めましての方へ。
僕はマルプーの男の子で
2011年の3月11日に産まれました。
4人兄弟のお兄ちゃんで、1番大きかったみたい。なのに「ココ」って可愛らしい名前をつけられてしまった。弟は小さいのに「タンク」
タンクローリーらしいけど、僕の半分の大きさしかないから良くからかわれるみたい。
でも、名前なんてどうでもいいよね、元気に育てばそれで良いから。
ところが、だ。
僕は病気になってしまった。
その日は耳のインフェクションで病院に行ったんだ。以前、血便が出たことがあって「悪化したら教えてね」と言われていて、それまで調子良かったのに、たまたま予約した日に2回目の血便がでたの。それを報告して見せたら、先生の顔色が変わって「ちょっと連れて行くね」と、即検査になった。僕は去年、肛門腺の手術をしているからそのせいなのかなと思ってたんだけどな。
しばらくして検査から戻って来た僕を抱っこして先生の話を聞きながら、ママが泣き始めた。先生も「I’m so sorry…He really love you…」って涙目になってるし、多分とっても重い病気みたい。
その病院には小さなエコーしかないけれど、それで見ただけでも腫瘍が2個以上あるからもう先生の中では手の尽くしようがないって…
血管肉腫と言う病気で、普通は症状も無いのに突然、腫瘍が破裂して急性の出血で分かることが多いんだって。
原因としては
血管の内壁を覆う細胞である「血管内皮細胞」が腫瘍化することによって起こります。皮膚および皮下に生じる血管肉腫は、太陽光線や放射線への暴露、外傷や鬱血などが原因になるといわれています。
もしかしてサンルームで毎日、日向ぼっこしてたから？何年も前に大きな犬に襲われて怪我したから？ママの頭の中でこれらのことがグルグル回ってた。
「ちょうど専門医が水曜日に来るから、予約して出血してる場所を確かめてみる？脾臓からでは無いと思うから。」と言われてママは「Yes」と答えていた。
待合室でもママは僕を抱っこして号泣していて、座っている人もそれが何を意味するのか分かっているから悲しそうな目で僕たちを見てた。
赤ちゃんの頃から通った病院だから、受付のお姉さんも涙目になってくれていて、僕のことを気にしてくれている。
超音波検査の日は、カナダからの山火事で空は灰色の不思議な天気だった。
夜の9時から何も口にしてはいけなかったから「お腹すいたな、喉渇いたな」と思って起きたら、
朝の8時から病院だ。
エコーってローションを付けてグルグルするだけじゃなかったっけ？それがなんと4時間もかかってしまった。2時過ぎに帰れることになって、看護師さんが僕をケイジから出そうとするけど「嫌だ！」って吠えたら、処置室までママが迎えに来てくれた。
「僕、お腹が空いたよ。」
検査結果は、最初に見えていた脾臓や、腎臓の腫瘍以外にも大腸に3㎝の大きなものが見つかって出血はそこからだと分かった。
「これを取るには大手術になりますよ。しかも、来年にはまた別の手術をしなくちゃならない。」とスペシャリストの先生。
僕は生まれつき心臓が悪いから大きな手術には耐えられるのかも分からない。前回の手術でもEKGで心臓を確認してからだったから…。
そして、大腸の腫瘍を取っても転移は広がる可能性があるらしいことがわかった。
ママの心はボロボロ…絶望のドン底だ…
でも僕は何も分からないし、とにかく今とっても元気なんだ。お腹も空くし、散歩にも行きたい！
血便が出なかったら病気だとはわからなかったくらいなの。
先生と相談した結果、手術はせずに僕が最後まで痛みなくHappyに過ごせるように、お薬をいただいた。
この薬で少しは腫瘍が小さくなるかも知れないって。取り敢えずの目標は、出血を抑えること。
今飲んでる心臓の薬を入れると6種類だ。ママはいろいろ調べては先生に電話するからうるさがられてるかも。
Blood Support for Dogs
Benazepril / Pimobendan / Spironolactone 20㎎
Prednisone(プレドニゾン)
Metronidazole(メトロニダゾール )
Yunnan Baiyao(雲南白藥).
翌日。
散歩のついでに心配しているワンコ仲間に報告しようと歩いてると、急にママが泣き崩れてしまった。
そしたら、僕たちの目の前を大きなアゲハ蝶がヒラヒラと通り過ぎて空へ消えて行ったの。アメリカに来てからアゲハ蝶を見たことがないママは
「もしかしてヒロ？」ってずっと眺めてた。
ヒロは2月に亡くなったママのお姉さんで、僕のauntieのことだ。
この不思議な出来事の数日後。
僕は散歩に行きたくて外に出た。
でも、何故だかしっぽが下がってしまってたから「行きたくないの？調子悪い？」って、ママはしばらく家の前で立ち止まってた。
すると、
あのアゲハ蝶が現れて、僕とママの体の回りをクルクルと２周した。
ヒロだと確信していたママは、触れそうなくらいすれすれに飛んでる蝶に話しかけながら一緒にゆっくりと回転してた。
知らない人が見ていたら、ちょっとおかしな光景だ、笑。
でも、auntieは僕たちの事を心配してくれてる。それは心がくすぐったくなる様な言葉に出来ない不思議な力で僕たちを包んでくれた。
僕の余命は2、3ヶ月。
そして告知からは1ヶ月が経った。
いつ何が起こってもおかしくない。
先生は「9ヶ月生きられる子もいますよ。」と言っていたけど先のことは分からない。希望を持つことは大切だけど、その後の心の痛みを知っているママは大きな期待はしないって。
それは決して諦めた訳じゃなく、今日も生きられている事、今一緒に居られる事のありがたさを知ってるからなんだ。
ママはこの動画を見て、自分が生まれてきたのは、Hiroや僕と出会う為だったのかもって思ってるらしい。
辛いことも多いけど、それには理由があるって。
限りがある事って生きて行くのには大切なことらしいよ。
今のママは、一つ一つのこと全てに涙を流してて、僕が静かだと心配するからたまに大声を出すと
「吠えた吠えた！良かった！」
朝ご飯が食べられないだけで「もうダメなのかも…」と涙目になり、
夕食を完食すると
「ご飯を全部食べた！大丈夫だ！」
って、また元気になったりの繰り返し。
僕はケロっとした表情でママの顔をじっと見てる。そしたら、くしゃくしゃの顔で泣き笑いになるの。
短期間でしわも白髪も増えたね。
そんな僕も恥ずかしながらママっ子だから、日本に行ってる間は泣きながらドアの前から離れなかった。
忠犬ハチ公みたいに…。
突然の報告だったけど、僕は最後まで頑張るから。
みんな、どうか見守っていて下さい。
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