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02指揮者conductor って必要なの?

指揮者ってよくわからない。

告白するとつい最近まで、そう思っていました。指揮者って舞台で、観客におしりを向けるただ一つの存在。そして音をださない人。名前は最上段にあり偉そう。ただ、実際の演奏を見ると、だれが指揮棒を振ってもあまり変わらなそう。

音と棒はあっているようなちがっているような。流れを調整するような役割なのかな。なんだかよくわからないな。それより、ツゴイネルワイゼンの超絶技巧などソロイストの方がずっと面白いな。

指揮者の役割がわかったのは、そして、おもしろさをはっきりと感じたのは2017年の年末のことでした。そのときのFBの投稿です。

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日時: 2017年12月28日
山田和樹指揮、仙台フィル×読売交響楽団 合同オーケストラ 「第九」@東京オペラシティコンサートホール
指揮者でこれほど変わるとは。瑞々しい音。ヤンチャで若々しい。全速力から急ブレーキ、ゆるりとワインディングをクルージング。彼は踊るように音を楽しんでいました。音がみえる。指揮者の手先に完璧に音がついてくる感覚は初めてでした。妻はジェーミーカラムのようだと話してましたが確かにそうかもしれない。初めて指揮者って楽しいかもと思える演奏でした。彼のスタイルに好き嫌いはあると思いますが、楽しかった。
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指揮者によって同じ音楽がこんなにも変わるのか。すごいな。

ジャズで大切なのは、プレイヤーが奏でる自由演奏(solo play)。それがいかに創造的な即興(improvisation)であるか、いかに濃密なプレイヤー同士の掛け合い(interplay)であるか、そこに着目がされやすく、それにおもしろさを見いだしてきました。音と音が出会いドキッとするような響きとなる瞬間。自由、創造性、即興性、そこに価値を感じてきました。権威と規範から距離を置き、自由と創造と音の出会いの刹那そこに価値を見いだす。
そうした人間からは、そもそもクラシックはよくわからない。指揮者はさらによくわからない。自分からするとむしろ自由な演奏を阻害するのではないか。そんなふうに感じていたのでしょう。

指揮者か、ソリストか?

前置きが長くなりましたが、ソリストか、指揮者か、建築家には二つのタイプがあるとおもいます。
2017年の体験は、それまでソリスト崇拝をしてきた自分が、指揮者の意味と意義とおもしろさに気づいた瞬間だったのでしょう。

指揮者とは、聞きに来る今回の聴衆がどのような音楽を期待していうるのか、どのような音楽なら理解できるのか、また、自分達はどのような音楽を大切にし、届けたいのかを考えて、ソリストの持ち味を引き出し、音楽を「伝わる」ように加工していく、音を音楽にする錬金術師。
一方でソリストとは、技術を磨き、その技術を音にする表現者。そういえるかもしれません。

これを経営用語で表現すると、指揮者とは、聴衆=ターゲットであり、プロダクトアウトとマーケットインの両方の発想と、自分達の届けたい音楽=理念、に基づいて、ソリストの持ち味=チームメンバーの専門領域をいかして、伝える(自分視点)ではなく、伝わる(相手視点)ようにするディレクター(監督)といえるでしょう。
一方でソリストとは、自らのスキルを磨き、ハードな練習を積み重ね、素晴らしい表現を追求するスペシャリスト(専門家)といえるでしょう。

建築家の世界でも、ディレクター建築家と、スペシャリスト建築家が存在しています。あなたはどちらのタイプでしょうか。

ふりかえってみると、大学時代を通じ、ソリスト=演奏者側(提供する側)から視点で音楽を考えてきましたが、STARでの実践を通じて、観客側(提供される側)からの視点を獲得することができたからこそ、こうしたことに気づいたのかもしれません。ディレクター建築家、スペシャリスト建築家、建築家の職能(プロフェッション)についておもったのはそのときが初めてではありません。実は20年以上前にその根源はありました。

建築家って必要なの?

大学の卒業論文で考えてみたのは建築家の必要性でした。

「建築家の職能における一考察」それが大学の卒業論文のタイトル。1994年のことでした。
建築家って何をしている人かよくわからなかった。建物は大工がつくるわけだし、何で必要なんだろう。そう感じてこのテーマとしました。

卒業論文の落ちは様々な職種と専門性のある人をまとめあげて質の高い建物をつくり、建物を建築にする人。簡単に言うとそんなわかりきったつまらない結論だったかとおもいます。
直前まで、都市を音で表現し評価する。美しい都市とファサード(表層)は美しい音楽となり、つまらなく見にくい都市はひどい雑音になるだろう。そんな仮説をたて、論文として表現しようと試みてきたのですが、論点を組み立て、音として作り込むことが出来ずに断念。学問と研究にもまったく興味なかったので、早く実際の現場を体験したく、指導教授に頼んで現場に同行して書き上げた。というのが恥ずかしながら正直なところでした。

小曽根真さん

そして、2012年9月20日に、ジャズピアニスト小曽根真さんのライブ中、突如「日本一かっこいい設計事務所」という言葉がおりてきて、設計事務所のロールモデルをつくることがゴールと決まりました。https://note.com/satake_star/n/ncd497a9be1e1

それから半年後、2013年5月30日 に、鎌倉で偶然小曽根さんとお会いし、そのときの気づきをお伝えしました。下はそのときの写真。

その半年後、これからお話していくteamSTARという建築家とデザインスペシャリストをスターにするクリエイティブチームをスタートします。2014年、卒業論文を書いてからちょうど20年がたっていました。

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さらにその5年後、2019年に自らの肩書きを建築家から建築家/クリエイティブディレクターと変えました。

今回は、teamSTARという組織をデザインするに至る伏線についてお話しました。振り返ってみると、大学のころからずっと建築家の職能について考えてきたことに自分でもビックリしています。

今後の予定

1)設計事務所 ー売上げと社員数の統計データから見えてくる世界2)インナーブランディング ーチームビルディングの手法3)teamSTAR ー建築家とデザイナーをスターにするクリエイティブプラットフォーム4)COCLUSION ーまとめ5)クリエイティブが産業化する時代にむけて


次回以降、引き続きどうぞよろしく願いします。

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