見出し画像

『宇宙よりも遠い場所』を見た感想

子供の寝かしつけ後は夫婦でアニメタイムの我が家。
今回は私がずっと気になっていた『宇宙よりも遠い場所』を見たので感想を書いてみます。
南極を目指す女の子4人。極地旅行に軸を置きつつ、それぞれの対人観を通して奥行きのあるエピソードも随所に盛り込まれていました。13話で「過不足なく」「全てを描き切った」名作だと思います。4人の旅も、南極の描写も素晴らしかったです。

こんなに完璧なストーリー量で終わったと感じた作品は初めてです。
現在私の心は南極ロス。なぜ私の人生はあの子たちと南極チャレンジしていなかったのでしょうか…。

よりもい

旅立ちまで

背景の館林市街にいちいち気を取られた、元館林市民です。(後述)

高校生くらいの頃って、「なにか凄いことをしたい」「けど浮いた存在になりたくない」
の2つが心の中にせめぎ合っていたなぁ、と昔を思い出してしまいました。
青春をしたいけど、きっかけがないキマリと、南極に振り切っている報瀬。
序盤は日向のバランス感覚に助けられるシーンが多く感じました。

結月の登場から南極行きの研修までは、思い返すと4人それぞれの『まだ描写される前の心のモヤモヤ、しこり』の気配がなんとなく描写され、ほんの一瞬の会話の間だったり、過去の心理描写だったりにハラハラしながら見ていました。
結月の説得で入ったファミレスでの『3人は出会ったばっかり』のシーンで、人間関係がテーマの一部である気配は少し感じられましたしね。

高校の長期欠席や観測隊の資金繰り、事前研修などもきちんと描写されており、高校世代の女の子が南極にいく、というメインストーリーに(意外と言っては失礼ですが)無理ないリアリティーがありました。

「絶交無効」

キマリの南極準備が進むなかで、対照的にメンタルゲージが心配だった めぐっちゃん(キマリがプレー中の初代プレステのコンセントを抜いてしまう描写がね…)。キマリの足を引っ張った自分をさらけ出して絶交宣言。これ出発の朝ですよ!?視聴者の心にも衝撃を叩き込むエピソードでした。
本作の人間関係に生じるトラブルって、ギリギリありそうで、実現したら重い物のオンパレード。それを4人それぞれが、時に仲間の力を借りて克服していく人間模様はとても良きものでした。本作は南極に絡めたヒューマンドラマと言ってもいいかもしれません。この部分には制作陣の決意というか、熱量が毎回思いっきり注がれていたと思います。

そして、4人の人間関係のエピソードには分かりやすい台詞が用意されていたように思います。
先の「絶交無効」に加え、「ざまあみろ!」「ね」「ざけんなよ」。
語りだしてしまうとトンデモない文量になりそうな個々の人間模様。その1つ1つを語るにはまだ私は未熟なので、是非見てください!と投げてしまおうと思います。
キマリとめぐっちゃんの話に触れて言うのも変ですが、前情報ないほうがより没入できます。

それぞれのエピソードに感想をひと言ずつだけ。
・「ざまあみろ!」
表のメインテーマ南極としては極めて順当な着地。けどこの言葉を発してから先が しらせ が南極を目指した理由であり、本作のテーマだと思う。
・「ね」
親友?あんな激しい船酔い生活を娘4人で体験したら、もう「同じ釜の飯」より濃い友情が形成されているだろう!?けど、ちょっとわかる。
・「ざけんなよ」
空気を読む、バランスを取るって生きるうえで避けて通れない事だと思う。けど、愚直に発する、本心をまっすぐ伝えることの大切さは絶対にあると再認識させてくれました。

少女たちは南極を目指した

報瀬が苛烈とも言える勢いで南極を目指していたのは、消息を立った母を追いかけてのこと。
キマリ、日向、結月もそれぞれ動機をもって南極に行きます。4人それぞれに人間模様があり、前述の通り大きいウェイトで描写されますが、報瀬に限っては母親への思いを消化するのがメインテーマでしょう。(そもそも南極行きを導くキャラクターですから当然と言えば当然なのですが)

終盤、天文台基地に向かう雪上車のなかで、キマリは報瀬に南極に来てよかったと告げます。雪上車の上で4人で歌うシーンと合わせ、4人が乗り越えて得た絆と、報瀬は(たとえ何があっても)1人ではないんだと言っているようでとても印象出来でした。
ノートパソコン発見までに3人が、報瀬に声をかけながら駆け回る描写、そのごの昭和基地でのメール受信を離れて見守る描写。緩急がきき、「放っておくことのできる優しさ、友情」の極みとも言えるシーンだったと思います。

単なる日常物だと思って見ると、涙腺に一撃貰うことは請け合いです。
最終話の1つ前がタイトル回「宇宙よりも遠い場所」だったので、最終回はどうなるかと思っていましたが、オーロラと3年越しのメール、そして最後の最後のめぐっちゃんインパクトと、本当に最後まで素晴らしかったです。
めぐっちゃん、5人目のメインキャストですね。

前半の舞台である館林の話をして心を静める

以前住んでいた館林の、アパートを借りていたエリアが沢山出てきたので大変懐かしい気持ちになりました。私の旧住所からキマリの家と目されるところまでは200mなかったです。
館林駅に茂林寺、結月が泊まったホテルはニューミヤコの場所にグランドホテルを持ってきていましたね。そういえば向井千秋さんの実家のおもちゃ屋もチラッと。砕氷船の船長も読みが「ムカイチアキ」さん(迎 千秋)だったので、意図しているでしょうね。館林が誇る宇宙飛行士さん。「宇宙」繋がりでしょうか。
キマリと日向のローソンも当時の私の最寄り。サッカーのチケットを買いに走っていましたよ。懐かしかったです。

1つ個人的な興味を掘り下げます。
東京との行き来に描かれるのがキマリは東武伊勢崎線、報瀬は東武日光線でした。報瀬は多々良西という架空の高校に自転車通学をしています(キマリは徒歩?)。報瀬の家が快速停車の板倉東洋大前駅が最寄りだとすると、伊勢崎線エリアにならない範囲の最短で(仮に、板倉高校~多々良沼公園)10km超。自転車で通えなくはないですが、冬の空っ風シーズンは大変だったでしょうね…。
※多々良地区と距離がある茂林寺での寄り道シーンが散見されますから、報瀬の通学距離もあまり気にしても不毛かもしれません。

おわりに

いつものように、印象的な所のみのピンポイントで書きました。
影響されて,色々検索したせいか、グーグル先生が関連記事をいくつか出してくれました。
これとか。
なんと、来月から群テレが初放送なんですね。あんなに館林が出てくるのに…!
私的には爆笑だった日向の「やめろ!群馬だってバレる!」という台詞(@新宿)がどう受け止められるかが気になります!

この記事が参加している募集

#コンテンツ会議

30,736件

子供のこと,レイソル,サブカルのごった煮で書いていこうと思います。