『最悪の経済状況』で起業した理由
私が社会人になって6年目の2008年9月。アメリカの投資銀行リーマンブラザーズが突然経営破綻しました。いわゆる「リーマンショック」が起こりました。
これを機に世界各国の株価は下落し、近年では最大の経済危機となりました。
私が働いていたインテリジェンス(現パーソルキャリア)もその影響をもろに受けました。私が担当していたお客様も業績が悪化。採用計画の大幅な見直しと採用活動のストップ。また当時話題となった「派遣切り」も重なり、総合人材サービス会社であったインテリジェスの業績は悪化の一途を辿りました。
社内でも様々なリストラ策が打たれ、当時4,500人いた社員は1年後には2,500人ほどになりました。また時を同じくしてインテリジェンスは創業者である宇野康秀氏が当時社長を務めていたUSENグループの傘下に入り、会社の状況は大きく変わっていました。
その後インテリジェンスはアメリカの大手投資ファンドKKRに売却され、さらに2013年にはテンプスタッフに売却され経営統合し、現在のPERSOLグループとなりました。
(ちなみにKKRは2010年にUSENからインテリジェンスの全株式を325億円で買い取り、2013年にテンプスタッフに680億円で売却しました。KKRはわずか3年で約350億円の利益を得たことになり、当時の世界中のディールの中で最も成功した事例と噂になったようです)
起業することを決めた本当の理由
この激しい変化の真っただ中で、私は突然インテリジェンスを辞め起業すること決めました。
資金が豊富な大手企業でも経営難になる時代、普通に考えたら無謀な決断でした。実際私が起業するために辞めると言うと、ほぼ100%の人に「止めたほうがいい」と言われました。
私も今がどれだけ厳しい経済環境であるかはわかっていましたが、自分にはどうしても起業しなければいけない理由があったのです。
私が最初に起業すると決意したのは、父親の自己破産がきっかけでした。父は私が子供のころにバブル崩壊をきっかけに、自ら経営に参画していた会社が潰れ、その時にできた借金が理由で自己破産に追い込まれました。
(参照)「何のために仕事をするのか?」を考えた日
その後私は大学時代に困窮を極め、またお金が無くなったことで家族が壊れていくのをただ見ていることしかできない自分を激しく恨み、自分はこれから社会に出たら
「どんな経済環境であったとしても自分と家族を守っていけるだけのお金を稼ぐ能力を身に着けたい」
と考え起業してお金を稼ぐことを決意しました。
この「どんな経済環境であったとしても」という部分が自分にとっては重要でした。
「父はバブルで失敗した。これから私が生きていく中で何度も経済危機は起こるだろう。そんな時でも自分と家族を守れる能力を身につけたい。そのためには今のこの(リーマンショックで)厳しい経済環境で起業し、事業を軌道に乗せることが出来れば、これ以上に自分のお金を稼ぐ能力を高めることができる機会はないのではないか」
と考えたのです。
また一方で起業するために集まった仲間やビジネスモデルにも自信がありました。
「こんなに優秀な人たちと一緒に起業したら、成功確率は高いに違いない」と、今思えば自分の不安な気持ちをこう考えることで正当化していたのだと思います。
こうして私は周囲の反対を押し切って起業しました。
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