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「売れない営業」が「売れる営業」に変わるためのマインドセット

2003年5月からインテリジェンス(現パーソルキャリア)の当時子会社であった株式会社オポチュニティで「OPPO」というアルバイト求人サイトの広告営業の仕事を始めました。

第16話:会社の看板で営業しない。本物の営業力を身に着ける
第17話:「飛び込み営業」の極意

売れない営業マン

ところが、配属研修1週間が終わって実際に営業を開始すると、これがさっぱり売れない。。。
何件も何件もアポイントを取って営業に行くのに、話しは聞いてくれるけどまったく買ってもらえず、1か月経っても1件も受注をもらうことができませんでした。
その間に同期は一人、また一人と初受注を出し始め、気づけば15人の新人の中で受注が貰えていないのは私含めて二人だけになっていました。

「なんで売れないんだ。。。」
「商品の説明はできている気はする」
「でもお客様からは『考えておくね』としか言ってもらえない」
「何がダメなんだ」

ひたすら自問自答を繰り返しました。

そんな自分を見かねたチームリーダーが私に声をかけてくれました。
そしてあるお客様について相談すると、リーダーから

「で、お客様の課題って何なの?」

と聞かれました。
「1か月以内に2人のアルバイトを採用したいそうです」と言うと、「それは募集人数の話しで、そうじゃなくてお客様は何に困っているの?」と突っ込まれました。私は「何に困っているか?アルバイトがいないことに困っているんじゃないのか?」と内心思いました。

リーダーはさらに

リ:つまり人が欲しいのに今人がいないんだよね?何で?
私:求人を出しても良い人が来ないからです
リ:どの求人媒体に出して、そこでは何名応募が来たの?
私:フロムエーに出したとは言ってましたが、何名応募が来たかは聞いてないです
リ:じゃあ、応募が来たとして何で採用できなかったの?
私:良い人がいなかったからだと思います
リ:じゃあ、採用基準は何?そこでアルバイトするのに一番大事な要素って何なの?
私:そこまでは聞いてないから、分からないです。。。
リ:それでどうやってうちの媒体提案するの?

ここまで質問されてようやくこれまでの私は「お客様先に行って、自分の商品の説明だけして、実はお客様の事を何も聞いていない」ことに気付きました。

そしてリーダーから

「俺たちは単にモノを売っているんじゃないんだよ。お客様の課題を解決してあげるために仕事をしてるの。そのためにはお客様が何に困っていて、それをどうしたら解決してあげることができるかを提案しないと、お客様もOPPO使うかフロムエーを使ったらいいか判断つかないよね?単に自分たちの商品の説明をしに行くだけなら俺たちじゃなくてもよくない?」

と言われました。

私はリーダーからこう言われるまで、自分の仕事は「求人広告を売ること」だと思っていました。しかし本当の私の仕事は「お客様の採用の課題を解決すること」だということに初めて気づきました。(実は研修でも言われていたのですが、まったく腹に落ちていませんでした)

ソリューション営業のすすめ

マーケティング用語で「プロダクトアウト」「マーケットイン」という言葉があります。簡単に説明すると

■プロダクトアウトとは、企業側(提供側)からの発想で売れる商品、サービスを開発しお客様に提供すること。

■マーケットインとは、お客様の要望やニーズを汲み取り、購買者側の立場に立って商品やサービスを提供すること。

となります。
ただ、深いところではお客様の希望に沿ったものでなければ買ってもらえないので、同じと言えば同じなのですが、今まで市場にないイノベーティブな商品、サービスだとお客様自身もそれを必要としているかどうかが判断付かないので、その場合はプロダクトアウトの商品と考えることができます。

そして、マーケットインの思考で営業することを「ソリューション営業」と言います。つまりお客様の課題に対して「ソリューション(解決策)」を提案する営業ということです。

このことに気付いてから私は、商品の説明は最小限にしてひたすら

「お客様の課題は何か?」
「本質的には何に困っているのか?」

を意識してお客様と話すようになりました。そしてお客様の課題が少しずつ分かるようになり、課題に対して自社の商品を使った提案をすることができるようになると、どんどん受注が貰えるようになりました。

会って1秒で親友になる

そしてこのころから私が自分の中で持つようになったマインドが

「会って1秒で親友になる」

でした。
例えば友達が困っているときに、相談に乗っている最中にリターンを期待しながら話す人はまずいないでしょう。また相手の悩みも大して聞かずに自分が言いたいことだけ言っていたら、おそらく友達から「こいつ自分大好きだな」と思われてしまうかもしれません。

つまり、

相手が悩んでいること、解決したいことをまず徹底的に聞くというマインドを持つことができるかどうかが売れる営業になる境目になります。

私がこれまで出会った優秀な営業は殆どの人がこのマインドを持っていました。(なかには天才的なトークや営業的な嗅覚が優れていて売れている人もいますが、それは一般の人には再現が難しいので、まずはこの王道のマインドを身に着けることをお勧めします)

必殺スキル「ファクトファインディング」

また相手の悩みやニーズを聞くときに、そもそも相手が言語化することが苦手で本当の課題がわからないという方もいます。そういう時に役立つのが「ファクトファインディング(Fact Finding)」という技術です。これにはいくつかやり方がありますが、私が得意としているのは相手に「仮説」を投げかけて、その仮説が自分に当てはまるかどうかを考えてもらうことで、そこから本当の「課題」を見つけていくという方法です。

この仮説を投げかけてみる技術は様々なところで応用が可能です。つまりは

起こりやすい課題のパターンを自分の中でいくつか持っておいて、その過去のケースを相手に投げかけることで、合っているところと違っているところを明らかにして、より細かく相手の状況を把握する

ということです。

こうして私はソリューション型の営業手法を身に着け、売れる営業マンへと変わっていきました。

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