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創作_文

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創作物入れです
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記事一覧

夜のくちづけ

夜は優しく包んでくれる

おいでずっと眠らせてあげる
怖いことから守ってあげる

夜はわたしを許してくれる

いいんだよ
そのままで
眠りなさい
深く深く

夜はわたしを癒してくれる

静謐の中で
休みなさい
眠りなさい
深く深く

夜のくちづけは甘く
世界の境界を溶かす

何でもない世界
誰でもない世界
そこはとても
優しい世界

夜はわたしを抱いてくれる

夜に抱かれて眠りなさい
闇に抱かれて

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私はあなたのために生まれた人形ではなく
命をもって生まれた生き物なのです

あなたは私が何にどれだけ苦しんでいるのかどうでもいいのですね
それでも私を愛していると言うのですね
あなたは愛を知らないのですね

優しい棺

ここは優しい棺。

ゆっくりと、少しずつ

体が動かなくなって

息ができなくなって

何も見えなくなって

何も聞こえなくなって

何も感じなくなって

心臓がうごかなくなる。

ここは優しい棺。

死にたくないと暴れなければ、

優しい死が待っている。

静かな死が待っている。

ここは優しい棺。

私はただ、その星の定めに

従えばいい。

助かる方法など、

どこにもないのだから。
#創

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ああ、愛しい君よ。どうか君に触れることを許しておくれ。
その耳に頬に唇に、愛の口づけを送ることを許しておくれ。
君の横に寝転んで、体と心を預けることを許しておくれ。
愛しい君よ。
どうか、どうか。
#猫へのラブレター

消えない

消えない炎

私の身を焼く

恨みの炎

それは自分の内側からの炎

知ってる

手放すしか逃れる方法はない

知ってる

知ってるの

知ってるの

燃え尽きて灰になることも

知ってるの

涙で全部流れてしまえばいいのに

涙の後には血の涙

血の涙は炎となって

私の身ごと焼き尽くす

誰のためにもならない

知ってるの

知ってるの

涙の海に溺れるの

炎の海に焼かれるの

だから燃え尽

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夜の闇

昼の光は強すぎて

今のわたしを突き刺す

わたしは眠りに潜り込んで

じっと痛みが過ぎるのを待つ

夜になって目が覚める

人々が寝静まった頃

わたしの時間

ようやく息ができるようになって

誰もいない街を歩くと

苦しくなくて痛くなくて

嬉しくなる

踊ろ 踊ろ

月明かり

わたしを優しく

包んでくれる

夜の闇

夜の街

すべての境界が曖昧になって

そこにあるのは

わたしと地

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ひとをたべる

人を食べることなんて
毎日行われている

人の心を食べて
食べられた人は死んでいく

毎日死んでいく

飢えれば人は人を食べる
人の心を食べて生きる

食べカスはぽい

そうして
心を食べられた人の山と

死体の山が

「またこんなもの書いて」

「あ」

紙を取り上げられた。

「こんなことばかり考えてるからおかしくなるのよ」

「だって、私には、そう見える」

はあー、と、嫌そうなため息。

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うさぎ座

わたしはうそをつくのがにがてだ

だからわたしはヒトにはなれない

だからわたしはうさぎになって

のやまをかけまわり

ちきゅうをかんじ

いきるの

そしてそのままかぜになって

じゆうにどこまでもとんでいって

さいごはうちゅうのほしになって

うさぎ座になるの

うちゅうからみるちきゅうは

うちゅうからみるうちゅうは

きっときれいだろうな
#創作 #詩

火は温かいけれど
触れると火傷する
距離を間違えると
火傷する

扇風機

扇風機にほっとする

頬を髪を撫でる風

触れられていることにほっとする

今はたいして暑くはないけれど

スイッチを切ったらきっと寝苦しい

触れていて そっと

触れていて ずっと

こどもが眠るまで髪を撫でてくれる

おかあさんのように

触れていて そっと

触れていて ずっと

わたしが眠るまで

ずっと そばに
#創作 #詩

ごはんがあっても
こころがからっぽだと
うごかない

にんげんって
ふべんだなあ
#詩 #よしロボになろう

「ぼくが生きてても死んでても変わらないんだ」
「じゃあ生きてればいいじゃん」
#創作 #短文

恋なんてきらい

だめだよ

忘れられないよ

だから恋なんて嫌いなんだよ

何をしてても思い出す

あの人に会いたい

でもそんな願いは

叶うはずもなく

苦いコーヒーを入れて

一気に飲み干す

「まずい」

この苦くなった恋心も

さっさと離れてくれればいいのに

一向にその気配はなく

うざったい

心なんてなくなればいいと

あたしは端的に考えて

体の痺れという無言の反逆に悩まされる

「ごめんて」

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