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ワイン生産者の人生観に感動した。奈良木谷ワイン・木谷一登さん


応援したいと思う人。

はじめましてでお会いして,少し話した瞬間に衝撃を受けて,ものすごく応援したくなる人がいる。
奈良県産ワインの生産を行う木谷ワイン・木谷一登さんもそのうちのお一人。

以前私の記事で京都大学で開催された日本ブドウ・ワイン学会への参加ハイライトを綴りましたが,こちらにお声がけいただいたのも木谷さんからのご縁。

この講演のタイトルは
「ブドウからワインへ,単一品種のチオール生合成について」

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ある香りがどの成分に由来するもので,それらが化学反応によって消えてしまったり,再度現れたりする。久々の化学式にウッと詰まるものの,なんとかついていく。その時の私は,このようなアカデミックの最先端は実際にワイン作りに活かされているはずはない,と直感的に感じていた。私が大学院で研究を行っていた時に感じていたことだ。学生の論文が研究者に読まれることは稀だし,それが企業でアイデアとして採択されて活用されるというのは,絶望的なほどにありえないことだった。

終了後の懇親会で木谷さんや他の醸造家のみなさんに聞いて回る。「正直,こういう化学式なんか意識して作るものなんですかね?」

そしてみなさんの回答は率直な
「はい。」

化学式による説明を理解されていたし,さらにはチオール生合成はトレンドだという方もいる。

その瞬間の衝撃。

まさか普段飲んでいるワインをそこまで化学式にまで要素分解して飲んでいたはずがなく,そこまで考えられて作られたものをいただいていたんだと痛感する。そしてワインの世界の奥深さは1人の人生では間に合わないくらいに深すぎるものなんだと再びおもう。

翌日は奈良の木谷さんの畑で剪定作業のお手伝い。
「二芽のこして切っちゃってください,最後の調整は僕がしたいので,困ったところがあれば置いていていただければ..」

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枝の多さに圧倒されながらも一心不乱に目の前にある枝をルール通りに切り落としていく。切る箇所を迷ったので木谷さんに聞くと,「こういう風に枝が棚を通れば収穫がしやすいから,そこはもう切っちゃいましょう」とのこと。

枝は四方八方にのびながら先端のみしかみていなかった私。
大きな木,あるいは畑全体を俯瞰しながら剪定していた木谷さん。

そしてワインを人生をかけて作り始めようとしている。
その姿勢を木越しにみては人生観に刺激をもらい,応援したいと思った。

眺めのいい人。木谷ワイン・木谷一登さん。

友人の吟遊酒人・奥村くんも木谷ワインさんへの訪問記を綴っていますので是非。

ワインつぶやきはこちらにも


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