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昭和歌謡ルネッサンス

雑誌の"BRUTUS”
あい変わらず良い仕事してるなあ。

#全世代に捧げる 歌謡曲特集 

昭和歌謡曲のBRUTUS流の総力特集

特集には
#中森明菜を探して
#私のレジェンド
#歌謡曲は未来の音楽
#歌謡作曲家としてのユーミン
#昭和歌謡の作り手たち
#みんなの令和歌謡 などなど。

中森明菜の特集記事もいい感じですが、中でもとっても気になったのは
”#歌謡曲は未来の音楽”
DJの小西康陽氏がインタビューで昭和な歌を新鮮なmusicとして「発掘」している様が熱く語られています。

新しいものはすぐ古くなる。
古いものは新しいものとして甦ってくる。
そんなことを感じつつ、、、

そういえば、日本の歌の世界で古いものを新しくする手法があったなとふと思い出しました。

それは、「和歌」の世界での「本歌取り」。

「本歌取り」は古い和歌の2~3句迄を取り自分の新しい歌として作り上げるもの。中世(鎌倉・室町時代)に成立した「新古今和歌集」で特徴的な手法として確立されたとのこと。

例えば万葉集(八世紀後半?)の歌を「本歌取り」の手法で新しい和歌として作られ、新古今和歌集(1205年編纂)に収まる。。その時間差約400年。 

今なら著作権とか剽窃とかパクリとかややこしい感じになるかもしれません。実際、その当時もいろいろ議論があったようですが、藤原定家らが、ある程度の「ガイドライン」を策定して落ち着いたようです。

しかし、そこには歌人の古い歌へのリスペクトがあり、一方、本歌取りの歌も、また本歌取りされた古い歌も評価されると言う文化の循環のようなものが起きていたのかも。

また、14世紀にヨーロッパで起こった「ルネッサンス」。
「再生」や「復興」を意味し、古典古代(ギリシャ、ローマ)の文化復興運動だったかと。こちらは、1000年以上の時を超えて再生しようとしていたと言えます。

今風にいえばCirculer EconomyならぬCirculer Cultuer的なもの?

しかし、再生といっても、そのまま復活するのではなく、古いものが形を変えて新しいバージョンとして再生されて行く。それは単なる円環運動ではなく螺旋階段的運動とでも言うべきもの。

その構造と方向感を、田坂広志氏は「使える弁証法」でわかりやすく書いています。

「物事が発展するとき、それは、直線的に発展するものではない。螺旋的に発展する。…すなわち、「進歩・発展」と「復活・復古」が当時に起こる。

(同書p21、p23)

「螺旋的発展」とは「螺旋階段」を登るような発展です。
すなわち、上から見ていると、ぐるっと回って、もとの所に戻って来るように見えますが、横から見ていると、必ず、一段登っている。
必ず、何かが、進歩・発展している。

(同書p32)

例えば、「eラーニング」。これは昔の「寺子屋」が行っていた個別学習、自律学習が、IT化によって螺旋的発展を遂げたものと田坂氏は分析しています。(同書p41)

そして、『寺子屋のような「懐かしいもの」が「復活」しつつある』とも。

それは、ただ「懐かしいもの」ではない。それは「便利になった懐かしいもの」なのです。

(同書p49)

こうしてみると、オリジナルなものから新しいオリジナルが生まれるのも歌謡曲でも起こってくるのかなと思いました。

一方、最近の歌はTikTokや音楽配信サービスの広がりで試聴時間が短くなる傾向の影響等により、イントロが短く(或は無く)、いきなりサビから入る曲がヒットしているという分析もあるようです。

音楽系のブロガーであるポール・ラメールがSpotifyのデータをもとに分析したところ、最初の5秒で24.14%、30秒では35.05%の曲がスキップされ、最後まで再生されるのは51.4%に過ぎないという。

(「インターネット白書2020」第1部ビジネス動向/1-1メディア/音楽配信サービスの動向;p32)
https://iwparchives.jp/files/pdf/iwp2020/iwp2020-ch01-01-p030.pdf

大量の情報と多様な選択肢。限られた時間の中で効果的・効率的に目指す「目的」の実現には、「いきなり」本題に入ることが重要になってきたということかも。

そういえば何度か行った「いきなりステーキ」。これもコース料理の中の一皿を楽しむのではなく、「ステーキ」という目的実現のため、すぐ食べられる「いきなり」を楽しむスタイル。それもありかと。

プロセスか、結論かと二元論的な議論にはならないようにと思いつつ。。

令和musicシーンはどんな発展をとげるのだろうか。

そんなことをつらつら思う春分の日です。

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