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由布院・隈研吾建築の小さな美術館 COMICO ART MUSEMU YUFUIN

洗練された建築。
気鋭の現代アート。
眼前に臨む由布岳。

のんびりとした温泉街に誕生した,COMICO ART MUSEMU YUFUIN。
COMICOは韓国のNHNエンタテインメントの子会社が運営する漫画アプリの名前が冠されています。

早速こちら,エントランス。広ーく抜けています。

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外装の建材は黒く見えています。エントランスのロゴをみてみると良くわかるかも。こちら使われているのは焼きスギです。西日本で良くみられる建材。

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設計者の隈研吾さんの意図は,

湯布院は日本の『村』の象徴的な存在だと捉えている。そのエッセンスを凝縮した建物にしたかった。

おばあちゃんちのような安心した温もりを感じるような建築になっています。

ギャラリーの鑑賞はツアー制になっており,一回で入れる人数にも限りがあるため,事前の予約が必要です。所蔵されている作品は現代の巨匠ばかり。
村上隆さん,杉本博さん,奈良美智さん。

Gallery 1には村上隆さんのDOB君が描かれた絵が三つ並びます。村上隆さんは日本の芸術には批判的なポジションを取っており,早くから海外での活動に重点をおいてきました。

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「“ドラえもん” とか、セガの “ソニック・ザ・ヘッジホッグ” とか、当時日本のマンガやゲーム(のキャラクター)が、ようやく日本国以外でデビューしてきた時期とも重なり、戦略的ではなくて日本のアイコンというものがドメスティックなところから出てきている。これを自分なりに芸術にしようと思って、DOB君をデビューさせました」(村上隆『芸術闘争論』2010年)

Gallery 2には杉本博さんの海景シリーズ5作品が並んでいます。これらは海と空の境界を写した代表作。ずーっとみていられて思考が深まる作品です。杉本博さんによるとこれは自分の心象風景だと。写真を撮影した際の息遣いまでもが感じられる作品です。

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Gallery 1とGallery 2は隣接していますが,順路ではあえて一度外に出る。異なるアーティストの作品をみる間に空を眺め,外の空気を吸い,Gallery 1での作品を再解釈し,高揚を落ち着かせ,次の作品を観るための心の準備をする,Gallery 2に向けて。

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設計者の隈研吾さんは,回遊式の順路についてこう語ります。

「建物の中央に水盤を設けて、2つの展示室を直接に行き来することができないつくりです。あえて遠回りさせることで、美術館の外に広がる豊かな自然を様々な角度から感じられるようにしました」

最後には二階に上がると,奈良美智さんの彫刻と奥には由布岳。
これまでのギャラリー,ソト,ギャラリー2,という断続的な流れとは異なり,美術館と自然が一体になった空間が広がります。

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圧巻。

COMICO ART MUSEUM YUFUIN
https://camy.oita.jp/
大分県由布市湯布院町川上2995-1
9時30分~17時30分
隔週月曜日休館(施設整備などにより休館日を変更の場合あり)
入館料:1,500円。


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