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「良い転職」と「悪い転職」を決める脳の使い方

私はこれまで4回転職しています。その中には良い転職と悪い転職がありました。

1回目の転職は起業するためでした。

(参照)『最悪の経済状況』で起業した理由

会社や周囲の人たちにも「起業するから辞める」と説明しました。
当時は辞めることで頭の中がいっぱいだったので、自分でも「起業するために辞めるんだ」と思い込もうとしていた気がします。

しかも今考えると、当時「起業する」という理由以外にも会社を辞める理由をいくつも持っていました。

「会社の業績が落ちてきた」「上司から理不尽に怒られた」「会社の方向性が自分の考えと変わった」「パワハラがあった」など

しかし冷静に考えて、今まで自分が好きで勤めてきた会社が、いきなり全てにおいて悪い会社になるはずがありません。
自分を成長させてくれた会社だし、自分のことを信頼してくれている上司や先輩、仲間も大勢いました。それでも最後は「もう出来るだけ早く辞めたほうがいい」と思うようになってしまいました。

実はこの会社を辞める理由が次から次へと見つかるのは脳のある機能が原因です。

RASについて

この脳の機能をRAS(Reticular Activating System)、日本語では「網様体賦活系」と言います。網様体とは網目状の事、賦活とは「活性化させる」という意味です。つまり外部から入ってきた情報の中で、自分にとってより重要な情報を活性化するシステムということになります。

これがどう作用しているかというと、本来世の中には様々な情報があります。会社の中にも良い情報もあれば悪い情報もあります。ところがこのRASが作用すると、その時に自分にとって重要な情報だけがピックアップされ、それが意識に上がりやすくなります。(逆に言うと、重要度が低い情報は意識に上がりにくくなるということです)

自分にとっては起業するという大きな目的がありましたが、しかし冷静に自分が起業すべきタイミングかどうかは、色んな情報から総合的に判断すべきです。ところが、「起業したい。早く会社を辞めなければ」と考えた瞬間から私の頭の中でRASが働き、会社を辞めるための情報だけを拾い上げてしまい、辞めた方がいい理由だけがいくつも見えてきたのです。

結果的に私の起業は失敗に終わりました。
いま冷静に考えれば、リーマンショックの直後に資本金わずか数百万円で、しかもまだ販売するシステムもできていなければ、テストマーケティングすらしていない状況でスタートすれば、上手くいく可能性が限りなく小さいことは誰でも分かります。

これは私がリクルーティングアドバイザーとして、数多くの転職希望者の転職理由を聞いて、会社のネガティブな情報だけを退職理由に挙げて会社を辞めた人たちのうち、かなりの割合の人がその後の転職が上手くいっていない事でも同じ現象が起こっていることが分かります。

RASの上手な使い方

これを打破するためには、ポジティブなゴールや目標を設定する必要があります。
例えば「今までにない社会を変える新しいサービスを作り出す」と決めれば、RASがそれを叶えるための情報を拾い上げて達成の道筋が見えてきます。
すると、これまでは気付かなかった「今の会社でもできるのではないか」という発想が思い浮かんだり、また目標を達成するためには「どうしてもこの会社で働きたい」と思える会社が見えてくるかもしれません。
そういう自分のゴールや目標を叶えるために必要な情報がたくさん見えているときにする転職は成功する可能性も非常に高いです。

私もそのことに気付いてから選んだ会社では、仕事に満足感を感じることが多く、またポジティブな気持ちで仕事に臨んでいるので、高いパフォーマンスも出すことが出来ました。

RASの機能を上手に使うことが、自分の人生の成功のカギになります。

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