見出し画像

英語が苦手な親でも出来る英語の読み聞かせ法

英語上達の近道は本を読むこと

子どもたちに英語の勉強法を教えるために、小・中学生でも読める英語の本を探していたところ、40代半ばで記憶力日本選手権大会に初出場で優勝し、記憶力日本一となった池田義博氏の著書『脳にまかせる勉強法』という本に出会いました。この本の中で書かれていることを要約すると、記憶するために大切なことは、「イメージすること」と「それを反復すること」とあります。例えば、何かを覚えたい時には、自分の身のまわりの物を使ってストーリーを作り、そのイメージを繰り返すことで、記憶が強固になる、というものです。

英語も同じことで、どうやってイメージングをして、そのイメージを頭の中で繰り返すか、ということがとても大切です。考えてみると、私たちは、英検のために単語集とか、空所補充とかを一生懸命やりますが、それだけだとイメージングが乏しいからなかなか覚えにくいですよね。それに対して英語の絵本や小説など、イメージングを手伝ってくれる「ストーリー」を使えば、子ども達の英語力を上げることの大いなる助けとなります。

子どもに本の読み聞かせをするには

ただ単に子どもと一緒に英語の本を読むだけではなく、声を出して「音読」することが実はとても大切です。言語習得は、まず音から始まります。日本語を学ぶのも、「あいうえお」という文字から入ったわけではないですよね。子どもが言葉を覚えるのも、まず音が最初で、それから字を習って初めて読めるようになります。しかし、今の親世代は、英語学習を文字から入ってしまったことに問題があります。ですから、まず音読をして、英語の「音」を子どもに入れてあげることが必要です。

お母さん達の中には、英語の発音に自信がなかったりして、子どもに読み聞かせをするのに躊躇する方もいらっしゃると思います。そういう場合には、是非音源の付いた本から始めてみてください。今は、英語の絵本や本にCDやQRコードが付いているものが簡単に手に入ります。実際、英語圏では、日本と比べ物にならないほど、子ども向けに音源の付いた本が揃っています。音源の付いている本の素晴らしいところは、プロが、抑揚をつけて、ストーリーをドラマティックに読んでくれるところです。効果音も入っていたりするので、ストーリーやイラストと共にイメージを大きく膨らませることができます。

そして、親の発音が上手ではないからといって、あまり心配しないでください。人間には、ネイティブの発音と、そうではない人の発音を聞き分ける能力が備わっているといいます。例えば、英語圏に住んでいる、インド系や韓国系の移民の一世(親)には、英語に強い訛りがあっても、二世(子)は綺麗な英語を話すことができます。特に小さい子どもはその能力が高いので、是非音源のあるものを一緒に使って、正しい英語を聴きながら音読をしてみてください。

まずは簡単に読めて面白い本を

子どもたちの中には、自分の知らない言葉で本を読むことに抵抗する子もいますよね。分からないことを読まされている意識があれば、当然です。いきなり『ハリー・ポッター』を読ませようとしても、それにはやはり無理があります。そんな時は、極端に簡単な本から始めることをお勧めします。1ページに1単語、1センテンスくらいの本や、挿絵だけでもストーリーが分かるようなものから始めるといいでしょう。そして、大人も子どもも面白いと思う本を選んでください。面白くないものや、興味の湧かないものは、強制的に読ませたくないし、長続きしません。

本が用意できたら、単語や文章を指でなぞりながら、音を一緒に聞き、音読してください。それを繰り返すことに大きな意味があります。その時にやってほしくないのは、全文を日本語訳することです。日本語に訳してしまっては、日本語の方を覚えてしまって、せっかくの音読の意味が薄れてしまいます。英語を英語のまま理解してほしいから、繰り返し何回も読むのです。「We play cards. We play cards. We  play cards・・・」と繰り返していると、だんだん英語のまま意味が入ってくるので、訳す必要がなくなります。イメージして、それをとにかく繰り返すことが大切です。

読んでいる本が簡単に感じてきたり、飽きてきたら、次の本に移る、というように、ゆっくりでいいので、少しずつレベルを上げていってください。そして、最も大切なことは、お母さん自身が英語の本を楽しむことです。お母さんが楽しんでいることは、子どもも一緒にしたがるものです。親が童心に帰って、まるで子どものように楽しく読むこと。そうすれば、きっと英語の本を一緒に楽しめるはずです。『I am Sam』という映画があるのですが、その中で、俳優ショーン・ペンが演じる、7歳の知能しか持たない知的障害のお父さんが、Dr. Seuss(アメリカの絵本作家)の『Green Eggs and Ham』という絵本を、寝る前に毎晩何度も何度も読むのですが、このお父さんの本の楽しみ方は、親がどういう態度で子どもと本を読めばいいかのお手本になります。是非参考にしてみてください。(スタートから18分後くらいのシーンです)

読書習慣が身につく環境づくりを

お母さんと一緒に英語の本を読むのは、自転車でいうと補助輪を付けて走るようなもので、年間10冊、20冊と読んでいって、慣れてきたら徐々に補助輪を外すように、自分で読めるようになるのが目標です。そのためにも、英語の本を読むことを習慣化することを目指してください。習慣を作るために、本を読む時間を日々作ってあげることが大切です。本を読むのが楽しければ、親も子も、無理なく習慣化出来ることでしょう。

余談ですが、僕の通っていたMIT(マサチューセッツ工科大学)大学院の同級生で、数学オリンピックで金賞を取るような優秀な友達がいました。数学をどうやって勉強したのかを聞いてみたら、彼は、「うちの家庭は、とても静かだった。親は本を読んだり、編み物をしたりしていて、僕はやることがないから本を読んだり、数学を解いたりしていたんだ。だからきっとその”静かだった”ことが良かったのかな?」と教えてくれました。親が、勉強や読書のために環境を整えてあげること、これがとても大切なことだと実感するエピソードでした。習慣化させることは、最初は大変だと思いますが、続けることにあまり負担が掛からないよう、気軽に試せる音源付きの本で、子どもと一緒に楽しい読書習慣を作ってみてください。

次回は具体的な本やテキストをご紹介します!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?