見出し画像

【コメント】巣内尚子さん/聡子の部屋 第6回「外国人をとりまく状況ー新型コロナウィルス対策以前と以後」

2020年6月24日(水)に開催された「聡子の部屋」第6回のゲスト巣内尚子さんに感想コメントをいただきましたのでご紹介します!

巣内さんの感想コメント

「聡子の部屋」に呼んでいただき、本当にありがとうございます! 対談相手として選んでいただき、とても嬉しく思います。

 聡子さんとの対談では、「フェミニズムの運動における移住女性視点は」や、「移民研究にジェンダーの視点を取り入れること」など、そんなことを考えつつ、お話ししました。

 転職の自由がない技能実習生の女性たちは、今回の新型コロナウイルスの流行拡大とそれに伴う自粛による景気悪化で打撃を受けています。「仕事が減った」「収入が減った」「帰国できない」といった課題に直面している技能実習生がいます。その中で、ジェンダーの視点を導入して、コロナと技能実習生の女性たちに関して考える必要があります。

 例えば、妊娠、出産に関する自身の権利を知らされないままに来日した技能実習生の中に、この期間に「妊娠したものの、コロナによる移動制限で帰国できない」と困り果てている女性たちがいます。女性たちは、以前からの技能実習生を取り巻く課題(技能実習生の妊娠・出産が想定されていない、移住労働のためにできた債務があり返済しなければならないことなど)と、コロナによる課題(移動制限、帰国困難など)をそれぞれ抱え、問題が重層化、複雑化しています。

 一方、妊娠した女性たちが帰国を望みながらも、帰国できないことは一つの問題であることは確かですが、女性たちが日本で産み育てることができない状態があること、そして日本で産み育てるという発想を持てない状況も見る必要があります。避妊に関して主体的な選択ができていたのかも考える必要があるでしょう。

 「産む産まないは女が決める」という言葉を打ち出し、女性たちが勝ち取ってきたリプロダクティブ・ヘルス/ライツは、技能実習生の女性たちには守られていません。女性であること、外国籍者であること、諸権利の制限された移住労働者であること。女性たちはジェンダー、国籍、社会階層、そして制度的な制限の中でより複雑で困難な問題にさらされています。
聡子さんとの対談では、ジェンダー、フェミニズムについてたくさん意識ができ、上記のようなことをずっと考えていました。またぜひ機会があればお話しできたら嬉しく思います!

階段 - 1

巣内尚子(ジャーナリスト)
ジャーナリスト。インドネシア、フィリピン、ベトナム、日本で記者やフリーライターとして活動。2015年3月~2016年2月、ベトナム社会科学院・家族ジェンダー研究所に客員研究員として滞在し、ベトナムからの国境を超える移住労働を調査。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。ケベック州のラバル大学博士課程に在籍。現在は帰国し日本在住。著書に『奴隷労働―ベトナム人技能実習生の実態』(花伝社、2019年)。


参加者の感想

本では読めないようなエピソードを聴けたのがとてもよかった。
パワポなしの語りということで、集中してお話が聞けて楽しかったです。
今日もとても興味深いお話でした。
巣内さんの技能実習生のお話よかったです。どのように制度を変えて行けるかのお話もあるといいと思いました。
今回初めて参加させていただき、「対談形式」であることをきちんと理解していなかったため、巣内さんのお話を中心にベトナムの移住労働の背景や実態、コロナの前後等についてさらに詳しく掘り下げてお話を聞けると思っていました。期待とは少し違いましたが、お二人のトークは興味深く拝聴いたしました。特に性暴力被害に対する対応の問題やコロナにより平常時の問題がより深刻化していること、1-2か月後の様子も見ていく必要があることなど印象に残りました。『奴隷労働』もこれから読ませていただきます。素敵な本屋さんのようなので、実際に足を運んでお話を伺えればよりご質問もできてよかったなとも思いました。開催ありがとうございました。
カジュアルな感じがとてもよかったです!
印象に残ったことが2点あります。一つ目はベトナムに駐在する日本人ビジネスマンが現地人、特に女性に対する蔑視です。二つ目はベトナム人の研修生を受け入れている日本企業の経営者がベトナム人女性の寮にきて女性に性的行為を強制している事です。
日本に来ている実習生の様子は知っていたけれど、自国の日本語学校の様子や、来日するための資金調達について疑問があったので、具体的にわかったことがよかった。日本の植民地主義の根深さに絶望的になった。
外国人労働者の置かれている状況を知る機会が少ないので、貴重なお話が聞けて良かった。というか、酷い実態が知らされるようになって欲しいです。同じ過酷な状況プラス、女性は性的被害にあうことに、ただただ怒りがこみ上げます。どの立場でも女性はこの問題にぶち当たる。ホントに酷すぎます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?