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余計なプライドは捨てつつ、誇りを大切に

あなたは「土下座」できますか?

「お前、客に対して生意気なんだよ!土下座して謝れ!」

社会人1年目で受けた洗礼。

大学を出て地元のパチンコ企業に新卒で入社した僕。
選考時点から広告宣伝やマーケティングをしたいと希望を出していたものの、入社時の配属は現場であるパチンコ店での勤務でした。

入社して数ヶ月もしないうちに、少しずつ時間帯責任者の練習をさせられていたのですが、パチンコにあまり興味がなかった僕にとって、キレて台を殴る人、パチンコ台に足を乗せながら遊ぶ人、他の客に喧嘩をふっかける人など、ノーモラルな人々が織りなすバイオレンスな雰囲気はまさに異世界と呼ぶのがふさわしく、今後自分が責任者をすることを想像するととても気が重かったです。

そんなある日、時間帯責任者の先輩が駐車場での顧客対応で抜けていたとき、サブ責任者だった僕が全体指示を任される場面がありました。
すると、耳元のインカムから「キャー!」というスタッフの叫び声が。
慌てて現場に駆けつけてみると、通路内で若い男性と中年の男性が殴り合っていたのです。
僕は拳が飛び交う中、無理やり間に入って二人を店内端の通路へ連れて行きました。

二人から事情を聞いてみると、中年の男性曰く「台に座って遊んでいたらいきなり殴りかかってきた」とのこと。しかし若者側は「こいつが俺の台を泥棒した!!」と興奮しながら叫んでいます。
話が全く噛み合わないので監視カメラの映像を確認してみると、

①若者がパチンコ台にタバコの空箱を置いてキープしトイレへ
②空調の風で空箱が床に落ちる
③中年男性が空き台だと思い着席
④そこに戻ってきた若者が激昂して殴りかかる

という一連の事実が確認できました。

明らかに若者客が悪い。そう判断した僕は確認した事実を本人に伝えたところ、「そんなの嘘だ!」「お前はそいつから金でももらっているのか!俺を嵌めようとしている!」とヒートアップ。冷静になるように促して何度か説明を試みるも全く聞いてもらえません。

そして、ついには
「お前、客に対して生意気なんだよ!土下座して謝れ!」
と、土下座を要求されたのです。

明らかに理不尽な要求。
みなさんだったら、どうしますか。

僕は、

その場で即土下座をしました。

余計なプライドが可能性と時間をロスする

土下座をして謝る必要なんかない。
そう思われる方もいらっしゃるかと思います。

確かに全く僕には非がなく、相手の要求は理不尽で無茶苦茶です。
それでも僕がなぜ即土下座に踏み切ったのかというと、そこには恩師からの教えがありました。

「サラリーマンにとって最も不必要なのは余計なプライド。ただ、自分の仕事には誇りを持て。」

これは入社当時から生意気だった僕に、恩師が将来を危惧して伝えてくれた言葉です。

他者から指摘を受けた時に「自分は絶対に悪くない」と意見を受け入れず非を認めない人。
「俺は部長だぞ」と現場が大変な状態だったとしても部下の仕事を一切手伝わない人。
「俺はクライアントだぞ」と取引先に明らかに無理な値引きなど無茶な要求をする人。

そんな「小さなこだわり」に囚われ、本当に大切なことを見失ってしまう人がいる。
結果的にその人は、周囲からの信頼を失い、未来の可能性をも失ってしまう。
そう恩師から教わりました。

若者客から土下座を要求された時、僕は恩師のその言葉を思い出し、すぐに土下座をするという行動に出たのです。

なぜなら、
明らかな証拠があるのに加えて、わかりやすく平易な言葉で丁寧に説明をしてもこの若者客は興奮を抑えることができず全く聞く耳を持ってくれず、土下座をしろ!と繰り返すばかり。

そんな若者客の理不尽やわがままに付き合わされている間、僕は自分の仕事ができず、現場は指示を出す責任者不在となります。もしその間にさらなるトラブルや責任者だけができる顧客対応などが起きたら現場はパニックになってしまうでしょう。

僕は何も悪くない。

その「こだわり」よりも、僕自身が組織から任されている時間帯サブ責任者という役割を全うすることを大切にしたい。

そう考えたのです。

誇りを持つ人は「自分や仲間の時間」を大切にしている

組織のNO.2ポジションには対外的にも内部からもクレームやトラブルが集中しがちです。
その中には「自分は全く悪くない」ものが含まれていることもあるでしょう。
ただ、そこで「自分は悪くない」ことを主張したところでそのクレームやトラブルの解消は前に進みません。

そんな時、自分の「時間価値」を考えてみると良いと思います。

例えば、自分が月給40万円で、月8日休み(月22日勤務)、1日8時間勤務だったとします。
そうすると、400,000÷22÷8=2273円(時給換算)となり、自分の1時間には2273円の価値があるということになりますよね。

もし「自分は悪くない」というプライドを優先して顧客クレームに3時間を要したとしたら、約7000円のコストを無駄にし、かつ、自分が3時間あれば出来たであろう仕事も進まなくなってしまいます。

ましてや、NO.2ともなれば会社・組織の事業やビジョン実現に対する影響力も大きく、メンバーへの指示などマネジメントが滞ってしまう事態にもなりかねません。
自分自身のコストはもちろんのこと、メンバーの時間も無駄にしないように常に意識し、現実的な解決を優先する。つまり、目先の「自分の正義」よりも、自分自身が全うすべき仕事への責任や自分や仲間の時間を大切にするという中長期的な視点で物事を考えていくのが大切なんじゃないでしょうか。


ちなみに、先程の僕の土下座事件のその後にはちょっとした裏話が。
実際、即土下座はしたものの「ただ土下座するのもなー」とちょっとしたイタズラ心が顔を出し、周りのお客様にも聞こえる大きな声で「この度は大変申し訳ございませんでしたー!!」「カメラで確認したところ確かにお客様のタバコが落ちていたのですが、私の説明が拙く伝わらなかったようで申し訳ありませんでしたー!!」と繰り返しながら土下座を繰り返したところ、周囲から若者客に「あの人店員に何させてるの……」という視点が集中し、若者客は「いや、もういい!わかった!土下座しなくていい」と慌て出しました。

それでも、僕はまだ土下座をやめず、さらに大声で「申し訳ありませんでしたー!!」と繰り返していたところ、若者客の方も「もうやめてくれ!悪かったから!!ごめんなさい!」と土下座してきたので、ふたりで土下座し合うという不思議な画になったのでした笑

余計なプライドは捨てつつ、誇りを大切に。
NO.2として大切にしていることの一つです。


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